マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

恩師ゆかりの

2012-03-14 02:19:52 | Weblog

松竹海老という名の、昔風の甘口の酒を続けて飲んでいると、
口が甘ったるくなってしまうので、そんな時には酢の利いたきずしなどが
具合がいい。

そんなことを学生時代の師匠と来た酒亭で学んだ。
伊藤大輔の忠治旅日記、伊丹万作、グレアムグリーン・・・
などの話も挟みながら、おそらく師の懐ろにたかって飲んだ。
ろくでもない学生だった。

下に敷かれた大根のケンも伊達や粋狂で付けてるのではない。
この二杯酢の染みたケンもまたアテになった。







阿倍野の至宝「明治屋」が、あべのQ’sモールに昔のまんま再開した時は
それこそ快哉の声を挙げた。

だが最近行った従兄弟いわく、がさつで、料理もチェーン店並みになってしまった。
おまけにうるさく売らんかなとするおばさんたちがいて、こんな店だったっけと。







まぁ時間帯によってはがさつであろう。天王寺から便利になったぶん、いろんな輩が来る。
昔は阿倍野体育館の正面辺りだったので、わざわざ来なくてはいけなかった。
でも今だって、午後の時間帯に訪れたらたぶん静けさもあるだろう。


酒は甘口から、奈良の梅乃宿になり少し辛口になったが、それも時代の趨勢で悪くない。
営業熱心なおばはんたちはたしかにいて、この夜も焼売一人前と言ったら、
残り少ないし「二人前とってくれへん・・・」と言われたが、それはままあることだ。
「おぅ、ええよ。置いて行きぃな」 と返した。こっちは同級生が数人いるのだからかまわぬ。


以前の明治屋だって口うるさい仲居はいたし、ぽんぽんと伝法な物言いする姐さんがいて、
客と丁々発止のやり合いをして、店には活気が出るってなもんだ。


戦前、法善寺横丁に「みどり」なんて居酒屋があり、揃いの着物姿の姐さん方は
十何種類もの小鉢物をお盆に載せて、それは賑やかに客の間を売り歩いた。
そんな達者で元気あふれる姐さんの声響き、情緒もなんにもないような店が
大阪の居酒屋だったのではあるまいか。






ただ、そんな意見があることも、知っておいてもらっていいだろう。

ここは恩師の思い出が辿れる、今や数少なき酒場。
大事な場所だけになんとか空気を乱さぬようにしてもらいたい。
オペレーション上の小さな綻びや緩みだとしたら、早いうちに手当てしなければならない。

酒飲みは俗世間の波から解き放たれて、一時、喧騒の中で自由になれる。
そんな自由をなくした酒場なれば、すでに古いというだけで価値はないのだから。


コメント
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