----これって是枝裕和監督の『誰も知らない』以来となる現代劇。
けっこう話題を読んでいるよね。
「うん。彼はドキュメンタリー現場が長く、
その後に作られた最初の劇映画が『幻の光』。
それ以降も『ワンダフルライフ』とか『ディスタンス』とか…。
正直言って、
どちらもぼくにはあまりピンとこなかったんだけど、この映画は別。
もう彼独自の世界を確立していると思ったね」
----どういうところが?
「この映画、最初のうちは何が起こっているのか皆目分からない。
で、見ているうちに、次第に、
『ほほ~っ、今日はある人の命日で、
家族が集まってきているんだな』と分かってくる。
徐々に状況を説明するという、その構成からしても
あまり中身を明かさない方がいいという気がしないでもないんだけどね」
----???????
「でも、まったく説明しないと
映画の観どころについても触れられないから
少しだけ。
舞台は、ある老夫婦が住む高台にある家。
その夫婦の長男の命日にやってきた次男夫婦との会話によって
映画は進んでゆく。
ところがその会話というのが、普段の人間関係ではありえないような
皮肉で辛辣な言葉が飛び交うんだね。
表面的には、ぼくらはそれを笑って観られるけど、
中にはかなり残酷な言葉も出てくる」
----ふうん。そうか、
つまるところ、これは一種の家庭劇ニャんだね。
「そういうこと。
この映画を観る限り、
是枝監督はかなり周囲の人々を観察しているね。
その昔、環八のファミレスで
カップルたちの会話に耳を傾けてそれを歌にした
ユーミンのように----」
----なるほど、それだけリアルなんだ。
「うん。ちょっと辛くもある。
しかし、逆にこうも考えたんだ。
たとえば小津安二郎の映画を
いまの人が受け入れているように、
この映画の中の辛辣な笑いは30年後、50年後も
同じように受け入れられるのではないか…と。
いや、受け入れられてほしいなと」
----どうして?
「辛辣で残酷ながらもそれを口にすることが許しあえる、
“素敵に不思議な”関係。
それはある意味、家族だけが持てる特権。
これはもしかしたら、
日に日に殺伐としてゆく人と人の交わりの
最後の希望なのかもしれない……。
と、ぼくはそう思ったわけだ」
-----ZZZ……人間ってヤツは……むにゃむにゃ。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「フォーンはお母さん覚えてないのニャ」
※タイトルは“いしだあゆみ”だ度
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けっこう話題を読んでいるよね。
「うん。彼はドキュメンタリー現場が長く、
その後に作られた最初の劇映画が『幻の光』。
それ以降も『ワンダフルライフ』とか『ディスタンス』とか…。
正直言って、
どちらもぼくにはあまりピンとこなかったんだけど、この映画は別。
もう彼独自の世界を確立していると思ったね」
----どういうところが?
「この映画、最初のうちは何が起こっているのか皆目分からない。
で、見ているうちに、次第に、
『ほほ~っ、今日はある人の命日で、
家族が集まってきているんだな』と分かってくる。
徐々に状況を説明するという、その構成からしても
あまり中身を明かさない方がいいという気がしないでもないんだけどね」
----???????
「でも、まったく説明しないと
映画の観どころについても触れられないから
少しだけ。
舞台は、ある老夫婦が住む高台にある家。
その夫婦の長男の命日にやってきた次男夫婦との会話によって
映画は進んでゆく。
ところがその会話というのが、普段の人間関係ではありえないような
皮肉で辛辣な言葉が飛び交うんだね。
表面的には、ぼくらはそれを笑って観られるけど、
中にはかなり残酷な言葉も出てくる」
----ふうん。そうか、
つまるところ、これは一種の家庭劇ニャんだね。
「そういうこと。
この映画を観る限り、
是枝監督はかなり周囲の人々を観察しているね。
その昔、環八のファミレスで
カップルたちの会話に耳を傾けてそれを歌にした
ユーミンのように----」
----なるほど、それだけリアルなんだ。
「うん。ちょっと辛くもある。
しかし、逆にこうも考えたんだ。
たとえば小津安二郎の映画を
いまの人が受け入れているように、
この映画の中の辛辣な笑いは30年後、50年後も
同じように受け入れられるのではないか…と。
いや、受け入れられてほしいなと」
----どうして?
「辛辣で残酷ながらもそれを口にすることが許しあえる、
“素敵に不思議な”関係。
それはある意味、家族だけが持てる特権。
これはもしかしたら、
日に日に殺伐としてゆく人と人の交わりの
最後の希望なのかもしれない……。
と、ぼくはそう思ったわけだ」
-----ZZZ……人間ってヤツは……むにゃむにゃ。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「フォーンはお母さん覚えてないのニャ」
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ぼくは是枝監督、かつては肌に合わなかったんです。
特に劇映画デビューの『幻の光』がダメで…。
この映画もドキュメンタリー出身作家ならではの
独特の間の捉え方を持っていると思いますが、
当時に比べて
映画として「見せる」ことの「余裕」が出てきた気がします。
そのターニングポイントは、やはり
『誰も知らない』からではないでしょうか?
ドキュメンタリストならではの視点と、物語としての洗練さが上手い具合に融合してきていると思います。
この映画もどこにでもあるようだけど、しっかりとテーマを組み込んで描いていますね。
なんだか身につまされるような描写ばかりでした。
今年の盆はちゃんと実家に帰ろうと思いましたもの(笑