雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

魍魎の匣

2017-01-10 21:00:00 | 

京極夏彦著"魍魎の匣"を読みました。
京極堂シリーズの一冊です。
恐ろしく分厚い本で読み通せるだろうかと思いました。
大丈夫、読めます。

"姑獲鳥の夏"に登場した人物が今回も活躍します。
京極堂こと中禅寺明彦、刑事の木場、探偵の榎木津、
小説家の関口、今回初登場のカストリ雑誌「實録犯罪」の
編集者の鳥口、刑事の青木などが登場します。

最初に中学生の楠本頼子と柚木加菜子との交流の場面が
描かれています。
二人は内緒で旅行に出かける途中で、加菜子が列車事故に
会いました。
たまたまそこにいた木場が事件に関わり合います。
四角の建物の美馬坂近代医学研究所に運ばれました。
加菜子は人が見ていたのにベットから消えてしまいました。
同じころ研究所の職員の須崎が殺されています。

相模湖から切り取られた手が発見されます。
それを調査に行った関口と鳥口はたまたま四角の建物に
たどり着きます。

他にも切り取られた手、足が箱に入れられいくつも
見つかります。
4人の若い女性のものだとみられます。

榎木津は柴田財閥の弁護士の増岡から消えた加菜子の
行方を捜して欲しいと依頼を受けます。
加菜子は社長の息子の子に当たるといいます。
加菜子の母の柚木陽子は元女優の美波絹子です。
木場は絹子の大ファンでそのためこの事件にのめり込んで
います。

巷では穢れ封じの御筥様が信者を集めています。
久保竣公という幻想作家が現れます。
箱にみっしりと入ると落ち着くというようなおかしな
小説を発表しています。

関口と鳥口、榎木津、木場とそれぞれ別々の所から
事件に関わります。
彼らが京極堂の家に集まってきてそれぞれが知った
ことを話すことによって情報が集積されていきます。

いろんな事件が重なり合っています。
京極堂はそれぞれに決着をつけていきます。

長い年月が人々の心を形作っていきます。
頼子の母、陽子、久保と登場人物の多くがそれぞれ苦しく
辛い人生を歩んできています。
年の若い頼子、加菜子は現在は幸せでなくてもこれからの
人生を切り開いていくことは可能だったのに残念です。

魍魎についての薀蓄はよくこれだけのこと知っているなと
思います。
おもしろいです。内容は頭に入りませんが頭を通過した
だけでもいいことです。

前半はちょっと散漫ですが、京極堂に集合するあたりから
スピードが増します。
後半になるほど内容が濃くなります。
人体に関する考え方、映画や他の文学でも見られますから
あり得る考え方ではありますが、嫌ですね。
将来には実現化される技術なのかもしれませんね。

このシリーズを読み続けると精神状態がおかしくなって
きそうです。
続けて読まないで間を置いて少しづつ読んでいくことに
します。

字を重ねて使う言葉の後の文字を普通"々"で現します。
しかし京極さんは同じ文字を並べて書いてます。
あまり目につくので書き留めながら読みました。
"山山"、"中中"、"別別"、"色色"、"早早"、"徐徐"、"我我"、
"元元"、"高高"、"追追"、"人人"、"先先"、"次次"、"少少"、
"段段"、"然然"、"戦戦恐恐"
他の本を読んでいて"々"が出てくるかなんて気がついたこと
ありません。
こんなにあるものなんですね。