マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

にぎやかなりし新開地

2012-03-23 16:08:01 | 




大阪新世界と同種の匂いを持つ、神戸新開地。
どこか浅草とも似ている。
神戸の人にとって新開地というと、懐かしい響きがあるのだろうか。


大正13年にできた新開地タワー、のちの神戸タワーは、通天閣よりちょい高かった。
昭和43年に老朽化のため、取り壊された。


兵庫港を中心に、港湾や重工業の働き手たちで新開地はそれは賑わったそうな。
居留地から広がった元町界隈のエキゾチズムとは別の、庶民的な神戸。


そんな新開地の、老舗居酒屋「丸萬」。
今だに特級酒、一級酒なんて書いてあったりする。




何でも混ぜて、重層的な味が好きな大阪人に比べ、
神戸の人はシンプルな、そのもののズバリの味を好む。
タコ、貝などを愛するのは、それだけ海が近かったからだろう。





だし巻き。 美味い物はきれいだ。





牛バラ焼き肉で精つけて、福原へ繰り出そう・・・!

なんて言ってたのかな。





いわしフライ

もちろん遠慮なくウスターをぶっかける。





そうそう、バッテラは行っとかなきゃいけない。





品がよろしくないが、ちょいと刷毛で醤油などひいてみたり・・・。





ひと筋入れば、福原のソープ街。
客引きさえいなきゃ、のんびり散歩と行きたいが、
かつての遊郭をしのばせる情緒など、ほとんどないのが残念。





そんな福原に一軒のお好み焼き屋「美丁(よしちょう)」があり、
色街のはんなりとしたお店として、姐さん方にも人気だったと聞く。

震災で被災し、閉じてしまったが、
そこで焼いていた女性が、美丁スタイルを踏襲したお好み焼きを
今に伝えるのが、「一ソ十」。





お好み焼きが、メシの代わりになるほど大型化したのはまだ最近のことで、
色街系のお好み焼きは、かつて北新地にあった「以登家」にしても、小ぶりである。





豚玉なんていわない。 豚粉焼き 750円
基本、玉子は使わない。
玉子入りは追加50円となる。 そこらへんも昔流。





たこそば焼き 800円もシンプル極まりない。
プリプリのたこがやっぱり神戸だ。大阪じゃこうはいかない。 





オムライスなんてのもあって、これ意外と他の店にはないよな。





粋な男女で暖簾をくぐるお好み焼き屋は、ちょっとした夫婦ごっこの場であり、
女性は甲斐々々しく男はんの世話を焼いてみせたりした。
カウンターの下でそっと手を握ってみたりしたのではあるまいか。

だからお好み焼き自体は、どちらかというと脇役だった。
だから小ぶりで、ちょっとした腹ふさぎ、つなぎになればよかった。

めしの代わりになったり、特大とか食べ放題とかその手のものではなかった。
モダン焼きしかり、腹にドンと来るようでは具合悪かったのである。

粋だった時代が偲ばれる、色街お好み焼きを伝える店も、数少なくなった。
磨きこまれた鉄板。キリッと白衣を着た女性店主のコテさばき。
清潔感にあふれた店である。

女将は平谷さん。独特の屋号は、平の文字をバラしてみるとわかる。