ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『クリード・チャンプを継ぐ男』

2015-11-29 18:49:26 | 新作映画
(原題:Creed)


----この映画、えいが嫌いな『ロッキー』のシリーズ最新作。
まさかここで取り上げるとは、えいも変わったニャあ。
「いやいや。
これはほんとうによくできた映画。
もし、これさえも受け入れなかったら、
ぼくは単なる偏屈おやじになってしまう」

----そもそも、なぜ『ロッキー』が好きじゃないの?
アカデミー作品賞も取っているし、人気が高い映画なのに…。
「うん。
じゃあ、またまたTwitterを基に話してみようか。
この『クリード・チャンプを継ぐ男』を観た後のつぶやきでも、
そこには触れているし…。

『ロッキー』が嫌いなのには裏表ふたつの理由がある。
ひとつは映画の作り方。
シンプルなストーリーをそのままなぞって気がついたらラストゲーム。
その試合もラウンド表示ボードで途中、すっ飛ばし。
一方、この『クリード〜』はラウンドごとのふたりの変化を
肉体、心理両面に渡りじっくり見せてくれる。

『ロッキー』が嫌いなもう一つの理由。
それはハリウッドに激震を起こしたアメリカン・ニュー・シネマに終焉をもたらせたから。
まあ、時代の要請もあったのだろうが、
それにしても『ロッキー』はあまりに無邪気にアメリカン・ドリームを謳いあげていた。
そこがどうしても自分の肌には合わなかったのだ。


ちょっと『クリード・チャンプを継ぐ男』の魅力にも触れてしまったけど、
大きく分けてこのふたつだね。
表の理由は<映画自体の作り>
そして裏の理由は<映画史の流れをいったん止めてしまったこと>
井筒和幸監督はスピルバーグがアメリカン・ニュー・シネマを終わらせたと言っているようだけど、
それを言うなら、ぼくは『ロッキー』の方だと思う。
そもそもスピルバーグはエンターテイメント、
一つのジャンル・ムービーとしてとして登場したわけだし、
あれはあれでよかったと、
そうぼくは思うな」

----う~ん。でもいまの話って
映画史という大きなものを語ってはいるけど、
結局は、個人の趣味にすぎないような…。
「(汗)。
そう、その<裏>の部分ではね。
さて、それでは一昨日『クリード・チャンプを継ぐ男』を観てすぐ、
一発目のつぶやきを紹介。

やたら前評判がいい『クリード・チャンプを継ぐ男』。
確かに。ロッキー・シリーズで初めて目頭が熱くなった。
過去作の記憶に残るエピソードを細心漏らさず散りばめるところに、
この映画の脚本・監督ライアン・クーグラーの思い入れの深さがわかる。
音楽の使い方も心得たもの。場内では拍手も。


いま言ったことの繰り返しになるけど、この映画、
監督のライアン・クーグラーがほんとうに
『ロッキー』を好きだったことが
ぼくレベルのファンにも伝わる、
とにかくロッキー愛に満ちた映画
まだ30台と思しきこの若手監督は、
子供のころから父親とシリーズを観て育ったと語っている。
その彼は、このロッキーという“偉大なキャラクター”を
映画から失ってはいけないと思ったというんだね。
かくして映画化の承諾を得るべくスタローンの前に現れた彼は、
ロッキーの最大のライバルであり友であるアポロ・クリードの息子アドニス(マイケル・B・ジョーダン)
その主人公とする構想を彼に語ったわけだ」

----そうか。
この映画は、ロッキーがアポロの息子アドニスのトレーナーになるという話だったよニャ。
あまりにも出来すぎている気がして、
フォーンは、ちょっとシラけたけどニャ。
「ぼくも最初は無理があると思った。
でも、そこはよく考えられたもの。
アドニスは実はアポロの私生児。
施設を転々とした後、アポロの正妻の元へ。
この設定が重要で、
アポロはアドニスが生まれる前に亡くなっている。
でも自分には彼の血が流れている。
そして自分が生まれたことは間違っていなかったと、
それを証明するべく彼は戦うわけだ」

---ニャるほど。
戦う“動機”はあるわけだ。
でも、そこからは無名のボクサーが
猛練習を重ねて
上へ上へ行くという、
お定まりのパターンでしょ?
「もちろん。
でもね、今回の映画がうまいのは、
かつてのシリーズをなぞる展開の中に、
シリーズで起こったさまざまな出来事が
思い出の場所とともに立ち上ってくる
ところ。
それはロッキー自身の練習法などとも重なり、
過去の名シーンが観ている観客の中に甦り、
いまそこにある新作との間に不思議な化学反応を起こすんだ」

---たとえば?
「あまり細かく言うと、
これから観る人の楽しみを奪ってしまうから
一例だけ。
『ロッキー2』
ロッキーが子供たちに囲まれながら
テーマ曲の高揚とともにフィラデルフィアの階段を駆け上るという
実際にはありそうにないけど、
映画としては盛り上がるシーンがある。
あれに似たものが今回再現される。階段こそ使われないけどね。
あと、音楽だね。
『ロッキー』といえばおなじみのテーマ曲。
これを徹底して使わない。
なぜって、これはクリードの映画だから。
でも、それに代わる新しいテーマ曲、
さらには彼の恋人で歌手のビアンカ(テッサ・トンプソン)が歌う歌が、
もう新たなスタンダードとならんばかりの勢いで
この映画を盛り上げるんだ。
で、(※ここちょっとネタバレ)ある瞬間だけ、
『ロッキー』のテーマが鳴り響く。
もう、ゾクゾクってきたね。
よく、映画にオマージュを捧げるってあるけど、
それって形ばかりのことが多い。
たとえば『007 スペクター』
確かにあの映画には、あちこちにこれまでのシリーズ・ネタが散りばめられているけど、
本編から浮いている。
ブロフェルドと白い猫などがいい例。
ただ、出せばいいってものじゃない。
繰り返しになるけど、
この『クリード・チャンプを継ぐ男』での過去作からの引用は愛がある。
だから観ている方と共鳴するんだ」

---そういえばスタローンは
アカデミー賞助演男優賞を取るかも?
なんて言われているよね。
「それも分かるな。
最後に、再びTwitterから…。

あっ、あとこれは言っておかなくちゃ。
『クリード・チャンプを継ぐ男』。
アカデミー助演男優賞の呼び声高いスタローンの演技。
これも分かる。オスカー会員好みの役柄。
そしてそこには今まで誰も見たことがないスタローンがいる。


ここだけ読んで分かる人は分かると思われる役柄。
ただ、スタローンのその役作りは
おそらく想像をはるかに超える。
よくぞここまで思い切った。
観た人はそう思うこと間違いないよ」

---う~ん。気になるニャあ。

フォーンの一言「ミッキーやエイドリアンの話も出てくるらしいのニャ」身を乗り出す

※内海陽子さんは『ロッキー』をどう観ているのか、話したことなかったけど
今度の作品への評価とともに聞いてみたい気がする度

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