労働問題は、要するに「力関係」である。人を雇う側は、なるべく安く、長時間働いてくれればいいし、指示どおり、あるいは、それ以上に仕事をしてくれたらいい。
労働者の側は、賃金は高いほどいいし、労働時間は短く、いろんな趣味や、家族との団欒などで、人生を楽しみたいのである。
どうしても、労使関係は、ぶつかる関係であり、歴史は、血みどろの闘いを記録している。日本の場合、今の、いや、もう少し前の一億総中流といわれた時代は、敗戦後、外国から与えられた、民主主義、労働法のおかげで、イッチョマエの労働環境を手に入れることができたのだった。
共産党の力もあったし、支配層とウラでは結託してきた匂いのある社会党など、表面的には、相当な、「階級的」なせめぎあいがあり、春闘やストライキなど、年中行事があって、労働環境は相当によかった面もあったのである。
ところが、郵政選挙という口実で、小泉首相が政権につくと、郵政が争点であったにもかかわらず、それより、デカイ問題を持ち込んできた。労働法の改悪である。それまで、非合法だった口入れ業を導入し、派遣業法を成立させて、非正規雇用への道を開いたのである。
その後の展開は、雇用者側の力が大きくなり、正社員はますます減り、労働者の力は、見る影もない。まさに資本のいうとおり、なすがままである。真面目な人は、非正規雇用に追い込まれたのは、自分のせいだと考えたりする。
単純に、欲深の連中のせいなのだが、それを自分の問題としてとらえようとする。ここから、どうやって、力関係を逆転していくのかは、その第一歩は、まず、今度の選挙である。
ここで、今、困難な状況にある人々が、自分の一票なんか、と考えずに、行動に出た時に、事態は変わる。まずは、それを実行しなければ事態は変わらない。