光る湖、馬、子どもたち、
未来につながるステップへ
~猪苗代湖畔のホースセラピー計画~
未来につながるステップへ
~猪苗代湖畔のホースセラピー計画~
By actio_edit On 2012年8月13日?
Leave a Comment In 原発・エネルギー(f), 坂田昌子(f), 無料公開記事,
福島市の子どもたちは、外で遊べない。
保育園では、3・11以降、一度も子どもたちを外に出していない。
福島駅近くの有機野菜販売所で出会った母親は、
この一年間水道をいっさい使わず、
洗濯物も一度も外に干していないという。
彼女の家は瓦屋根だが、
3・11以降お金がかかるので除染していないため、
二階の放射線量は、2・5μSv/hと高く、一階だけで暮らしている。
彼女も子どもたちを外で遊ばせていなかったが、
それもそろそろ限界で、お祭りや花見に出かけたという。
そうすると子どもたちが、
何か物に触れる前に「お母さん、これ触っていい?」と
いちいち尋ねるのがとてもつらいそうだ。
3・11以降、全国各地で休みを利用して、
福島の子どもたちを受け入れる自治体やNGOが増えている。
この避難というか、疎開のようなことを福島の人たちは「保養」と呼ぶ。
休みが終われば、子どもたちは福島に帰らねばならない。
本当であれば、移住したほうが良いことがわかっていても、
様々な事情で移住できず、
子どもを呼び戻さなければならない親たちは、
「保養」と考えたほうが、気が楽になるためだ。
もちろん小さな子どもを持つ親はみんな、
子どもたちを県外に「保養」に出したいわけだが多くが抽選のため、
一度も当らないと嘆いている母親もいた。
希望者は誰でも「保養」できるように、
なぜ、行政が取り組んでくれないのか…と親たちは嘆くが、
行政は安全を主張しているのだから取り組むわけがない。
こんな状況の福島で、
猪苗代湖畔に県内の「保養」場所を
作ろうとしている20代のカップルに出会った。
小林幸恵さんと戸沢竜也光る湖、馬、
子どもたち、未来につながるステップへ
―猪苗代湖畔のホースセラピー計画―
竜也さんは、首都圏で働き暮らしていたが悩んだ末、
幸恵さんの故郷である猪苗代町で暮らすこと決めた。
「保養」場所に苦労している子どものために、ホースセラピーをとおして、
ストレスを解消できる場所づくりを目指している。
猪苗代湖畔は福島県内だが、
放射線量は0・06~0・09μSv/hと比較的低く、東京とあまり変わらない。
福島市や郡山市からのアクセスもよく、毎週末訪れることが可能な場所だ。
二人の取り組むホースセラピーは、乗馬だけでなく馬の世話も含まれる。
子どもたちに与えられる課題は、
「馬を殺さない」ということだけで、あとは何をして遊んでいてもよい。
「9か月も外で遊んでない福島市内の子どもは、来た時は顔が真っ白。
でもここにいる間にみるみる顔色がよくなり、たくましくなりました」と竜也さん。
幸恵さんも「ここでなら親もストレスから逃げられるんです。
ふだん外で遊ばせられないので、
夜に子どもが寝なくて困っていたお母さんが、
キャンプではぐっすり寝ている我が子を見て
安心するということもありました」と語る。
これまで、実験的にホースセラピーを何度か行ったが、
いま二人は、行政や地元の人たちを巻き込んで、
本格的な保養所作りに着手している。
保養場所を作ろうとしている場所に案内してもらった。
背後には磐梯山、目の前には猪苗代湖が一望できる美しい草原だ。
太い白樺の木があちこちに点在している。
「若い人はみな福島から出ていくことを考えるのに、
逆に戻ろうとすることに反対されなかった?」と聞くと、
やはり多くの人から止められたそうだ。
二人は、まだ20代で今後子どもも作りたい。
3・11がなければ、いずれはこの猪苗代に戻り農業をやりたかったそうだ。
幸恵さんの母親も、猪苗代は線量が低いとはいえ、
娘の故郷に戻る決断に複雑な心境だ。
しかし幸恵さんは、「自分には地元があるということが大事だった」と言う。
きっと彼女は、
この美しい猪苗代で暮らさない未来なんて選択できなかったんだろうな…だから、
ここでできることは何か一生懸命考えて決断したのだろう。
二人とも、子どもたちは移住したほうが良いと考えている。
しかしその決断をしかねている親が多い中で、ホースセラピーに参加して、
目を輝かし、草原を走り回る子どもたちを見て、
親たちに「このほうがいいんだ」と実感してもらい、
移住という次のステップへのきっかけにしてほしいと考えている。
子どもたちの保養所づくりを計画している小林幸恵さんと戸沢竜也さん
21Actio June 2012
Leave a Comment In 原発・エネルギー(f), 坂田昌子(f), 無料公開記事,
福島市の子どもたちは、外で遊べない。
保育園では、3・11以降、一度も子どもたちを外に出していない。
福島駅近くの有機野菜販売所で出会った母親は、
この一年間水道をいっさい使わず、
洗濯物も一度も外に干していないという。
彼女の家は瓦屋根だが、
3・11以降お金がかかるので除染していないため、
二階の放射線量は、2・5μSv/hと高く、一階だけで暮らしている。
彼女も子どもたちを外で遊ばせていなかったが、
それもそろそろ限界で、お祭りや花見に出かけたという。
そうすると子どもたちが、
何か物に触れる前に「お母さん、これ触っていい?」と
いちいち尋ねるのがとてもつらいそうだ。
3・11以降、全国各地で休みを利用して、
福島の子どもたちを受け入れる自治体やNGOが増えている。
この避難というか、疎開のようなことを福島の人たちは「保養」と呼ぶ。
休みが終われば、子どもたちは福島に帰らねばならない。
本当であれば、移住したほうが良いことがわかっていても、
様々な事情で移住できず、
子どもを呼び戻さなければならない親たちは、
「保養」と考えたほうが、気が楽になるためだ。
もちろん小さな子どもを持つ親はみんな、
子どもたちを県外に「保養」に出したいわけだが多くが抽選のため、
一度も当らないと嘆いている母親もいた。
希望者は誰でも「保養」できるように、
なぜ、行政が取り組んでくれないのか…と親たちは嘆くが、
行政は安全を主張しているのだから取り組むわけがない。
こんな状況の福島で、
猪苗代湖畔に県内の「保養」場所を
作ろうとしている20代のカップルに出会った。
小林幸恵さんと戸沢竜也光る湖、馬、
子どもたち、未来につながるステップへ
―猪苗代湖畔のホースセラピー計画―
竜也さんは、首都圏で働き暮らしていたが悩んだ末、
幸恵さんの故郷である猪苗代町で暮らすこと決めた。
「保養」場所に苦労している子どものために、ホースセラピーをとおして、
ストレスを解消できる場所づくりを目指している。
猪苗代湖畔は福島県内だが、
放射線量は0・06~0・09μSv/hと比較的低く、東京とあまり変わらない。
福島市や郡山市からのアクセスもよく、毎週末訪れることが可能な場所だ。
二人の取り組むホースセラピーは、乗馬だけでなく馬の世話も含まれる。
子どもたちに与えられる課題は、
「馬を殺さない」ということだけで、あとは何をして遊んでいてもよい。
「9か月も外で遊んでない福島市内の子どもは、来た時は顔が真っ白。
でもここにいる間にみるみる顔色がよくなり、たくましくなりました」と竜也さん。
幸恵さんも「ここでなら親もストレスから逃げられるんです。
ふだん外で遊ばせられないので、
夜に子どもが寝なくて困っていたお母さんが、
キャンプではぐっすり寝ている我が子を見て
安心するということもありました」と語る。
これまで、実験的にホースセラピーを何度か行ったが、
いま二人は、行政や地元の人たちを巻き込んで、
本格的な保養所作りに着手している。
保養場所を作ろうとしている場所に案内してもらった。
背後には磐梯山、目の前には猪苗代湖が一望できる美しい草原だ。
太い白樺の木があちこちに点在している。
「若い人はみな福島から出ていくことを考えるのに、
逆に戻ろうとすることに反対されなかった?」と聞くと、
やはり多くの人から止められたそうだ。
二人は、まだ20代で今後子どもも作りたい。
3・11がなければ、いずれはこの猪苗代に戻り農業をやりたかったそうだ。
幸恵さんの母親も、猪苗代は線量が低いとはいえ、
娘の故郷に戻る決断に複雑な心境だ。
しかし幸恵さんは、「自分には地元があるということが大事だった」と言う。
きっと彼女は、
この美しい猪苗代で暮らさない未来なんて選択できなかったんだろうな…だから、
ここでできることは何か一生懸命考えて決断したのだろう。
二人とも、子どもたちは移住したほうが良いと考えている。
しかしその決断をしかねている親が多い中で、ホースセラピーに参加して、
目を輝かし、草原を走り回る子どもたちを見て、
親たちに「このほうがいいんだ」と実感してもらい、
移住という次のステップへのきっかけにしてほしいと考えている。
子どもたちの保養所づくりを計画している小林幸恵さんと戸沢竜也さん
21Actio June 2012