マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

いいメロディは頑丈な家屋のごとく

2009-02-08 02:22:26 | 音楽

…ってことを言ったのはフォーク歌手のピート・シーガーだったと思う。
頑丈に作られた建物は、学校に使われ、集会所に使われ、病院に使われして、時代が変わっても生き残って行く。

歌もそれと同じで、歌詞を替え、意味を替えて生き残って行く。
「リパブリック賛歌」がいい例かもしれない。


John Brown’s Body・・・と歌われたのは南北戦争の時代。
おたまじゃくしは蛙の子、ごんべさんの赤ちゃんが・・・と童謡になり、
まぁるい緑の山手線・・・とカメラ屋のCMソングにもなる。そういえば、大正時代には花の歌にもなったはずだ。

それを聴いたのはTBSの小沢昭一的こころ。大正時代の演歌師が
路上で歌ったというその歌を、小沢さんは朗朗と歌った。
そのタイトルが思い出せなくて、気になってあちこち探し回り、
「いきすいあわれいとおかし」さんのブログで見つけた。
そうそう・・・ばらの歌だった。平凡過ぎて、かえって覚えられない。

かつて歌詞をメモったが、完璧に抜けております。
平身低頭、謹んで拝借し、ここへ再録させていただきまする。
こんな歌知ってる人も、大概いなくなっているんだろうなぁ。


   『ばらの歌』 (大正5年)

  詞 神長瞭月(1888-1976) 曲リパブリック賛歌 


  小さな鉢の花ばらが
  あなたの愛の露受けて
  薄紅の花の色
  きのう初めて笑ってよ


  堅いつぼみに口当てて
  小雨降るような夢ごごち
  あなたは何を話したの?
  花はあなたを待っててよ


  光り輝く春の朝
  花の霜露身に受けて
  匂い染めたるミルド駅
  どうぞ愛してちょうだいな


  花を尋ねていでしまま
  帰らぬ人の恋しさに
  丘に登りて名を呼べば
  山びこばかりが答えてよ


  月のある夜がおイヤなら
  昨日も今日も闇夜だわ
  花に変わって私から
  おいでなさい、と待っててよ


  あなたのお家は川下よ
  私の家は川上よ
  ところ一里をへだつとも
  想う心はひとつだわ


  あぁ川上よ、川水よ
  あなたのほうへと流れてよ
  だから水際に降り立ちて  
  わたし毎日歌うのよ


  西と東に別れても
  白雲遠く隔つとも
  体二つに違っても
  結ぶ心はひとつだわ


いいでしょう?この歌が埃っぽい書生節だの添田唖蝉坊の歌に挟まって歌われたというのだろうか。「笑ってよ」「待っててよ」が久保田万太郎の芝居のようでもあり、小津安二郎映画のセリフのようでもある。こんな品のある日本語が使われているのだ。愛唱歌に加えたい。



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4 コメント

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Unknown (hikeshi)
2009-02-08 13:32:54
これほどまでに、言葉はうまく人に通じる物だ。
たった、55語の文字を組み合わせるだけで、ここまでに気持ちを表せること。心を洗わせること。

言葉よ、文字よ。君たちの中に潜められた心よ。
今我が心を書する。
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Unknown (hikeshi)
2009-02-09 05:04:53
歌を聞いて、涙が自然とでる曲なんです。

今アメリカに住んで、この歌を何どもきき、心に焼き付けている。しかし、なぜか、いつまでたっても、この曲を、祖国の歌としてうたえないのは、まだまだよそ者なんでしょうね。私は。
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ないんぢゃ日本の歌 (管理人)
2009-02-09 17:48:46
海外に行けば尚更感じることと思います。俺たち日本人は外国人の前で何を歌えばいいのかと。「日本の歌歌ってよ」と言われ、たじろぐことが何度かありました。付け焼刃の民謡でもないしね~。歌うべき歌を持たない国民、悲しむべき日本の音楽教育の敗北です。

英国のBBCでやるPROMS(プロムナードコンサート)を見ても、羨ましいほどの盛り上がり。いい悪いを別にして歌がナショナリズムにガッチリと結びついていて、たぶんそこに何十年住んでいても、永住権があったにせよなかなか祖国の歌とは思えないでしょうね。

ウエスタンスイングやってて、よく言うよですが。
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Unknown (hikeshi)
2009-02-09 22:34:01
まさにその通り、日本には、多くの他国の民謡がさも日本の曲のように、歌われていますが 日本の歌ってないですね。
まず、世界に日本的なこぶしがきいた部分がないのと、少し変わった歌と聞こえます。童謡でも海外の歌が多いです。

人に 歌をって言われると、私は、音痴なんでと逃げてるのも、そのせいかもしれません。

日本のうたって、??
一度かんがえてみるべきでしょう。
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