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ロシアンサウナ的存在

2008-12-27 | 佐藤優『国家の罠』&モロゾフ・野坂参三
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2008年12月27日(土)00時42分20秒

>筆綾丸さん
いえいえ。
急ぐ必要は全くない話ばかりなので、適当に休んでください。
私は今日、『大正ロマンをチョコレートに包んで-モロゾフ文化を創った「葛野友太郎」の仕事-』(井上優著、オリジン社、1993)を読んでいました。
葛野友太郎氏は経営者としては本当に立派な方ですね。
後で少し紹介したいと思います。

>『罪と罰』
全体的な雰囲気や語り口が、確かに『罪と罰』を連想させますね。

さて、佐藤優氏は大変な人物ですが、特に私がすごいなと思ったのは「クオーター化の原則」を守ったことです。

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 さらに私が要請したのはクオーター化の原則である。この原則は情報の世界では当たり前のことであるが、全体像に関する情報をもつ人を限定することである。知らないことについては情報漏れはないので、秘密を守るにはこれが最良の方法だ。檻の中にいる者には極力情報を与えず、檻の中から得る情報については弁護団だけが総合的情報をもつようにするという考え方である。
 弁護団は「ふつう中にいる人は外の様子を少しでも多く知りたがり、自分の置かれた状況について全体像を知りたがるんですが、ほんとうにクオーター化してよいのですか」と念を押すので、私は「獄中という特殊な状況に置かれている以上、この方法しかないと思います」と答えた。
クオーター化の原則を貫いたことで、結果として余計な情報が検察に抜けなかった。そもそもこの種の国家権力を相手にする闘いで被告人側の勝利ということはありえないのだが、少なくとも「マイナスのミニマム化」には成功した。(p290)
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私は「クオーター化の原則」という言葉自体を知りませんでしたが、仮に知識として知っていたとしても、とても実行はできそうにありません。
こんなことをごく自然にできるのですから、佐藤氏は化け物のような人物ですね。
これだけの知識・経験と覚悟を持った人間に比べると、「こっちは組織なんだよ」といった陳腐な脅し文句といい、お涙頂戴話にすぐウルウルするナイーブさといい、西村氏のやることなすことすべてトンチンカンで、何だかなー、という感じがします。
部屋を暗くして怒鳴りつけるなど、コントとしか思えず、最初から佐藤氏に舐められてしまってますね。
「僕がその銀行員を怒鳴りあげたときは、隣の調室の検察官が『西村、いったいどうしたんだ』と心配したくらいだ」との点も、同僚に頭がおかしくなったのではないかと思われるほどひどく怒鳴りつけて供述を強要したら、特別公務員暴行陵虐罪(刑法第195条) に該当し、西村氏自身が立派な犯罪者です。
被疑者に捜査上の秘密をベラベラしゃべりまくっている点は、もちろん国家公務員法違反(第100条1項・109条12号、秘密漏洩罪)ですね。
何でも曝け出してしまうのだから、西村氏にとって佐藤氏は、エリツィンが好んだというロシア製サウナ風呂のような存在ですね。
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