キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

恋愛の失敗学

2019年11月23日 | Weblog
今朝6時に起きてベッドの上にある本を適当につかんだら遠藤周作だった。
2017年に出た講演記録だったが、この人は酷いおふざけもするが、根が真面目で言葉は端正だなあと、職業作家の話し言葉ののレヴェルの高さに感心した。
ユーモア小説やエッセイについても使われている言葉は端正で抜かりがなく、最もシリアスな小説はあまり読んだことはないので推測だが、こういった文章を書く作家は今見当たらないなあと思う。

いわゆる第三の新人で最も読んだのは吉行淳之介で、美意識に大いに影響を受けたが、多分文章を書くのが苦手で、推敲を重ねて磨き上げた文章にその跡がうかがわれ、流れるような感じがない。
次に読んだのが庄野潤三で、淡々と家庭の日常を描いたものが小説なのかとちょっと驚いたりしたが、初期の短編では光るものを感じた。
その次くらいに読んだのが遠藤周作と安岡章太郎だが、この第三の新人が活躍した昭和には文壇があり、純文学と中間小説が区別されていて、小説家は中間小説やエッセイ、対談でかなりの実入りがあり、その余裕の中で純文学を書いていた。
僕が愛読したのは純文学ではないものばかりなのだが、真剣に純文学を書けば優れた小説が出来るわけでもなく、純文学以外のところからも大きな恩恵を受けた。
さて遠藤周作であるが、朝から講演記録を読み、脳の紐帯が締まった感じがした。

7時過ぎに起き出して雨戸を開けて風呂に入り朝飯を作った。
昨晩の鍋の残りを出し汁に入れ味噌汁に仕立て、韮の卵とじを作り、胡瓜の糠漬け、納豆で食べた。

さて昨日は一日何をしたのかと思いだそうとしても中々思い出せなくなりつつある。
一日中雨でJA湘南へも散歩にも行けなかった。
午前中音楽を聴きながら読書をして、妻に七沢に行きながら飯でも食おうかと誘ったら、叉焼も葱もあるから葱そばにしようと言い出し、葱そばを食べてから七沢へ向かった。
母はリハビリを受けていて、部屋の温度も暖房機を修理してもらいだいぶ改善したらしい。
最初自分のベッドで施療を受けていたが、後半はリハビリ室へ行き掴まり立ちの練習をした。
午前中、呉のオネエチャンにリハビリを受け捕まり立ちをしたとのことだったが、この時も3度ほど支えられながらではあるが立ち上がったのでちょっと感動した。
右脚大腿骨は上部を10年前、膝上を前月骨折していて、レントゲンで見ると金属が縦横に入っていて痛々しいのだが、それでも90歳にして立てるんだなあ。

この日は「大論争日本人の起源」を読んだが、複数の異なる分野の専門家が執筆しているので、専門用語の解説が少なく読むのに苦労する。
でも、日本人て何なんだろうとの疑問は日本人なら誰でも最も気にかかることだから、面倒くさいところは読み飛ばし、重要なところはいちいち調べながら読み進めている。
この分野はつい数年前に通説が覆されていることも多く、最新の情報を掴んでいないと駄目で、常に新しい情報がもたらされて先に進むから、一度嵌ると見逃せなくなるね。

相撲はなぜか北の富士が解説で、相撲よりこの解説を聴いているほうが面白いくらいだったな。
稽古が嫌いで遊び好き、女にもてた北の富士は、本人も横綱になり、弟子から二人横綱を出しているから、相撲の実績も指導力も十分で、遊びにカネと時間をかけているから余裕が有って面白い。
こういった解説者は今後なかなか出てこないだろうなあ、今のうちに楽しんでおかなきゃ。
もう一人、1981年ハワイで視聴した大島親方の大相撲ダイジェストの解説は、相撲に対する溢れんばかりの愛情と技の研鑽を突き詰めた人の味わい深い解説で忘れがたい。

晩飯は妻が変な鍋を作った。
鶏肉のミンチに玉葱と昆布の団子(玉葱が当たり良くなかったね)、鰯のすり身(ただし市販品だったのでひどく不味かった)これに豆腐、糸コン、白菜、葱、春菊。
みんなで不味いと言ってぶつぶつ言いながら食った。
酒は「菊正宗純米辛口生酛」を燗して呑んだ。
早めに中身をさらっておじやにして食べる事にしたが、これだけは結構美味くて大量に作ったのに完食した。
飯を喰ってしまってから酒を飲む気にならず、銀杏などを炒ってみたがやっぱり酒がすすまず、妻がマサから買って来たベルジュラック2016を開けて飲むことにした。
これも僕の知人が輸入しているやつで、パリのワインコンクールで金賞を受賞しているから、フルーティで飲みやすいスタイルを予想したが、味わいは予想通りで、あまりにも抵抗感がなく飲みやすく詰まらなかったが、何しろ680円だからね、文句を言う筋合いは毛頭ない。

ワイングラスを持って母の居間で音楽を聴き、9時からは「新日本風土記」10時から「Miss ジコチョー」をみたが、「恋愛の失敗学」ってのもありうるなあと観ていた。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菊正宗を呑む | トップ | 新版「漢語林」第2版 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事