ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

2018-11-15 22:55:51 | 新作映画
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』



(ネタバレなし)
ある意味、今年最大の嬉しい誤算であった。
『ハリポタ』は第1作からすべて初版で揃えたほどハマってしまった自分だが、
それだけにすべてが終わった後の虚脱感は大きく、『ファンタビ』に対しては、なぜ番外編を作るのか? と、正直怪訝な気持ちでいたのだ。
あにはからんや、第1作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』にはまったくノレず。
物語より前に、主人公に扮するエディ・レッドメインに華がない。
しかも彼が活躍(?)する舞台が「新世界」アメリカ。これほどファンタジーに似つかわしくない場所はない。
後で生まれた作品ではあるが、新版『ゴーストバスターズ』などと同じ、クライマックスの持っていき方はどれも似たり寄ったりとなってしまう。
『ハリポタ』は主たる舞台がもう一つのロンドン。イギリスの児童文学、その代表作「メアリー・ポピンズ」にもあるように、
公園の石畳に描かれた絵から、あちらの世界へと行ける、それが子供の夢を掻き立てるのだ。

さて前置きが長くなったが、この第2作は物語の舞台を欧州に戻したことで、窮屈感がまったくなくなった。
なにせ、ダンブルドア(ジュード・ロウ)は出てくるわ、ホグワーツは出てくるわで、
「ハリポタ」ファンはもうそれだけでクラクラ。
いや、なにも黒い魔法使いグリンデルバルド(ジョニー・デップ)のかけた目くらましの術にかかったわけではない。映画はあきらかに軌道修正(?)が行われている。
前作では、顔見せという印象しかなかった「魔法動物」が今回は物語と有機的に絡んでいき、それぞれのキャラクターにたっぷりと感情移入ができる。
監督はデイビッド・イェーツ。彼は「ハリポタ」がダークになっていく『不死鳥の騎士団』以降の章をまとめあげた人。
『魔法使いの旅』とこの『黒い魔法使いの誕生」はある意味、『賢者の石」から『死の秘宝』に一気に飛んだ、
それくらいの奥行き、そして迫力がある。

さて、その奥行きとは? それを明かすのは公開前のこの時期、さすがに控えたい。
しかし、これだけは言ってもいいだろう。いま世界にはびこる民族、そして「我が国ファースト」。そこから派生する排他性、不寛容、そして分断。
純血にこだわることはなんて愚かで、そして恐ろしいことか。この映画はいまの時代の空気、風潮に敢然と立ち向かう意欲作。一年の締めくくりにふさわしい。


(byえい)

※日本人にとっては、それぞれ違う意味でドキッとするシーンが二ヶ所。いやあ、よくやったな。
※いま振り返ってみると、ヴォルデモートはその絶対的な力で相手に死の恐怖を与え、悪に君臨するダース・ベイダー型。それに対してグリンデルバルドは相手の心理を巧みに操る。政治家タイプかな。

マタゴスという黒猫そっくりの魔法動物が出てくるのニャ。ということで今回はカノンも。
まあ、映画もある意味、バディムービーの要素もあるし…(byパンセ)

やはり悪役らしいのニャ(byカノン)