大塚祐吉監督『罪の余白』に圧倒された。
内野聖陽の針を振り切った演技。
そしてそれさえも飲み込まんばかりの吉本実憂。
断言できる。
この女優は将来、大器となる。
----この映画、どんなお話?
今までまったく聞いたことがなかったニャあ。
「う~ん。
一言で言えば、
学校内で亡くなった娘。
その死の真相を追求しようとする父親と、
ある女子高生との対決の映画」
----え~っ。
それって、少し前に話題になった
『渇き。』に似てニャい?
「ぼくも最初その映画が頭をよぎったけど、
あれは映像のギミックが目につきすぎて、
テーマが絞り切れていなかった気がする。
それに比べてこちらはもっとオーソドックス。
直球勝負の映画だね」
----いじめがモチーフの映画というと
『問題のない私たち』なんていうのもあったよね。
「うん。
あの映画は、
それまでいじめられていた側の生徒が
いじめる側になったり。
あるいはその逆に
いじめの首謀格だった生徒が
いじめの対象になったりと、
クラス内のいじめの構造に焦点を当てていた。
ところがこの映画は、
そういう、いじめの手練手管(?)や、
そこからどう逃れるかなどといった
校内サバイバルものとは趣を異にする。
『桐島、部活やめるってよ』で有名になった言葉、
<校内カースト>を使えば、
この映画の主人公は
クラスの頂点に立つ美少女・咲(吉本実憂)。
その子がかけた、ある“圧力”がもとで、
同級生の香奈がベランダから落ちてしまったところから物語は始まっていく」
----えっ?
じゃあ、それって事故じゃニャい。
「そこが難しいところで、
これは一種の罰ゲーム。
そしてここがこの映画の新しいところでもあるんだけど、
犠牲者・香奈は咲のグループに属している。
つまり“選ばれた”一員でもあるんだ」
---えっ?
だったらどうして?
「そこがこの映画のポイントだね。
咲は生まれついての美貌を持ち、
将来は女優を目指している。
その彼女のプライドを傷つける
ちょっとした言葉を香奈は口にしてしまったんだね。
実は、映画の中盤で
咲が芸能プロダクションの面接を受けるシーンが出てくる。
そしてここがそれまでの映画のトーンとはまったく違うんだ。
でも、その違和感が逆に
観る者の心に強く残る仕掛けとなっているんだ」
---ニャるほど。
物語の主軸は、その
咲って女の子にあるんだニャ。
「そう。
この強烈な個性をいやというほど見せきるところが
この映画の凄さ。
咲は、自分が周りからどう思われているかを熟知。
かつ、その先の先まで読むことができる。
だからちょっとした情報を基に、
香奈が日記を残していることをつかむと
クラスの別の女性との名前を使って
香奈の父親・安藤(内野聖陽)のもとに乗り込んだりまでする。
結局、それによってで安藤は咲の存在を知り、
彼女と対決することになるわけだけど…」
---ふむ。
周りはみんな咲の味方…ってことだニャ。
「そうなんだ。
まあ、相手は“美貌という鎧を持つ悪魔”。
娘を亡くして身なりも生活もズタボロの
くたびれた親父の言うことなど周りは聞きはしない。
そして咲はまたそれを巧みに利用するわけだ。
もう観てて、何度、怒りで震えたことか。
案の定、父親はキレちゃう。
この傷心から復讐へと転じていく父親を演じた内野聖陽の演技は鬼気迫るものが。
そしてそれにもまして、
俳優イメージに傷がつく危険を冒してまで
咲という役を完璧に演じきった吉本実憂には、
ただただ感服あるのみ。
このダーティイメージを覆したとき、
そこには役者としてのさらなる栄光が待っているんだろうな」
フォーンの一言「谷村美月との対面シーンもスゴいらしいのニャ」
こんな美女に目をつけられたら終りだ度
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