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見沼・風の学校スタッフ竜也君の記事が載っている

2012-08-14 | 風の備忘録 
光る湖、馬、子どもたち、
未来につながるステップへ
~猪苗代湖畔のホースセラピー計画~

By actio_edit On 2012年8月13日?
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 福島市の子どもたちは、外で遊べない。
保育園では、3・11以
降、一度も子どもたちを外に出していない。
福島駅近くの有機野菜
販売所で出会った母親は、
この一年間水道をいっさい使わず、
洗濯
物も一度も外に干していないという。
彼女の家は瓦屋根だが、
3・
11以降お金がかかるので除染していないため、
二階の放射線量は
、2・5μSv/hと高く、一階だけで暮らしている。
 彼女も子どもたちを外で遊ばせていなかったが、
それもそろそろ
限界で、お祭りや花見に出かけたという。
そうすると子どもたちが

何か物に触れる前に「お母さん、これ触っていい?」と
いちいち
尋ねるのがとてもつらいそうだ。
 3・11以降、全国各地で休みを利用して、
福島の子どもたちを
受け入れる自治体やNGOが増えている。
この避難というか、疎開
のようなことを福島の人たちは「保養」と呼ぶ。
休みが終われば、
子どもたちは福島に帰らねばならない。
本当であれば、移住したほ
うが良いことがわかっていても、
様々な事情で移住できず、
子ども
を呼び戻さなければならない親たちは、
「保養」と考えたほうが、
気が楽になるためだ。
 もちろん小さな子どもを持つ親はみんな、
子どもたちを県外に「
保養」に出したいわけだが多くが抽選のため、
一度も当らないと
嘆いている母親もいた。
希望者は誰でも「保養」できるように、
ぜ、行政が取り組んでくれないのか…と親たちは嘆くが、
行政は安
全を主張しているのだから取り組むわけがない。
 こんな状況の福島で、
猪苗代湖畔に県内の「保養」場所を
作ろうとしている20代のカップルに出会った。
小林幸恵さんと戸沢竜也光る湖、馬、
子どもたち、未来につながるステップへ
―猪苗代湖畔のホースセラピー計画―


竜也さんは、首都圏で働き暮らしていたが悩んだ末、
幸恵さんの故郷である猪苗代町で暮らすこと決めた。

「保養」場所に苦労している子どものために、ホースセラピーをとおして、
ストレスを解消できる場所づくりを目指している。

猪苗代湖畔
は福島県内だが、
放射線量は0・06~0・09μSv/hと比較的低く、東京とあまり変わらない。
福島市や
郡山市からのアクセスもよく、毎週末訪れることが可能な場所だ。
 二人の取り組むホースセラピーは、乗馬だけでなく馬の世話も含まれる。
子どもたちに与えられる課題は、
「馬を殺さない」とい
うことだけで、あとは何をして遊んでいてもよい。
「9か月も外で
遊んでない福島市内の子どもは、来た時は顔が真っ白。
でもここに
いる間にみるみる顔色がよくなり、たくましくなりました」と竜也さん。

 幸恵さんも「ここでなら親もストレスから逃げられるんです。
だん外で遊ばせられないので、
夜に子どもが寝なくて困っていたお
母さんが、
キャンプではぐっすり寝ている我が子を見て
安心すると
いうこともありました」と語る。
 これまで、実験的にホースセラピーを何度か行ったが、
いま二人
は、行政や地元の人たちを巻き込んで、
本格的な保養所作りに着手
している。
保養場所を作ろうとしている場所に案内してもらった。
背後には磐梯山、目の前には猪苗代湖が一望できる美しい草原だ。
太い白樺の木があちこちに点在している。
 「若い人はみな福島から出ていくことを考えるのに、
逆に戻ろう
とすることに反対されなかった?」と聞くと、
やはり多くの人から
止められたそうだ。
二人は、まだ20代で今後子どもも作りたい。
3・11がなければ、いずれはこの猪苗代に戻り農業をやりたかったそうだ。
幸恵さんの母親も、猪苗代は線量が低いとはいえ、
娘の
故郷に戻る決断に複雑な心境だ。
 しかし幸恵さんは、「自分には地元があるということが大事だった」と言う。
きっと彼女は、
この美しい猪苗代で暮らさない未来な
んて選択できなかったんだろうな…だから、
ここでできることは何
か一生懸命考えて決断したのだろう。
 二人とも、子どもたちは移住したほうが良いと考えている。
しか
しその決断をしかねている親が多い中で、ホースセラピーに参加して、
目を輝かし、草原を走り回る子どもたちを見て、
親たちに「こ
のほうがいいんだ」と実感してもらい、
移住という次のステップへ
のきっかけにしてほしいと考えている。
子どもたちの保養所づくりを計画している小林幸恵さんと戸沢竜也さん

21Actio June 2012