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不評の喜び

2012-01-29 | 東日本大震災と研究者
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2012年 1月29日(日)09時26分23秒

アマゾンに安冨歩氏の『原発危機と「東大話法」』のレビュー、「鬼気迫る愚書」を書いたところ、現時点で<31 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。>とのことで、清々しいくらい不評ですね。
内容は既にここに書いたことの増補版です。
何の理由も付けずに「心のケア」が必要と言うのはさすがに失礼なので、一応理由を追加しました。

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このような「知的レベル」(p81)の文章が間断なく続いて、270ページ、税込1680円の本である。
私は書籍をかなり大量に買っているので、ある程度の割合で駄本が混じるのは仕方ないと思っているが、この本くらい痛切に「金返せ」と思った本は近年なかった。
というか、今までなかったし、今後もないと思う。
まあ、大変お気の毒だとは思うが、49歳になって「仮面ライダー」の一員として「ショッカー」と戦うことを決意された安冨歩氏は「心のケア」が必要な方であろう。
安冨氏の上司・同僚や指導を受けている学生には「いろいろと奇妙で不愉快で悲しい体験を繰り返」した人も多いと思う。
あまり周囲に迷惑をかけないうちに、早く東大病院に相談された方がよいのではないか。
p235には「お子さんを守るために、福島市から関西から逃げられた方にお伺いした話」として、「放射能を恐れて避難するのは「非国民」扱いであり」、「多くの人が山下教授の見解を信じており、それに疑いを差し挟む話をすることすら、はばかれる状態だ」とあるが、これは情報の錯綜の中で、不安を抱きつつ福島県で暮らす人々への侮辱である。
私は飯館村を始め、高線量と言われている地域を何度も訪問し、「多くの人」の意見を直接に聞いているが、避難者を「非国民」扱いしている人には一度も会ったことがない。
福島市も二本松市も郡山市もいわき市も相馬市も南相馬市も、関東の地方都市と同じように、あまり周囲に干渉することを好まず、また周囲から干渉されることを好まない人が大半の普通の町である。
農村部であっても、放射線のような難しい問題で、自分と考えの違う人を「非国民」だなどと非難する人はおらず、みんな人それぞれで仕方ない、と思っているのである。
また、立派な肩書を持った専門家の言い分の全てを信じたら頭が混乱してしまう状況の中で、「多くの人」は山下教授の見解も専門家のひとつの意見として参考にしているだけで、「疑いを差し挟む話をすることすら、はばかれる状態」ではない。
山下教授に批判的な見解を持つ人は、都市部にも農村部にも、いくらでもいる。
著者には、又聞きではなく、実際に福島県へ行って「多くの人」の意見を自ら聞くことをお勧めしたい。
ちなみに私は以前、著者の『貨幣の複雑性』と『複雑性を生きる』を読んで、著者は非常に頭のよい人だなと思ったことがあるが、これもいささか気恥ずかしい思い出となった。

http://www.amazon.co.jp/review/R170AG01933KT5/ref=cm_cr_pr_viewpnt#R170AG01933KT5

私はアマゾンには二つしかレビューを書いていなくて、最初は2009年6月に書いた映画『櫻の園』 のDVDのレビュー、「チェーホフの世界との関連性」です。
これも結構不評なのですが、それでも<19 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。>となっていて、二番目よりだいぶマシですね。

http://www.amazon.co.jp/review/REH909UK56371/ref=cm_cr_rdp_perm

ちなみに私が今、宮城県柴田郡大河原町という小さな街に住んでいるのは、この街の「一目千本桜」が『櫻の園』の撮影現場になっていたからで、その事情は「長すぎる特定商取引法の表示(その1)」にも書いてみました。

http://chingokokka.sblo.jp/article/53078023.html
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