ときどき、無性に焼きとり屋へ行きたくなる。こればかりは家で真似する訳にもいかず、百貨店の地下で求めた焼きとりをチンし直しても、何処か冷え冷えとした気持ちになる。やっぱり焼きとり屋は、新鮮な朝挽きの鶏を、焼き立てを食べるべきだ。
と、久々に行った高槻の「丹波路」。人気の店で、提灯の明かりが消えていたら、客が満杯の印。この日はスムーズに入れた。お通しが2種類。
タタキから始めた。
皮、いいなぁ。カリッとしたのが良い。塩加減はぴたり。
なんとなく焼きとりが良くなってきたのは、この何年か。
それまでは、焼きとりの魅力をよく分かっていなかった。
何軒も有名店を食べ歩いたが、結局カタルシスの揺れ幅が低い食べ物だと思っていた。
デイリーな居酒屋メニューとしては、めちゃくちゃ旨いものはかえって邪魔なのである。キャー美味いっ!ってものではなく、静かに酒を飲ませてくれる、精神を安定させてくれるレベルが必要となる。
この松葉(鎖骨)があることで、この店の評価は固い。
これを煮物にしたりもする。骨に着いた肉を食いちぎると、V字の骨が残る。
しみじみした味わい・・・そこが串カツとも寿司ともちがう点だ。
ちくわの天ぷら。
ゴボウの天ぷらも美味。
シメは雑炊で。
静かに酒が飲みたい時は、焼きとりが存外よろしい。
酒が飲めない時はまず近付かないことにしている。
焼きとり丹波路 高槻市高槻町4
新宿にも吉祥寺にもあったような、しょんべん横丁。マナーも何もあったもんぢゃない昔は、それこそ酸鼻を極めたであろうが、今は名前負けしていると言ってもよい。
通称、十三しょんべん横丁。でも実際はもう一本東の線路際の路地のことで、こっち側はちがうのであるが、ひっくるめて、なんとなく認識されている。
ここのほぼ入口にあり、連日異様なほど混み合っている店が居酒屋「十三屋」である。
ちょっと待ち時間ができたので、入ってみた。土曜の昼間である。8割埋まっている。
ビールと煮込みを頼む。クタクタに煮込まれ、ちょい甘めだがいい感じ。
まだ、なぜここまで混むかが解明されないでいる。
冷ややっこ
この前、高畑淳子がドラマで聴きこみにまわってたのが、この店だった。
舞台は高松だったのであるが、十三バレバレや。
相席の隣の客が頼んでたので、ツレが注文した鯛の造り。
おまいさん、本格的にトグロ巻くオツモリ・・・?
隣の人は東京に住んでいて、帰阪すれば寄るのだと言ってた。
この大勢の中に一人いると、孤独ながら不思議な連帯感もある。これかな。
ポテサラは原型をとどめていて、これはこれで愉快。
隣のテーブルに来たのは、新梅田食道街の商店会の若手まとめ役の一人、
T平さん。こんな処でバッタリ会うとは、世の中狭い。
(この写真、どなたかのお借りしました…)
この店内のにぎわいこそが、何よりのアテである。
ちょいと時間待ちなので、しっかり飲むわけにもいかず。早々に退散。
十三屋 淀川区十三本町1
あたしゃ、ミネストローネ好きさ。
これがイタリア家庭料理なんていうのは、ずっと後で知った。
今から34年前(ひえ~、そんな経つのか!)、マンドリンひとつ提げて、アメリカを貧乏旅行した。行きの飛行機の手違いでバックパックがハワイに先に飛び立ってしまい、着いた時にはもう盗まれていた。よって、マンドリンと小さなショルダーバッグのみしか残らなかった。英語も満足に話せぬ初の海外旅行で、それはないぜ…
とにかくテネシー州ノックスヴィルの友人宅に転がり込んだ。見るもの触るもの、すべてが新鮮だった。あ、その夏、ロッキードで田中角栄が逮捕されたのはアメリカで知った。そこから態勢を整えて旅を開始した。
グレイハウンドバスは貧乏人には心安い交通手段だった。そのバス停に併設されているカフェテリアで食ったのが、ミネストローネ。何食ってもぱっとしないアメリカで、ミネストローネだけは何処で食ってもはずれがなく、ホッとできた。日本でいうとん汁みたいなもんかもしれん。今回マカロニにしたが、コンキリエや小さなパスタならなお雰囲気。実はインゲンも放り込みたい。パルメザンチーズをパラッとかけて。
メインは鹿児島産黒豚のグリエ。ガーリックとローズマリーを低温のオリーブ油で香りを出してから、焼き上げる。塩はしっかり目にあててやること。
ガルニチュールはエリンギとマイタケのバターソテー。ポテトサラダ。
フランスパンに吉田牧場のチーズ。
ボルドーのカベルネソーヴィニオンを抜いた。
プチブルだが、まぁ、たまにゃ、こういうのも許してくれい。