マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

南地 九郎右衛門町

2008-07-26 10:53:36 | 

九郎右衛門町あたりから、千日前通りを日本橋に至るまで
ズラッとお茶屋が並んでいたという。この辺りが格が一番上で、
東に行くほど、大衆的になって行ったといわれる。




折敷にある見事な鯛の絵は、現主人の筆による。





タマメダイ  目が出た夏の高級魚





障子塩焼き
鯛の中骨を炙ったもの。めちゃくちゃ美味い。
酒飲みなら、これをしゃぶりながら、グイグイいける。
酒は惣花(日本盛)。

 




松茸英ちゃん漬け 
初代が考案した珍味。14年物の松茸の漬けもの
なるほど珍味・・・ヨードっぽい味がする





タマメダイ  関西では何より白身が好まれた。





しめ鰯  
大阪ではそもそも小肌は寿司ネタとして歓迎されなかった。





たいちり 
ちり酢は毎年秋に600キロも手絞りにする。





とろ・腹身  黒門市場から仕入れる。
戦前は人足の食べ物だった鮪の脂に目をつけ、戦後、店で
使い出したのは、ここがかなり早かった。





淡路の海胆





牛とろ
江戸前の職人が見たら、怒るだろうな。
これはツレが頼んだもの。生の牛肉とご飯、私はパス。





穴子のえり巻き寿司 
播州高砂の穴子。浅めに煮て、
ツメを塗ってから焼き上げ、クルリと巻いてから寿司飯を
詰める。こいつは手づかみで。腹ふくれるー!





鉄火巻はイチから包丁で鮪をたたく。





せんいに沿って刻んだ葱(わけぎの白い部分)が一緒に
巻き込まれる。薫り高い海苔。
パリッ、ムシャッ、シャリッとした変化する歯ざわりが楽しめる。
葱とろ鉄火。





ねぎま汁  ねぎと鮪の腹身 山椒がきく。
味噌は八丁味噌など3種類をあわせる。





名物英ちゃん太巻。

他にも名物があって、鯖の棒寿司は初代から伝わる逸品。
出来上がってから6時間後に美味しくなるので、店では一切
出さない。

先代英ちゃんはへんくつで知られた名人気質の親爺だったらしい。
「コレ食うてみい!」という調子で客に寿司を出した。
その頑固なところを客は面白がったという。
大阪にはこの手のうるさい寿司屋の主人が何人もいて、古川ロッパは
自作の中で批判している。

その傍若無人ぶりはいただけないが、それだけ自信と自負を
持って商品を出していたということだ。
その唯我独尊的な、みなぎる覇気は、今となってはめったに
お目にかかることはできない、昔かたぎということなのだろう。
創業大正6年 90年になる大阪のにぎり鮨の老舗。

店先の辺り、界隈に、ほんの少し。
そんな九郎右衛門町とよばれた時代の名残を感じた。






    英ちゃん冨久鮓    中央区道頓堀2