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「twitterと下部意識」考

2012-01-29 | 歴史学研究会と歴史科学協議会
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2012年 1月29日(日)08時38分15秒

「東京大学原発災害支援フォーラム TGF」のウェブサイトを少し見てみましたが、保立道久氏の「火山ガスの飛散と放射能」は冒頭が早川由紀夫氏への賛辞になっていて、若干妙な感じですね。

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火山学の早川由起夫氏が、火山灰の飛散ルートの予測の技法を使って、放射能マップを作ってオープンしている。
火山灰の拡散と放射能粒の拡散は同じ流体力学 の法則にしたがうから、火山学の知識を応用可能であるというのに驚く。
早川さんには八・九世紀の「大地動乱」をどう考えるかについて今村明恒の見解に疑義 を提示した、私の見解からすると十分に検討せざるをえない重要な論文があって、それでお名前を知っていた。

http://311tgf.org/archives/88
http://311tgf.org/

まあ、元は2011年8月7日付のブログ記事なので、その時点だったらこういう書き方もおかしくはなかったかなとは思うのですが、今や早川由紀夫氏は群馬大学から正式に訓告処分を受けた超有名人ですからね。
訓告処分を受けても全然懲りず、相変わらずツイッターで「貧乏人は福島のコメを食って死ね」とか「市場に出した瞬間にその農家に殺人罪が適用される」とか言っている変わった方ですね。

http://togetter.com/li/243960

反原発運動を推進しようとする人たちから見れば、こういう人と関わりを持つこと、あるいは関わりがあるようなイメージを外部から持たれることは運動へのマイナス要因なので、中には保立道久氏からこのエッセイの提供を受けて、迷惑だなと思った人もいるかもしれないですね。
保立道久氏はいかにも歴史学者らしく、世事にうとい、のんびりした性格の方ですね。

さて、「東京大学原発災害支援フォーラム TGF」のトップページには、「世話人のblog・共有文書」として、安冨歩氏の「池田信夫の暴走:私を犯罪者呼ばわり。これは犯罪ではないのか? 」という記事が紹介されていますが、そんなどうでもいいような私事・私憤を「共有文書」にするのは、「東京大学」を冠する団体の格調からみて、どんなものなんですかね。
安冨氏のブログを見ると、

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本当にこの女はアホだな。香山リカよ、恥を知れ。
私はニートでもネットオタクでもなく、東大教授だから、この女の考えでは現実世界から逃避せずに成功を収めたヒトなわけだが、
小出裕章助教をこの上なく尊敬しているぞ。世界でも稀に見る、本当の学者だ。
http://ameblo.jp/anmintei/entry-10945172596.html

などという文章もあって、ちょっとびっくりしますね。
早川由紀夫氏や安冨歩氏の文章を読むと、保立道久氏の次の指摘(「twitterと下部意識」)は重要だなと思います。

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 しかし、これは「冨が生活のスピード感をます」というのと同じで、生活資本があって自由時間のある人にはよいが、生活資本(生活手段)が一般には貧困な若い人にとっては、そのつぶやきが暗くなることはさけられない。しかも、そこには通常であれば表現されない暗い心理、欲望、身体的な劣等意識、呪詛、イライラがそのまま流れ出る。意識と手によるタイピングと、それがデジタル化されて頭脳に環流されてくるという道具立てになじんでしまえば、それらの負の感情が、そのルートを流れ出すのはやむをえない。人間は定型化された感情に抵抗できる強さはもっていない。
 これまでは表現されることのなかった、そしてそれを表現しないことによって、内心の自由というものを確保する訓練をするのが一般的であった倫理的心理が、このツイート習慣によって、ある部分崩れるのである。つまり、不特定多数にともかくもオープンしてしまったことによって、それらの感情が擬似的に解放される。人間は、うそでもいいから、表現し、コミュニケートしたい動物であるから、頭脳活動のデジタル化という擬似的な形であっても、表現してしまえば満足感が生まれるのである。
 これは自己を統御しつつ表現するという訓練系の機能不全を結果するのではないか。そういうことになっているのではないかというのが、心配である。

http://hotatelog.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/twitter-8454.html

大学教授のように「生活資本があって自由時間のある人」でも、「暗い心理、欲望」が「そのまま流れ出」て、「訓練系の機能不全」が生じるのですね。
これだけの省察をされているのだから、保立道久氏は「世話人」の安冨歩氏に少しアドバイスしてあげた方がいいんじゃないですかね。
「世話人」の安冨歩氏が今のままだと、団体全体が「自己を統御しつつ表現するという訓練系の機能不全」な人の集団のように思われかねないと思います。
ま、別に私は「東京大学原発災害支援フォーラム TGF」を応援している訳ではありませんが、卒業生の一人として、「東京大学」があまり安っぽく使われるのはちょっとイヤですね。
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