学問空間

【お知らせ】teacup掲示板の閉鎖に伴い、リンク切れが大量に生じていますが、順次修正中です。

金子堅太郎とホームズ判事

2013-11-30 | 丸島和洋『戦国大名の「外交」』
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月30日(土)10時21分57秒

>筆綾丸さん
丸島氏には本当に困ってしまいますね。
私は「一般書という制約のためか、丸島氏の著書には言及はなく」とわざわざ書いているのに、一般書と専門書・論文の区別がついていないとか言われてもポカンとするしかありません。

http://6925.teacup.com/kabura/bbs/6990

一番迷惑なのは、まるで私が黒田基樹氏を「槍玉」にあげているかのように書いていることで、読んでもいない本やその著者を「槍玉」にあげることはありえないですからね。
「サロン化した掲示板の人たちは、鎌倉期の研究会には出入りしている」とかいうのも変で、私は確かにいくつかの研究会に参加していたことはありますが、それはもう5年以上も前の話だし、筆綾丸さんは全然参加されてませんからねー。
何もかもゴチャマゼにしている感じです。
実は私、丸島氏を一度見かけたことがあって、駒澤大学での勉強会に参加した後、中華料理店で食事会をしたときに、たまたまその店に顔を出した丸島氏もいましたね。
別に挨拶を交わした訳でもなく、今まで何の関わりもなかった人ですが、昔から私に何か敵意を持っていて、筆綾丸さんにもそのとばっちりが及んでしまったようですね。
しかし、今回は筆綾丸さんが『戦国大名の「外交」』の書名を出しただけの段階で、おそらくエゴサーチしてここに来た丸島氏が営業トークを並べるから、私も特に興味のない本をわざわざ購入してあげたのに、感想を述べたら別の場所で陰口をたたかれるのは妙な気分です。
何だか押し売りにストーカーされているような感じですね。

>金子堅太郎
ウィキペディアに「ハーバード大学入学前に、ボストンの弁護士オリバー・ウェンデル・ホームズ・ジュニア(後にハーバード大学教授、連邦最高裁判事)に師事」とありますが、こういう人脈トリビアは面白いですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%AD%90%E5%A0%85%E5%A4%AA%E9%83%8E

ホームズ判事は日本の憲法の教科書にも、特に表現の自由に関連して必ず登場する人ですね。
1841年生まれで金子堅太郎より12歳上、金子堅太郎との出会いは1876年だそうですから、まだまだ少壮弁護士の時代ですね。

http://en.wikipedia.org/wiki/Oliver_Wendell_Holmes,_Jr.
http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-govt-rightsof3.html

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7043
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

職人さんとの対話

2013-11-28 | 丸島和洋『戦国大名の「外交」』
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月28日(木)20時44分14秒

>筆綾丸さん
ちょっと気になって『戦国大名の「外交」』に関する自分の投稿を全て読み直してみました。
私としては筆綾丸さんと私の考え方が相当違っているのは誰の目からも明らかなように感じるのですが、丸島氏は一体化して捉えているようで、そこはちょっと釈然としないですね。


筆綾丸さんは古文書の文言や解釈等の実質的な部分に踏み込んでいて、いわば料理の素材や調理方法について、十数年の修行を積んだ板前さんに話しかけているような趣があって、まあ、気の短い職人さんだと、「ドシロートがうるせんだよー」みたいな反応が出てくるのも分からない訳ではありません。
しかし、私は全くそんな議論はせず、唯一批判らしきことを言っている国家論の理由づけについても、理由の配列が変なんじゃないのかな、と述べているだけで、結論を否定している訳ではないですね。
ま、料理自体ではなく、盛り付け方に疑問を呈しているようなものですかね。
後は「外交」という表現について、言葉の感覚の違いを書いていますが、これまた丸島氏の見解を否定している訳ではないですね。
もともと私は戦国時代に特に興味がないので、実質的な議論をする意志も能力もなく、一般読者としてごく表面的な感想を述べただけのつもりだったのですが、そんなに気に障るものですかね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

丸島和洋氏のご意見

2013-11-28 | 丸島和洋『戦国大名の「外交」』
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月28日(木)00時17分51秒

「まるしま」としてこの掲示板に来られていた丸島和洋氏、ツイッターでこんなことを書かれていたんですね。
ずいぶん前に大勢が参加する掲示板であることを止めて以降、なかなか感想を聞ける機会はなかったので、これも貴重な資料ですね。
参考までに転載させてもらいます。
私としては丸島氏の見解を特に否定したつもりもなく、概念の相対性を理解した上で、法律学を学んだ人間から見て丸島氏が用いる言葉への違和感を書いただけのつもりだったのですが、まあ、こういう受け止め方もあるでしょうね。


--------------

https://twitter.com/kurmacf

MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf 11月20日
ブロックした相手一件。なんつうか、サロン的な掲示板を作っていて、僕の本も色々議論してくれているんだけど、ほとんど「想像」上の空論なんだよね。研究史は勉強していない/する気がないのに、研究史を踏まえて議論したつもりになっているというか。前々から敬遠していたんだけど、嫌悪感しかない。

別に批判されるのが嫌いとか嫌だという意味ではないので、念のため。しかし、「一般書」に、論文レベルの説明を要求する発想は理解できないのです。だって書けることは限られるわけで。こういう人たちが、いわゆる「意識高い系」というやつなんだろうなあ。

サロン、というのはその中で空間として完結する危険性をはらむわけです。そこで起きている問題に、自分たちは気がつけない。自分たちだけで盛り上がって、どんどん遊離していく。僕がツイッターで意見を異にする人を積極的にフォローしたり、HPに掲示板を作ろうとしない理由は、これ。

ツイッターは、自分の考えが近いTLを作りやすいから、サロン化しやすい。だからちょっと不快になることがあっても、意識して違う意見の人をフォローしてTL作ったほうがいいんだよね。トラブルになりそうな人は、ブロックしちゃうけど。

まあ、こちらのサイトです。どのような感想をお持ちになろうともちろん自由です。僕は非常にサロン的な悪印象を持ちましたが、それは批判をされた結果かもしれませんのでご教示ください。僕の本に関する見解は、前のページから始まっていると思います。
http://6925.teacup.com/kabura/bbs

まあもう一言だけいうと、その掲示板では僕のメチエと黒田さんの新書が槍玉にあげられています。しかし当たり前ですが、僕も黒田さんも、手札をすべて切ってはいない。あそこで議論されている事の答えはもうちゃんと持っているのです。でも、一冊の本にすべてを書き切ることはできないんですよ。

(エアリプ)まあ、そういうことです。何もわかってないのに、わかったつもりになっちゃうのがサロン化ということ。

今日つぶやいたサロン化した掲示板の人たちは、鎌倉期の研究会には出入りしている。でも、専門家ではない。たしか論文も書いたことはないし、戦国期についてはおそらく読んでもいないのは、見ての通り。だから、「門前の小僧」という表現がぴったりくる。ただ、その自覚がないところがある種の喜劇。

彼らは一般向けに書かれた本から文章を引用し、専門用語を理解しようとしている。そして自分が知っている専門用語を使って、議論を進めようとしている。でも、それは「ことば」として専門用語を知っているだけであって、理解はしていない。そのことを自覚できていないから、話は延々と空転し続ける。

概して、一般向けに書かれた本では、専門用語の説明は捨象されるか、きわめて単純化される。そうしないと、話が小難しくなってしまう。ただ、彼らはそれに気がついていない。書かれるはずがないものを延々と追い求めている。

そして、専門家というものは、自分のフィールドにおいて、幅広い議論を有している。僕であれば、大名間外交論、取次論、国衆論、地域国家論、領域支配論など。今回はそのうち最初のふたつに話をしぼって、他のものは簡易的な説明にとどめた。そうしないと、本にならないのである。

それでも、1冊の本に2つの議論というのは多い。だから色んな人から、持ちネタを使いすぎだとからかわれた、ただ僕の中では、大名間外交論と、取次論のうちの半分はセットなので、1冊にまとめたほうが読者に親切だろうと判断して本を書いた。当然、その他の議論はさわり程度となる。

つまり、研究者の議論というのは、表に出ている部分はほんの一部で、バックグラウンドにあるもののほうが大きいことがしばしばある。これは論文や専門書でも同様で、文章化するのは頭の中にあること、研究者が考えていることの一部に過ぎない。

研究者が考えていることすべてを出すには、1冊の本では足りないし、もしそのようなことをしようものなら、話にまとまりがなくなって、本として成り立たなくなる。だから、研究者に接する時には、「その人がまだ書いていない構想」を想像するということもひとつ必要になる。

研究者・研究史に敬意をもって接する、というのはこういうことなのだ(別に僕に敬意をもて、といっているわけではない)。あの掲示板の関係者は、この点がわかっていないから、失笑せざるを得なかったのだ。批判を不快と思ったのではなく、ある種の喜劇として受け止めたのである。

僕自身が門前の小僧となることは当然ある。身近なところでいえば、医療がそうだ。僕自身は、自分や家族がかかったことのある病気については、経験則や新書クラスの本を読むことで一定の知識を有している。でも、当然だが、医者には叶わない。ただ、より詳しそうな医者を探すことくらいはできるかも。
-----------


※追記
丸島和洋氏に対しては、お礼としてアマゾンに『戦国大名の「外交」』の書評を投稿しました。

http://www.amazon.co.jp/review/R1ZPUD6W0FFN11/ref=cm_cr_pr_perm?ie=UTF8&ASIN=4062585596&linkCode=&nodeID=&tag=

その他、一連の経緯については下記にまとめてあります。

「ラウンド君の教訓」
http://blog.goo.ne.jp/daikanjin/c/306371ea4158692c75ddb68b86ac77fc

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スペインの裁判官

2013-11-28 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月27日(水)23時26分40秒

>筆綾丸さん
私もスペイン憲法など全く知らなかったのですが、司法とは独立した憲法裁判所の存在など、いろんな点で面白いですね。
明治憲法と現憲法の二つしか経験していない日本の憲法改正論議は賛成論も反対論も非常に硬直的で単調な感じがしますが、スペインは何度も改正を繰り返した結果、現憲法は歴史が練り上げた芸術品的な雰囲気すら漂いますね。

「全国管区裁判所」の裁判官は個性的な人が多いみたいですが、Baltasar Garzón 氏は一度選挙に出た後、また裁判官に戻ったそうで、こういうパターンは日本の裁判官ではおよそ考えられないですね。

普遍的管轄権があるといっても、それを実際に機能させることができるかどうかは人物次第ですが、外国に対してはある意味やりたい放題だったBaltasar Garzón 氏も、自国の過去を掘り起こして地雷を踏んでしまったようですね。

http://en.wikipedia.org/wiki/Baltasar_Garz%C3%B3n

Fernando Grande-Marlaska 氏もそれなりに実績のある人なのでしょうが、容姿は殆ど映画スター並みで、これも日本では考えられないタイプの裁判官ですね。

http://es.wikipedia.org/wiki/Fernando_Grande-Marlaska
https://www.google.co.jp/search?q=Fernando+Grande-Marlaska&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=af-VUq78IYKwiAfM3ICQCA&ved=0CCsQsAQ&biw=1047&bih=619

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7038

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スペインの司法制度

2013-11-26 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月26日(火)07時40分31秒

>筆綾丸さん
>この裁判所と最高裁との法的関係
最高裁判所は文字通り最高の司法機関で、「全国管区裁判所」は下位機関ですね。
「スペイン法の泉」というサイトによれば、スペイン憲法に、

------
<スペイン憲法第123条第1項>
スペイン全土に管轄権を有する最高裁判所は、憲法上の保障につき定められた場合を除き、すべての序列において最上級の裁判機関である。

El Tribunal Supremo, con jurisdicción en toda España, es el órgano jurisdiccional superior en todos los órdenes, salvo lo dispuesto en materia de garantías constitucionales.

という規定があるそうです。
このページの裁判所間の関係を示す図は少々分かりにくいですが、「全国管区裁判所」の判決に不服があれば最高裁に上告するという仕組みになっていますね。

>いわゆる私人訴追主義
これは誤解だと思います。
例外的に私人による司法参加が認められているだけのようですね。
私もスペインの刑事訴訟制度など全く知らなかったのですが、検索したところ"Caring for Britons held overseas"という団体のサイトにスペインの刑事手続きについての概略が、逮捕される側の視点から簡潔に説明されています。


スペインの制度で分かりにくいのはアメリカの制度を参考にした日本が「当事者主義」を取っていて、検察官と被告人側の攻防を裁判所が客観的な立場から裁定するのに対し、スペインは「職権主義」で、捜査・裁判とも手続きが裁判所中心になっている点ですね。
警察による捜査の後に行われる予審手続ではExamining Magistrate(予審判事)が捜査の責任を負い、judicial police(司法警察)が予審判事の捜査を補助するそうです。
検察官もいますが、その役割は予審判事の捜査において被疑者の権利が守られているか、そして被害者の権利が守られているかを確保することだそうですね。
要は検察官が予審判事の活動を監視するような仕組みですね。
予審判事による捜査が終結したら検察官が(起訴ではなく)告訴を行うようですね。
裁判手続きへの移行は、

---------
5.1 Ordinary Procedure
This is the procedure established for crimes which carry a maximum sentence of at least 12 years and one day. The Instructing Judge opens summary proceedings, all investigations are carried out, and if the judge considers that sufficient “rational indications of criminality” exist, an indictment will be issued. Once summary proceedings have been completed, they are sent to the Provincial Court which will set a date for trial, and where sentencing may be passed.
---------

ということで、予審判事から事件に関する書類を受け取ったInstructing Judgeが正式に起訴状を出す、という仕組みのようですね。
少し長くなったので以降の手続きは省略しますが、英米法の観点、そしてアメリカ法の影響を受けて英米法的な刑事訴訟観に慣れている日本人の目から見ると、司法と行政の区分が明確でないような感じがして、若干の戸惑いも覚えますね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
「シャネルの5番」 2013/11/25(月) 19:48:18

小太郎さん
Audiencia Nacional は、直訳の「国民裁判所」でいいのではないか、というような気がしますね。「全国管区裁判所」は、「the SNC has jurisdiction over (1) cases relating to more than one of the provinces throughout the country」を踏まえたのかもしれませんが、 この訳では「全国管区」に限られて、重要な国外事項の「(3) serious crimes committed outside the country・・・」が、するりと抜け落ちてしまうように思われます。
この裁判所と最高裁との法的関係がよくわかりませんが、「 The SNC’s overall president is always chosen from among the presidents of the chambers at the Spanish Supreme Court.」という記述をみると、裁判官の独立性はともかくとして、最高裁の下位機関にあるような印象を受けます。
スペインの刑事訴訟法も大陸法系で国家訴追主義かと思っていましたが、いわゆる私人訴追主義なんですね。
egregious という単語は初めて見ましたが、中国の行為はそれほど egregious なものだ、ということですね。
「For example, well-known Judge Baltasar Garzón has for many years been the presiding judge in charge of Chamber Number 5.」は、何の関係もありませんが、マリリン・モンロー愛用のシャネルの5番のようです。

http://www.shinchosha.co.jp/book/610546/
與那覇潤氏の対談集『史論の復権』を読み始めたものの、いまひとつ面白くありません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

情熱的すぎる裁判官

2013-11-23 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月23日(土)23時04分50秒

>筆綾丸さん
Audiencia Nacional は「全国管区裁判所」と訳すことが多いようですね。
前の投稿で引用したWSJの記事、翻訳が出ていますが、「全国管区裁判所」となっており、他の複数の新聞も同様ですね。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304152804579210852682912932.html

ウィキペディアのスペイン語の方は読めないのですが、英語版は少し簡単すぎますね。
検索してみたところ、英語では The Center for Justice and Accountability というカリフォルニア州に本部を置く団体のサイトの説明が分かりやすいように感じます。
この団体自身が極めて活動的に裁判闘争を行っており、実践的な観点から丁寧に説明していますね。

http://www.cja.org/article.php?id=342

---------
SPANISH CRIMINAL CASES

Unlike U.S. law, where criminal charges are brought only by a government prosecutor, Spanish law allows ordinary citizens to pursue criminal actions by filing criminal complaints. If a victim files a complaint directly with an instructing (or investigative) judge, the victim becomes a party in the case during the investigation and trial phases. This is known as a private prosecution or acusación particular. Spanish law also allows people not directly connected to the crime to take part in the case. Important public interest groups often join these complaints as popular prosecutors or acusadores populares.

刑事手続の遂行を検察官が独占するアメリカと異なり、スペイン法は普通の市民が告訴状を提出することにより刑事訴訟を遂行することができる。被害者が告訴状を指導判事に直接提出した場合、被害者は捜査と裁判の両局面において当事者となる。これは私的起訴または特別起訴と呼ばれる。スペイン法は直接的には犯罪と関係を持たない人々が事件に関与することも認める。重要な公的利益を代表するグループはしばしばpopular prosecutor(民衆検察官?)として刑事手続に参加する。

SNC CRIMINAL DIVISION

The criminal division is made up of six chambers. An instructing judge presides over each chamber. For example, well-known Judge Baltasar Garzón has for many years been the presiding judge in charge of Chamber Number 5. Once an instructing judge accepts a criminal case, he or she initiates an investigation that can take anywhere from 30 days to several years. After this investigation phase is concluded, the instructing judge closes the case and transfers it to a tribunal ? normally a panel with three judges ? that will preside over the trial, known as the “oral phase” of the case. Under Spanish criminal law, no defendant can be tried in absentia.

刑事部門は5つの部から構成される。指導判事は各々の部を主宰する。例えば、有名なBaltasar Garzón 裁判官は第5部の責任者である。指導判事が事件を受理した場合、指導判事は捜査を開始し、捜査は30日から数年続く。捜査局面が終結すると、指導判事は事件を通常、裁判官3人で構成されるtribunal(判事団)へ送り、tribunalはoral phase(口頭局面)を主宰する。スペインの刑事法の下では、欠席裁判は認められない。

もっと適訳はあるのでしょうが、わざと英語直訳で訳してみました。
そして、ここから universal jurisdiction(普遍的管轄権)に関係する一番重要な部分の説明が続きますが、WSJの記事からも想像できる箇所であり、翻訳にいささか疲れたこともあって省略します。

----------
INTERNATIONAL CRIMES TRIED IN SPAIN

In 1985 Spain passed an Organic Law that defined the jurisdiction of Spanish courts in criminal cases. The law gave Spanish courts jurisdiction in several kinds of cases, such as when the criminal act took place on Spanish soil or when the perpetrator of the crime is of Spanish nationality.

Additionally, the new law gave Spanish courts jurisdiction over cases related to a particular type of international crimes - ones that are of international concern - regardless of the nationality of the perpetrator or where the crime took place. This section of the law incorporates the principle of “universal jurisdiction” - the principle that certain crimes are so egregious that they are offenses against the entire world and can therefore be tried in the national courts of any country. Some of these crimes were listed in the law, including genocide, terrorism and piracy. A residual clause also grants jurisdiction for “any other [criminal act] which, according to international covenants and treaties, should be prosecuted in Spain.” It has been argued that this residual clause incorporates the offenses of torture and crimes against humanity.

The principle of universal jurisdiction is not particular to Spain. International treaties, including the Geneva Conventions and the Convention Against Torture, permit and, in some cases, require nations to prosecute perpetrators of egregious human rights abuses even if those nations have no connection to the crimes. Until recently however, the principle of universal jurisdiction was largely aspirational, an ideal discernible in bodies of international law, but lacking in concrete precedent.

This changed dramatically in 1996, when instructing judges from the SNC invoked the new Spanish law to begin investigating human rights cases arising from the 'Dirty War' era in Argentina and Pinochet dictatorship in Chile. The Argentine cases involved the investigation of some 100 suspects. The Chilean cases focused on former dictator Augusto Pinochet and his subordinates. The case against Pinochet in Spain, and his arrest in England based on an extradition request from Spain, launched the modern concept of universal jurisdiction and opened the door to the exercise of universal jurisdiction over human rights crimes by national courts.

前提の基礎的な部分を知らないと、いきなり新聞記事を読んでもピンと来ないですね。
文中に登場するBaltasar Garzón氏はピノチェトに逮捕状を出したことで世界的に有名になった人物ですが、あまりにやり手すぎて国内的・国際的トラブルが続出、特にフランコ政権時代の虐殺事件を掘り起こそうとして逆に自分自身が刑事被告人の立場になり、裁判官の資格を奪われてしまったそうです。
実に情熱的な波瀾万丈の人生を歩み、今はウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏の弁護人だそうですね。

http://en.wikipedia.org/wiki/Baltasar_Garz%C3%B3n

いろいろ面白すぎるのですが、眠いのでまた後で書きます。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7028
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湯殿山神社本宮

2013-11-23 | 東北にて
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月23日(土)18時46分51秒

>好事家さん
それでは私も湯殿山神社の写真など。
撮影は10月28日です。
山形自動車道を月山ICで下り、月山花笠ラインを経て湯殿山有料道路の坂道を登って行くと、途方もなくでかい鳥居と参籠所・レストハウスがあります。
そこからは専用バスで湯殿山神社本宮入口まで入り、更に数分歩くと本宮の神域があります。
数人の神職がいる社務所近くで裸足になってお祓いを受け、静々と濡れた岩の上を歩いて御神体を拝む訳ですが、まあ、御神体と言っても温泉が噴き出ている岩なので、有難いと思うかは人それぞれですね。
写真1枚目、バス・人物と鳥居の根元を比較すると、このコンクリート製の鳥居の巨大さが分かると思います。
3枚目は湯殿山神社本宮入口から紅葉の中の大鳥居を眺めたものです。
帰宅後、11月3日には閉山だったと知りました。

出羽三山神社公式サイト内、湯殿山神社境内
http://www.dewasanzan.jp/publics/index/16/

※写真
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7031

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ナチ略奪美術品」続報

2013-11-22 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月22日(金)10時20分31秒

ニューヨークタイムズに次の記事が出ていました。

-----------
More Works From German Art Trove Are Shown

BERLIN - German authorities on Thursday released images of dozens of graphics by Edvard Munch, Max Liebermann and Henri de Toulouse-Lautrec that were among a trove of art stashed for decades in a Munich apartment, bringing to 79 the number of works now identified to the public.

http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2013/11/21/more-works-from-german-art-trove-are-shown/

ミュンヘンのアパートメントで「発見」された「ナチ略奪美術品」、新たにムンク・ロートレック等の画像が公開されて合計79作品がリンク先で閲覧可能になったそうですね。

http://www.lostart.de/Webs/EN/Datenbank/KunstfundMuenchen.html

また、脱税の疑いで捜査している検察当局は“a few hundred”の作品について、ほぼ確実にGurlitt氏が正当な所有権者であると認め、返還を予定しているそうです。
「発見」後、約2年間も公表していなかったのは所有権問題の複雑性が原因ですが、やはりそもそも略奪品ではなかったものが相当あるようですね。
公表されたことで返還も簡単ではなくなった訳ですが、検察のスポークスマンの、「我々はある日に返還して翌日にそれが盗まれるような事態を望んでいない」というコメントにはちょっと笑ってしまいました。
作品総数もデッサン・習作の数え方を変更した結果、当初発表されていた1406ではなく1290になったそうです。
ま、それでも膨大な数ですが。

---------
Matthias Nickolai, spokesman for the state prosecutors in Augsburg, Bavaria, who are investigating Mr. Gurlitt on possible charges of tax evasion, said “a few hundred” works in the trove are almost certainly legally the possession Mr. Gurlitt, an 80-year-old recluse.

The fact that the find became public complicates the return of the pictures to Mr. Gurlitt. “Everybody knows where he lives” in Munich, and police cannot mount a constant guard, Mr. Nickolai said in a telephone interview. “We don’t want to give back the pictures one day, and find they are stolen the next.”

Mr. Nickolai said that customs officers who seized the trove at Mr. Gurlitt’s apartment in February 2012 counted 1,406 individual works. The task force experts have counted 1,290 works, because they tally collections of sketches or studies contained in a folder as one work, whereas the customs officials are obliged to list each individual item, the spokesman said.
---------


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スペインからの逮捕状

2013-11-21 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月21日(木)00時25分59秒

今日、産経新聞の記事が気になって連続ツイートしたことを備忘のため纏めておきます。
最初は共同通信の配信記事だったので、その変なところを指摘したのですが、私が一通り書いた直後に産経新聞の記者2名の連名記事に差し替えられ、分量も相当多くなっていました。

--------
江沢民氏ら指導者5人に逮捕状 「チベット虐殺に関与」 スペイン - MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/world/news/131120/chn13112013450002-n1.htm
「江氏や胡錦濤前主席(70)、李鵬元首相(85)ら5人の逮捕状を出した」とあるけど、他のメディアを見ると胡錦濤は今回の逮捕状の対象にはなっていない。

逮捕状の対象は江沢民・李鵬の他、Qiao Shi・Chen Kuiyan・Peng Peiyun の3人。
共同記事は基本的な事実関係が不正確。
http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303985504579208322886635670

VOAの記事に詳しいが、胡錦濤は10月9日にジェノサイドで起訴(or告発)されていて、中国が内政干渉と反発している。
これは今回の逮捕状とは一応別の話。
今回の逮捕状では胡錦濤は対象外。
http://www.voanews.com/content/spanish-court-seeks-arrest-of-former-chinese-leaders-in-tibet-case/1793364.html

そもそもスペインの裁判所がこのような逮捕状を出せるのは、自国民が犠牲者である限り、戦争犯罪とジェノサイドについては、それがどこで起ころうと(普遍的)管轄権を有するとされているから。
今回は原告の一人にスペイン国籍のチベット仏教僧がいるそう。

スペインの裁判所はこの普遍的管轄権に基づきチリのピノチェトに逮捕状を出し、これを受けたイギリス政府が1998年、ロンドンでピノチェトを逮捕した実績がある。
ただし、このときは健康上の理由で後に釈放。
http://www.voanews.com/content/spanish-court-seeks-arrest-of-former-chinese-leaders-in-tibet-case/1793364.html

逮捕状の対象者がスペインまたはスペインと犯罪者引渡条約を結んでいる国に入国した場合には逮捕される建前だが、実際には中国の指導者逮捕の可能性はない。
あくまでチベットでの人権弾圧を非難する象徴的意味合いのみ。
http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303985504579208322886635670

見直したら共同通信からベルリン=宮下日出男、北京=川越一の署名記事に替わっていて、「他に逮捕状が出たのは、当時の国家治安当局やチベットを担当する中国共産党の幹部ら3人」と修正されていますね。
ただ13:41 という時間を更新していないのは聊かズルい感じ。

ちょっと前の時代だったら新聞社の外信部の人は海外の情報を逸早く入手する優越感に浸れたんだろうけど、今はどこにいても同じですからねー。
やっている仕事も大半が複数のソースから得た情報を適当に切り貼りしているだけ。
それも独自分析がなければ直ぐバレますね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

the Monuments Men

2013-11-20 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月20日(水)23時31分55秒

>好事家さん
月山はそれほど高い訳ではないのに、本当に奥深い感じがする山です。
関西だと大台ケ原あたりと共通する面がありそうですね。

>筆綾丸さん
ナチ略奪美術品の件、私もかなり興味を持っていて、話題になった当初からツイッターでは少し書いていました。
11月12日のWSJの記事は簡潔にまとまっていますね。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304368604579193162569927166.html

問題を難しくしているのは美術品ディーラーのHildebrand Gurlitt氏の複雑な性格ですね。
血統の半分はユダヤで、そのためいったんは美術関係の職を奪われながら、能力面から余人に代えがたいということで一転ナチの協力者になったとの経緯も奇妙ですが、「退廃芸術」の敵の役割を演じた人が、実はその最大の理解者・愛好者でもあった訳ですから、何重にもねじれていますね。
問題の美術品も文字通り略奪したというよりは、相手の窮状に付け込んだとはいえ、一応の対価を払って購入したものが多そうですね。
時効の問題は立法的にクリアーできるとしても、強迫や詐欺等の要素がない取引まで遡及的に無効と扱えるのか。

NYTに割と詳しく出ていた話では、今回「発見」された作品の一部は、実際には既に第二次大戦終了直後に連合軍の「モニュメンツ・メン」が確保しておきながら、Hildebrand Gurlitt氏の抗議を受けて返却してしまったものもあるそうですね。

---------
Throughout the waning years of World War II, a band of Allied soldiers, art historians, curators and scholars labored to safeguard Europe’s cultural heritage and recover the millions of artworks and other treasures plundered by the Nazis and their collaborators. Nicknamed the Monuments Men, this group set up a string of temporary collection points for the valuables.

Among the art in their care was a cache of 115 paintings, 19 drawings and a half-dozen crates of objects that the British had found in Hamburg in 1945. The works were registered under the name of Hildebrand Gurlitt, according to documents unearthed this week in the National Archives in College Park, Md., by Marc Masurovsky, the founder of the Holocaust Art Restitution Project.

http://www.nytimes.com/2013/11/07/arts/design/documents-reveal-how-looted-nazi-art-was-restored-to-dealer.html?smid=tw-share

『ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』は、少し時間に余裕ができたら読んでみたいですね。

http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=08106

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7022

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬支度

2013-11-17 | 東北にて
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月17日(日)21時58分26秒

>好事家さん
写真、ありがとうございます。
京都でも紅葉がずいぶん進みましたね。
この秋、私にとって一番印象的だったのは月山の紅葉でした。
湯殿山奥の院などの定番コースに加え、月山湖周辺から大井沢地区のような比較的マイナーなところまで廻って写真も沢山撮ったのですが、この掲示板にアップするのをさぼっている間に季節は慌ただしく変化し、東北はすっかり雪を迎える時期になってしまいました。
今さら紅葉の写真を載せるのもどうかと思うので、少しずつ撮りためている白鳥の写真でもアップしようかなと思っています。

>筆綾丸さん
美術の世界で直近の話題と言えば、やはり哲学者でない方のフランシス・ベーコンの三連画が142億円で売れた一件ですが、それを伝えるニューヨークタイムズの記事が最初から最後まで金のことしか書いていないのが特別に印象に残りました。

At $142.4 Million, Triptych Is the Most Expensive Artwork Ever Sold at an Auction
http://www.nytimes.com/2013/11/13/arts/design/bacons-study-of-freud-sells-for-more-than-142-million.html?smid=tw-share&_r=0
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もしも展覧会会場が火事になったら

2013-11-11 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月11日(月)12時06分17秒

>筆綾丸さん
2007年刊の鴨川達夫氏の『武田信玄と勝頼』に「「毛松」か否かはともかく」程度のあっさりした記述しかないのであれば、「猿図」自体の研究はさほど進んでいないようですね。
紙や絵具等を科学的に分析すれば、少なくとも中国で描かれたのか、それとも日本で描かれたのかくらいは分かりそうな感じがしますが。
ま、素人考えですけど。

>男性キュレーター
Hongxing Zhang 氏ですね。
この人の名前で検索したら、今回の展覧会に関するインタビューが出てきましたが、「火事になったらどの作品を持ち出しますか」という質問はすごいですね。

-----------
Which piece is the one that you would take if the place was on fire?

(Laughs) Curators can’t play favourites. But there is this one piece. It’s a portrait that has subtle strength, it’s a painting of by an anonymous artist done in the early 16th Century. The person in the portrait was a leading figure in his native place and the sitter put an inscription hidden in the back and wrote about his thoughts on the portrait and reflected on his life. That piece was incredibly moving.


V&Aの展覧会のために優品を貸与した世界各国の博物館関係者を不安にさせるこの質問に対し、Hongxing Zhang 氏は「16世紀の作者不明の肖像画」と答えていますが、これは80歳記念にShen Zhou(沈周、1427~1509)を描いた絵なんですね。
V&Aの解説には、

--------
Unidentified Artist, Portrait of Shen Zhou at Age Eighty, 1506, The Palace Museum, Beijing. © The Palace Museum Collection


とあります。
もう少し説明が欲しいなと思って取りあえずウィキペディアを見たら、この肖像画は沈周の自画像だとあり、少し混乱しました。


こちらのサイトでは沈周の弟子が描いたとありますね。


正直、この肖像画がそんなに優れたものなのか分かりませんが、できれば火事の時には「猿図」を持ち出してほしいですね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

入神の猿の悲しみ 2013/11/10(日) 15:46:39
小太郎さん
県立の「歴史博物館」にしては、お粗末ですね。公立の建物は悪食な建築家たちのカモですが、ネギくらい、ちゃんと揃えておけ、という感じですね。

http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0703/sin_k343.html
『武田信玄と勝頼』(鴨川達夫氏)に、「猿図」と送り状(部分)の写真が掲載されていますが(132頁)、秦恒平氏の次の記述は、滅亡した武田家へのレクイエムのようで、いいものですね。送り状の末尾には、確かに、七月十九日 信玄(花押)、とあります。
-----------------------------
『猿図』は三条夫人が輿入れの時に持参していた。その価値を夫人はよく知っており、不幸な娘の死と曼殊院覚恕の慶びとがたまたま重なった際に、どうぞ『猿図』を都へと、ほとんど自身の帰郷ならびに夫上洛成就の祈願さえ籠め、はや死を覚悟の最期の頼みとして信玄に勧めた、と。この推測にもし従えば、『猿図』は、「毛松」か否かはともかく、室町時代の都に、『君台観左右帳記』の記載にふさわしく、公方ないし公家社会に既にもたらされていた逸品だったと言える。
---------------------------

Victoria and Albert Museum の男性キュレーターは、インタビューで、「猿図」を magical naturalism と評し、とりわけ、猿の目を闇の中の神に譬えて絶賛していますね。私はずっと、この絵は亡国の天子徽宗皇帝のものだと思っていましたが、伝毛松、なんですね。美術館では、A Monkey by Mao Song と断定していますが。女性司会者は、猿に神の俤を見出す発言に対して、なに寝言いってるの、という感じですぐ話柄を転じていますね。
キュレーターは、おそらくオディロン・ルドンなどを念頭におきながら magical naturalism と言っているような気がしますが、猿の神々しい目が三条夫人の末期の瞳のようにみえてきて、秦恒平氏の推定が、実証的ではないものの、これでいいのではないか、という気がしてきました。
ロンドンでも、この猿が日本猿なのかどうか、話題になれば面白いですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E7%8B%99%E4%BB%99
日本画では森狙仙が有名で、猿の祖先と紛らわしいのですが、たしか、猿の狙仙、と呼ばれていますね。

伝毛松「猿図」の神々しいまなざしには、ヒトの祖先はサルではなく、実は、サルの祖先はヒトなんだ、と思わせるパラドクシカルな神韻の如きものがありますね。人間であった頃の遠い昔を追憶している猿のダーザイン的な悲哀・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「信長の比叡山焼き討ちに関するイエズス会の見解」

2013-11-09 | 中世・近世史
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月 9日(土)23時46分54秒

>筆綾丸さん
昨日、東北歴史博物館に行ったので図書室で松本和也氏の論文を読もうとしたら、『歴史評論』自体が存在していませんでした。
頭が痛いです。

『早実研究紀要』第47号(2013年)には松本氏の「信長の比叡山焼き討ちに関するイエズス会の見解」という論文が出ているそうで、ということは松本氏は未だに高校の先生なんですね。
ちょっともったいない感じがしますね。

http://www.wasedajg.ed.jp/kenkyukiyo/syakaika/30.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伝毛松筆「猿図」と天皇陛下

2013-11-09 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月 9日(土)23時43分34秒

今日、BBCのサイトを見ていたら、動画でヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の中国美術展を紹介していました。

--------
BBC News - A thousand years of Chinese art on show at V&A museum
http://www.bbc.co.uk/news/entertainment-arts-24866451

ここに出てくる猿の絵は東博所蔵のものかなと思ってV&A博物館のサイトを見たのですが、猿の詳しい説明は見当たりません。

http://www.vam.ac.uk/content/exhibitions/masterpieces-of-chinese-painting/
http://www.vam.ac.uk/content/exhibitions/masterpieces-of-chinese-painting/about-the-exhibition/

新聞記事も検索してみましたが、例えば次の記事など、猿図を大きく載せてる割には「13世紀、 Mao Song作」とあるのみです。

----------
The V&A’s Masterpieces of Chinese Paintings reveals treasures that have never left Asia
http://metro.co.uk/2013/10/24/the-vas-masterpieces-of-chinese-paintings-reveals-treasures-that-have-never-left-asia-4158545/

でもまあ、東博所蔵の「猿図」に間違いないですね。
「文化遺産オンライン」では次のように紹介されています。

--------
伝毛松筆
南宋/13世紀
絹本着色
縦47.0 横36.5
1幅
この猿図は単なる写実を越えたすぐれた表現をもっており,数ある宋画の中でも名品として知られている。中国の猿ではなく日本猿といわれ,水墨のみならず金泥を用いた毛描きはきわめて繊細で自然である。南宋の画院画家である毛松の作の伝称は狩野探幽にはじまるものと思われ,その根拠は乏しいものがある。武田信玄より曼殊院覚如に寄進された由緒をもつ。
http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=36978

日本猿なのに南宋とはどーゆーこと、と思って検索してみたら秦恒平氏の「猿の遠景――伝毛松『猿図』のことから」というエッセイに驚愕の事実が出ていました。
この「猿図」に描かれている猿が中国の猿ではなく日本猿であることを指摘したのは若き日の明仁親王、即ち今上天皇なのだとか。

---------
 この繪をみて即座に「日本猿ですね」と言う人がいた。動物学者があっさり追認した。大陸に日本猿は棲んでいない。宋の毛松(もうしよう)には描けまい。繪の権威たちは困った。鳩首協議の結果、毛松の高名を伝え間き、日本猿を宋の国へはるばる送って描いてもらった繪だと「決め」た。依然、博物館では「重要文化財 猿図 伝毛松筆 十二世紀 南宋時代」の作品として陳列してあるが、その人は、納得したかどうか。
「日本猿ですね」と繪を見るなり言った人は、明仁親王、つまり昭和の皇太子さん(今上天皇)である。いわゆるご学友、徳川美術館の徳川義宣氏が雑誌『淡交』(昭和五十九年四月号)に「宋に渡った日本猿」の題で寄稿されている。「淡交」はわたしの少年以未の愛読雑誌で、見落とすどころか、一読その面白さに手を拍った。
受け売りの手前、いますこし徳川氏の文章に即して紹介しておこう。氏ははじめ、「私の友人にAと云ふ男がゐる。幼稚園から大学までずつと一緒で、今でも親しくつきあつてゐるから、もう四十余年来の旧友である」と皇太子を仮名であげ、Aが生物学に精励してきたことを巧みに読者に伝えている。「そのAが美術史学の某先生から中国繪画の個人講義を受けてゐたとき」に、件(くだん)の『猿図』を見せられ、即座に「日本猿」だと指摘した。「某先生は返答に窮し、宿題として持ち帰つて動物学者に意見を求められたが、答へは同じ、中国には棲息してゐない日本猿。美術史学の権威が寄つて相談」して、あげく、先に言ったような「解釈に統一して、某先生はAへの回答とされた」そうだ。
「……と云ふ説明を貰つたんだけどね。考へられるかね。徳川はどう思ふね」
「う-ん」
といった遣り取りが、あとへ続く。ことわっておくが、徳川氏の文章は、猿図の如何に主旨があるというより、いわば美術鑑賞と美術(史)研究とのズレのような所を指摘して、かるく専門家たちを揶揄し刺激する気味に書かれているのである。そして最後に、「因(ちな)みにAとは、(当時の)皇太子殿下である」と結んである。
http://umi-no-hon.officeblue.jp/e_umi_essay28.htm

この後、秦恒平氏のエッセイは少しずつ「猿図」から離れてしまうのですが、武田信玄の登場といい、気になるところが山ほどあります。
現在の研究はどの程度進展しているのですかね。
あるいは全く進展していないのか。

※追記(2020.7.15)
元々の出典である徳川義宣氏の「宋に渡った日本猿」は未読でしたが、徳川義宣氏のエッセイ集『迷惑仕り候 美術館長みてある記』(淡交社、1988)に収録されていました。
秦恒平氏のエッセイでは除かれている部分も上皇陛下の見識と人柄をうかがう上で興味深い内容なので、転載しました。

上皇陛下と伝毛松筆「猿図」(その1)(その2)
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/7afa7f9e2c91857131c4591ae280dba5
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/fd2040e69b12a5a4b7a1126189d398b3
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

河北新報・片桐大介記者(その2)

2013-11-08 | その他
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年11月 7日(木)23時38分14秒

>筆綾丸さん
>外来種セイタカアワダチソウ
これは実際その通りで、単なる事実の記録でしょうね。
片桐記者の記事、よくありがちなパターンですが、最後の反原発の主張を盛り上げるための脚色がくどい感じがして、私は良い印象を持ちませんでした。
牛脂を注入して霜降り肉に仕立てた加工肉をステーキとして出されたような心境です。

-------
<資産賠償なし>
 小高区も甚大な津波被害を受けた。津波による死者は147人で、全壊家屋は319棟。
 「戻りたくない。海は嫌だ」。海岸近くの小高区塚原に自宅があった無職小沢明子さん(52)は、南相馬市原町区のみなし仮設住宅の借り上げアパートに入る。自宅は土台も含め一切合切が津波に流された。
 「流失した建物は賠償の対象外」とする東電からは、資産賠償を受けていない。「(建物の一部が残っていると)うそをついて賠償を受ける人もいるのに」と東電担当者に不思議がられた。
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1125/20131105_01.htm

津波は東京電力が起こした訳ではないから「流失した建物は賠償の対象外」は仕方のないことですが、興味深いのはその後の記述です。
実際のやりとりがどのようなものだったのかは分かりませんが、おそらく東京電力の担当者は、詐欺の教唆にならないよう注意した上で、書類さえ整えてくれれば賠償請求ができますよと暗示している訳で、親切と言えば親切な話ですね。

片桐記者が志賀勝明氏と出会った請戸橋の近くには棚塩という地区がありますが、ここに浪江・小高原子力発電所の反対運動の中心となった舛倉隆という市民運動の世界では有名な人物がいたそうです。

浪江・小高原子力発電所
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%AA%E6%B1%9F%E3%83%BB%E5%B0%8F%E9%AB%98%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80

Hisato Nakajima氏のブログ<東京の「現在」から「歴史」=「過去」を読み解く>
http://tokyopastpresent.wordpress.com/tag/%E6%A3%9A%E5%A1%A9/
http://tokyopastpresent.wordpress.com/tag/%E8%88%9B%E5%80%89%E9%9A%86/

『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』
http://www.pen.co.jp/syohyou/s-datugen/syohyou9109.html

頑強な反対運動に苦しんだ東北電力が浪江・小高原子力発電所建設を正式に断念したのはつい最近で、福島第一原発の事故がとどめを刺した訳ですが、原発の危険性には鋭敏だった舛倉隆氏の自宅を含め、津波が棚塩地区の全てを流し去ってしまったのはずいぶん皮肉な感じもします。

写真は上から請戸橋、棚塩集会所遠景、棚塩集会所近景です。
2013年4月9日撮影。

※写真
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7004

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする