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「佐藤劇場」のその後

2013-12-30 | 佐藤優『国家の罠』&モロゾフ・野坂参三
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年12月30日(月)14時49分57秒

>筆綾丸さん
ご紹介の手嶋龍一・佐藤優氏の共著、『知の武装 救国のインテリジェンス』(新潮選書、2013)を読んでみましたが、p90に次のような手嶋氏の発言がありますね。

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十七世紀にヨーロッパでウェストファリア条約が結ばれて、ネーション・ステート(国民国家)ができる遥か昔から、中国には祖国を捨てる意を表す「亡命」という言葉がありました。祖国を去ることとは即ち命を亡ぼすことを意味したのです。スノーデンがどこまで自覚しているのかはわかりませんが、彼はいま、亡命の恐ろしさ、その深淵を覗き見ていると言っていい。
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これも新田一郎氏の言われる「通俗的」な文脈での話ですが、ウェストファリア条約の締結=主権国家成立=国民国家成立、と簡略化して理解している人は多いですね。

『国家の罠』を素材に佐藤優氏について検討したのは5年前、2008年の暮でしたが、その時に一番ブキミに感じたのは、佐藤氏を取り巻く編集者のうち、最も佐藤氏の信頼が篤かったという岩波書店・馬場公彦氏の「佐藤劇場」発言でした。

カテゴリー「佐藤優『国家の罠』&モロゾフ・野坂参三」
http://blog.goo.ne.jp/daikanjin/c/0b21fb86298ded74fc02f25c40abb3dd
「編集者」
http://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/83866fd622ef9a068341a196c3e60d17
「佐藤劇場」
http://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/9e432e79355038edacff651f103070a2

あれから佐藤氏をめぐる状況もずいぶん変化しましたが、検索してみたら馬場氏は去年6月に「大平正芳記念賞」を受賞し、その時点で「編集局副部長」だそうなので、着々と出世しているようです。

「公益財団法人大平正芳記念財団」
http://www.ohira.org/2012/sho.htm

他方、岩波書店でたった一人の反乱を敢行していた金光翔氏は5年後の今も会社と厳しく対立中のようで、人生いろいろですね。

「首都圏労働組合 特設ブログ」
http://shutoken2007.blog88.fc2.com/

佐藤優氏は埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫氏と『はじめてのマルクス』(金曜日、2013年)という共著も出したそうですね。

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マルクスの『資本論』の方法に基づいた社会分析は、われわれが置かれている社会的位置を客観的に認識するために重要だ。しかし、現在、このような視座から作られた経済学の入門書が少ない。それならば自分で作ってみようと思って、この本ができた。鎌倉孝夫先生(埼玉大学名誉教授)は、私が高校生時代に『資本論』の読み解きを手引きしてくれた恩師である。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37525

荘園制の研究者に鎌倉という名字の女性がいて、鎌倉は意外に少ない名字なので、もしかしたら鎌倉孝夫氏の娘さんかな、と思ったことがあるのですが、数年前に出された著書の「あとがき」を見たら、特定はしていなかったものの、やっぱりなという書き方をされていました。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7092
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