mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

森林浴のお陰か?(1)森の中を歩く

2023-06-27 14:16:31 | 日記
 植物好きのカミサンがチケットをもらったというので、群馬県の赤城自然園へ向かった。大きな赤城山群の西側中腹、標高650mほどのところに設えられている広大な森林。静かだった。
 10時ちょっと過ぎに入口に到着。白いガクアジサイのような装飾花をつけたイワガラミが迎えてくれる。日光の植物園も入口にイワガラミがあった。この花は、何かこのように用いられるわけでもあるのだろうか。
 入園、地図を受けとり、歩くルートを大雑把に考える。それほど、いくつもに分かれた道が四通八達している。シャクナゲ園、散策の小径などと名付けられている。ところどころに①から⑳までの番号を振った札が目立たぬように立てられ、地図と照らし合わせれば、今どこにいるか迷わぬように案内されている。
 鬱蒼とした森に分け入るような気配。おっ、ガクサジサイがあった。イワガラミに比べると装飾花が大きく、かっちりしている。葉もゴワゴワと硬そうだ。オカトラノオが根方から先ちょへかけて花を開きつつある。カメラを構えていると、こっちにもあるよとカミサンが声をかけ、みると群落が花盛りのはじまりのようだ。ホタルブクロが咲いている。山でみるヤツは、こんなにひと茎にいくつも花をつけていたっけかと,記憶を辿る.わからない。
 レンゲツツジが色鮮やかな赤色を広げて結構な大木である。赤と言ってもいろいろあるが、ヤマツツジのいくぶん柿色が混ざった赤よりは朱色に近い。花期をすぎたウバユリが打ち萎れるように花を下に向けて蔕のところにまだらのシミのような汚れをつけた葉を残して頭を垂れている。サクラソウのような色合いの,今開いたばかりという風情の花が周りに蕾を従えて咲いている。マンテマだそうだ。へえ、初めて耳にする花の名だ。
 白いマラカスのような形の蕾を鈴なりにして、開花するとマラカスの先が割れ開く一群がある。オオバギボウシだという。賑やかだが清々しい感触。と、向こうからやってきた一団の説明役の人が、「これは伊勢神宮の正面に架かる橋の欄干につくられている擬宝珠に似ていてこの名が付いた」と説明している。わが師匠は、「何も伊勢神宮まで持ち出さなくてもいいのに」と説明の大仰さに驚いている。
 きれいな紫色の花びらが開いて雌蕊が突き出た花があった。自然園で発行している「花ごよみGUIDE BOOK」をみると「カンパニュラ」とある。栽培種の名のようだ。帰って調べてみると、「風鈴草」の仲間とある。ホタルブクロとも仲間だ。でもそうか? そう思って写真を細かく見る。自動焦点のデジタル・カメラだが、たまたま焦点がよくあっていて、PCでは大きく拡大できる。葉っぱもそうだが、花びらからも毛がいっぱい生えている。オモシロイ。なるほど花びらの下1/3は筒状になって,元は釣り鐘状の花だったことがワカル。ふ~ん、そうなんだと,むしろカメラの能力に感心している。
 池の端にシモツケがまあるく密集させた花をつけている。桃色と白の花が混じり合っている。周辺部が桃色、中央部が白い。周辺部から咲き始めるのかな。とすると、ズミなどとおなじに、咲いて後に色が変わるのか。これは木だという。シモツケソウもあった。こちらは散乱するように広く花を開かせて草だという。おなじような名なのに、草木の違いがある。ホザキシモツケも早い花は開いていた。これは奥日光の戦場ヶ原でよく見掛けた。
 こうして、ぶらりぶらりと、足を進める。向こうから来た女の方が、「いいですねえ、夫婦一緒で」とカミサンに話しかけている。えっ、向こうさんも二人連れではなかったか。「いえね、夫が他界しましてね。息子が行こうって誘い出してくれてきたんですよ」と言葉を添えている。そうなんだねえ、ご自分の境遇で見えるものがみえるってことですねと、カミサンは後で感想を漏らしていた。
 平日の曇り空。高齢者が多い。二人連れで散策している。日ざしが出てもこの自然園なら、帽子なしでも一向に困らない。風の通りも悪くない。標高もあるから平地より4度くらい低いのかもしれない。「こんな歩き方じゃあつまらないでしょう」とカミサンは言う。だがそうじゃないんだね。さかさかと歩こうと思っていると,こんな風に時速2キロにもならない歩き方は、たしかにオモシロくないかもしれない。だがこうやって、草花を愉しむって心していれば、つまんないどころか、森がありがたい。
 おや、あの声はクロツグミじゃないか。聞くと、そうだね、キヨコキヨコって聞こえるねと師匠は応える。そうだ、私は白馬のペンションへ行った早朝散歩でこの声を聞いてトラツグミって教わった。夜明けの白みはじめた空を背景に黒っぽい姿も見た。名前もクロが付いていたからクロっぽくて不思議ではなかったが、あれはシルエットをみただけだったなあと思いだした。おっ、こちらはキビタキのようだ。双眼鏡を出して、声のする方向に目をやる。樹間を飛び交う影が見える。あっ、あっ、いたいた、向こうの横に延びた小枝に止まってるよと師匠に告げる。師匠も双眼鏡を覗いて、そのまま動かないでねと声をかけて、私の双眼鏡の向かう方向をみている。飛ぶ。おっ、という間に、もっと見やすい枝に黄色い腹を見せて止まる。ちょんと向きを変え背中を見せるる。
 こうして自然園の半分を回り「自然生育園」と名付けられた北半分へ「ナナフシ橋」を渡る。(つづく)