雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

午前三時のルースター

2011-06-26 17:28:30 | 

垣根涼介著"午前三時のルースター"を読みました。
垣根さんのデビュー作品でサントリーミステリー大賞を
取ったものです。
とてもおもしろかったです。
先が知りたくて夢中で読んでしまいました。
旅行会社に勤める長瀬はジュエリー・ナカニシの社長
から孫の慎一郎の添乗員としてベトナムへ行って
くれるよう頼まれます。
高校入学のお祝いとして行きたいというのですが本当の
目的はベトナムで死んだとされる父親を探すためです。
テレビ番組のベトナムの特集で父親が写っていたというのです。
長瀬の友人の源内は親が残してくれた遺産で今は無職です。
元放送局勤めだったため情報を求めたら、ベトナムへ
ついて来ることになりました。

ベトナムでは最初からじゃまが入ります。
日本で予約したホテル、ガイド、運転手がキャンセル
されていました。
改造された車を気に入ってクシードライバーのビエンを
運転手に、娼婦のメイをガイドとして雇います。
テレビで放映された市場から父親探しが始まります。
5人が車に追われたり危険な目にあったりと、冒険が
始まります。
いったい誰が彼らがサイゴンに来たことを知っていて
妨害するのか、父親は生きているのかと、いっきに
読ませます。

(ねたばれです。本を読みたい人は見ないでください)
父親は生きていました。ベトナムで会社を立ち上げる
資金を横領して新事業を始めてボスに収まっていました。
違法とはいえないのかも知れませんが危なそうな仕事で
暴力をいとわない男たちに囲まれています。
慎一郎は父親に捨てられたことになります。
こういうこともあるとはわかっていてもまだしっかりと
受け止められません。
祖父は同じ番組を見て調べさせ何もかも知っていました。
父親に会わせまいとじゃまをしていたのは祖父でした。

慎一郎は祖父とは父親のこと、じゃまをしたことを
知らなかったこととして暮らしていこうと決心します。
母親自体が相手を気に入っているのですが政略結婚の
結婚をする予定です。
慎一郎はこれからどうやって生きていくのだろうかと
思わせられます。
でもしっかりしている慎一郎は自分の道を見つけて
生きていくでしょう。
長瀬も源内も好感が持てる人物です。
ビエン、メイとも危険を共にして仲間として過ごします。

ワイルド・ソウル君たちに明日はないの主人公たちの
あくの強さはこの本の登場人物にはなく、冒険心は
あるものの普通の人です。こちらの本の人たちの
方が身近に感じて好きです。
車のことはマニアックに書かれています。
書くために調べたのではなく作者自身が本当に車が
好きなんだろうなと感じられます。

午前三時のルースターってなんだったけと本を見直し
ました。ルースターは一番鶏だそうです。
本の最後に出てきます。

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