キュヴェ タカ/cuvee taka 「椿庵酔哲湘南日記」

気儘な湘南暮し ー散歩に読書、映画、酒、そして時々釣り-

イタリア通信Ⅶ

2010年02月28日 | Weblog
今日はいよいよローマともお別れで、午後の便で成田へ向かいます。そのまま家に帰って休めれば気が楽なのですが、幕張でフーデックスのお仕事が待っております。二週間休み無しで働いて、またコンヴェンションの喧騒に巻き込まれるのですから、精神的にぐったりしています。

昨日はローマの南に位置するファブリッツィオの葡萄園まで行ってきましたが、ミモザの黄色い花が丁度盛りで華やかでした。3月8日は女性にこの花を送る日だそうで、3年前にトスカーナへ同じ時期にやってきたときに、カステラーニの爺さんが同様なことを言っておりました。先回ローマに来たときはタイサン木の白い花が盛りでしたが、ローマは四季折々の花で旅人を迎えてくれる都市なのかもしれません。



ゲストルームでワインの試飲をいたしましたが、一族で9ヘクタールの葡萄園から趣味的にワインを造っているだけあって、どれもこれもとても丁重な造りで素晴らしいものでした。ワインは一族が共同経営しているバーで殆ど消化してしまい、販売の苦労がなく輸出には全然力が入っておらず、ドイツに少し出しているだけです。先月発注をしたら、今日は珍しいことが重なる日だ、25年ぶりにローマに雪が降ったと思ったら、日本からワインのオーダーが来たと他人事のように言っておりました。

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イタリア通信Ⅵ

2010年02月27日 | Weblog
今日はルーゴの街を09:00に出てボローニャの駅まで送ってもらい、そこから電車でローマへ向かっております。10:23発ローマ行に指定券を自動販売機で買ったのですが、ホームへ向かうと09:47発ローマ行きが20分以上遅れて4番線に停まっていたので、取りあえず飛び乗りました。車掌曰く一人8ユーロずつ追加料金がかかるとのことですが、遅れて走らせてしかも追加料金を徴収するんですからいい気なもんです。遅れたら急行料金を払い戻すのが筋というものでしょう。

この路線は二年前にフィレンツェからウーディネへ行く時に通ったところで、今回はボローニャからフレンツェ経由でローマとなります。そういえば先回は幾つかフィレンツェと名のつく駅があることを知らず、間違ったフィレンツェ駅で待っていて、予定の電車が無いので大いに慌て、既に出発時間を過ぎていたのですが、正しい駅まで行ってみたら案の定電車が大幅に遅れていて助かったことがありました。恩を仇で返すような言い方は厳に慎まなければいけません。

ボローニャからフィレンツェまではトンネルが多い路線です、先回はトンネルを抜けると雪国だったので、反射的に駒子を思いイタリアの電車の旅の風情に、越後のしっとりとした風情を重ねたりしていたことを思い出しました。

今回の旅では、どうかしちゃったんじゃないかと思うくらいいたる所でサービスが向上していて、イタリアらしくないのですが、車内をおじさん二人がワゴンを押してやってきて飲み物とスナックを配っています。コーヒーとオレンジ風味のお菓子をいただきました。

そうこうしているうちに電車はフィレンツェ・カンポ・ディ・マルテ駅に到着し、大雨が降り始めております。雨のフィレンツェも良いもんです。昨年夏はローマからフィレンツェをキャンティーの産地を経由して車で走りましたが、思ったより近いものだなあと感じました。今回はこの区間を一時間半で電車が通り抜けます。ここからは未知の路線ですので車窓の風景を楽しむことにいたします。

12時半、ローマ・テルミニ駅に到着。ファブリッツィオが花束を持って出迎えてくれました。

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イタリア通信Ⅴ

2010年02月26日 | Weblog
長く滞在したリミニのダービーホテルとも今日でおさらばです。昨日海浜リゾートの遠浅の海をお見せするのに見苦しい人物が中央にいて失礼いたしましたが、渚から道路まで100メートルくらいの豊かな砂浜が数キロに渡って続いている感じがお分かりいただけたのではないかと思います。海岸道路沿いには我がダービーホテルのようなのが数十軒立ち並んでいますが、少し陸に入った地域にもシーズンオフには休業しているホテルが数倍の件数であることが、散歩によって確認されました。ホテルと展示会会場を往復するだけでしたが、最後になってようやくリミニが巨大なリゾートシティーであることが分かりました。

ヨーロッパではワインの展示会やワークショップを名の知られたリゾートシティーで行うことが多いのですが、シーズンオフの街は人も閑散としていて、設備も広く使用料も安くて願ったり適ったりの条件が整っているようです。シーズンオフのフランスのカンヌ、スペインのサッチェスなどに出かけたことを思い出しました。

そういえば我がアグリでもお座敷試飲会と称して、冬の熱海で温泉に浸かりながら試飲会とディナーパーティーを何度もやりました。このリミニの展示会も熱海のお座敷試飲会のイタリア版であったのかもしれません。


   
 

今日はリミニからロマーニャの北の方のルーゴまでやってきましたが、途中ルビコン川をカエサルとは反対方向から渡り、古い橋の脇に建つ銅像を撮影してまいりました。昨年から不況対策ワインとして好調な、IGTルビコーネ・ブルーサの雑誌や新聞広告でのキャッチフレーズに“賽は投げられた”や"ルビコンの決断“を使っておりますが、広報担当から画像が無いのが弱いとの事で今回の運びと成りました。ブルーサのメーカーからも言われておりましたが、ルビコン川は小さな川で、世界に流布した言葉が大げさなんじゃないのかと思わせるほどのものでした。歌枕は往々にしてこんなもんです。

    




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イタリア通信Ⅳ

2010年02月25日 | Weblog
我々バイヤーが宿泊しているホテルはアドリア海を望むダービーホテルですが、生憎部屋からは海が見えません。朝飯を取るレストランは、リゾートホテルらしくサンルームが付いていて海が望めます。こちらに来てからずっと海が荒れていたのですが、今朝の海は凪いでいて、ルアーを投げれば平目が釣れそうな感じでした。今回のホテルが海に面していることは、日本出発前から分かっていたので、コンパクト・ロッドとリール、ルアーを持って来て、時差で眠れない早朝にロッドを振って運動しようかと思っていたのですが、出掛けの慌しさで忘れてしまいました。おかげで眠れない払暁を手持ち無沙汰に過しています。







まあ、実際今回のワークショップが何処で行われて、どのようなメーカーが来るのかを知ったのは、出発当日成田エクスプレスの中だったくらいですから、旅支度は前夜、パスポートを確認し、10日分の着替えを用意するだけでした。カードかお金さえあれば着替えさえ出先で調達可能ですから、前日の夜にスーツケースを出してきて、取りあえず気がついた物を放り込むだけになっています。周到な準備がなされるわけがありません。

しかし、昨日までデワークショップは終了し、セッティングされた16社とのミーティングを行い、合間に会場のブースを30社ほど廻りましたので、随分イタリアに対する蒙が啓かれました。耳寄りな情報は、ピエモンテのメーカーから聞いたのですが、イタリアのワイン情勢もこの二年で劇的に様子が変わり、かつて主流だった赤ワインがその地位を去り、今では70%が白ワインになっているとのこと、この話が正確であるかどうかは分かりません。しかし、ベッペの話などからも、もうかつての濃縮された構成の大きいワインは時代遅れとなり、スマートでスタイリッシュなワインがイタリアでも求められていることが伺われます。

今日はこれからそのS&Sな、アルバーニャ・ディ・ロマーニャとサンジョベーゼ・ディ・ロマーニャを造っているメーカー見学に出掛けます。一寸ブルゴーニュを連想させるスタイルで中々のワインです。時代が要求する良い白を見つけ出すことが、ワイン業界での生き残りに必要のようですし、軽くてテイスティーな赤も、ボツボツその価値を認められてもいいんじゃないのかなあと思います。
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イタリア通信Ⅲ

2010年02月24日 | Weblog
初日にビールゾーンで小一時間過しアメリカンホッブのフルーティーなスタイルを楽しみましたが、時間があるとビールゾーンをうろついて試飲を重ねております。既に日曜日に暇なブースを選んで試飲をした印象を書きましたが、月曜からは入場者が減って全てのブースで試飲をすることが出来るようになっております。それでも人気のところは人だかりしておりますが、何しろバイヤーという胸に掛けたカードが水戸の御老公の印籠よろしく功を奏します。“控えおろう、ここにおわしますバイヤーを誰と心得るか、先の戦いの盟友にして偽ビール造りの栄つ国、近頃では悪名高きトヨタでその名を知られた日本よりやって来た、ただの年老いたワイン業者であるぞ”と唱えると、偽ビールが効くのかトヨタに恐れおののくのか、アルコールをおびて威勢の良いイタリアの若者達がすーっと道を空けてくださいます。

かくして今日まで20軒ほどのブースで試飲をいたしました。ビールの傾向については素人ですから控えさせていただき、一ワイン業者としての感想を述べさせていただきます。ビールゾーンは人だかりが凄く、若い人が多いため活気が有り、明らかにワインゾーンの雰囲気とは異なりました。イタリアの友人達から聞きた話では、若い世代のワイン離れが進み、ビールを好むようになっているとのことでしたが、それを目の当たりにしたわけです。

日本でも10年前に地ビールが各地に現われましたが、経営に四苦八苦なさったところが多く、個人で起業なさった方の殆どが消えてしまったのではないかと思われます。しかし、こちらではジーンズ姿のビールに一家言ある人達が小さなブースに陣取り、熱く自作のビールを語っていて、大手主導の偽ビール造りの国とは大きく違い、羨ましい光景だなあとつくづく思いました。


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イタリア通信Ⅱ

2010年02月23日 | Weblog


イタリア三日目の早朝は雨が降っておりました。リミニ・フィエラへ出かけるころにはその雨も都合良く止み、一日が気分良く始まりました。会場では口開けにチェヴィコのブースにより、エスプレッソをいただきながら歓談をし、蜂蜜入りのグラッパを勧められるままにいただきました。朝の寝覚めにはうってつけの飲み物で、グラッパのキックする感じが蜂蜜の甘さに溶け込んで、甘強い不思議な感じでした。午前中はびっしりミーティングが組まれておりましたので、素直にそれに従い試飲をいたしました。



午前中最後のメーカーは昨年フーデックスで会った事があるマルケのメーカーで、優れたモンテプルチアーノを作っていた記憶がありました。少しだけ樽をくぐらせたミドルレンジのワインが、モンテプルチアーノ由来の果実の風味と木樽由来のバニラの香りがまさに軽妙に調和して誠に優れたワインでした。昼飯前に良いワインに出会うと気持ちよく午前中の仕事が終わりに出来ていいものです。

昼休みに食品館のほうへ遠征して見学いたしましたが、昨年夏にローマで会ったフラスカティーのメーカーが、一人寂しくブースでパソコンを打っていたので挨拶いたしました。向こうはすっかりこちらを忘れているようで、ああだこうだと説明したらようやく分かったようですが、そんなことじゃあワインなんか売れねえぞと思いましたね。先人が築いた名声に寄りかかっていてはいずれ泣きをみることになりますぞ。






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イタリア通信

2010年02月22日 | Weblog
今日はコンヴェンションの会場リミニ・フィエラに出かけましたが、思ったより広く、かなり盛大なフードショウであることがわかりました。ヴィニタリー程度になりますと、もう見ただけで食傷してしまい、全部回ってやろうとの気持ちになれませんが、このフェア位ですと4日間でワインのところは全て廻れそうで、全能感を保持できます。

初日の今日は8社とのアポが組まれておりました。日の丸が置かれたテーブルも良かったですが、そこに居ながらにしてイタリア中からのワインが試飲でき、グラスのセットや吐器の処理をおねえさんがてきぱきとやってくれるので、とても気持ちよく試飲が進み極楽でした。幸いにも午前中にソアヴェの良いワインと巡り会い、午後には素敵なバローロと巡り会えました。さすがに最後になると疲れてきて、地獄の様相を呈しながらの苦行となりました。しかし、これだけ短期間に効率的にイタリア全土からのワインが試飲できる機会などありませんから、疲れたとか苦しいと言ってはいけません。明日からも、出されたものを黙って飲み続けることが、血となり身となって老獪なワイン業者を造り上げてゆくのです。

昼休みにイタリアンビールの会場に、50社以上の地ビールメーカーが出展していたので、気分転換に試飲をさせていただきました。いくつかのブースを廻ったところ、アメリカンホッブを使ったレモンやオレンジの風味のするビールに複数遭遇しましたので、これがイタリアンビールのトレンドなのかなあと思ったりしておりました。天邪鬼の性格ゆえ、人気の無いブースで話し込みながら試飲をしがちですから、あるいはこの感想は全く間違っていて、時代遅れのところが未だにそんなことをやっている可能性もあります。真実を探求なさりたい方は、ぜひその道の権威にお尋ね下さい。

今回のワークショップの救われる点は、4日間ともディナーが予定に組み込まれていないことで、コンヴェンションからホテルに帰ってくる18:00に身柄拘束が解除されます。今までですと、朝早くから、夜中の零時までは囚われの身で、ワインか食い物を無理やり胃に流し込むことを強制されておりました。しかし今回のイタリア出張では、自発的な暴飲暴食を避ければ健全な胃を保持したまま帰国が適いそうで、それが何よりありがたいなあと思っております。

さて、ブログも書き終わったしそろそろ街へ繰り出して一杯やることにいたしましょう。
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タリケ本願 レ・キャトル

2010年02月21日 | Weblog
成田からローマに到着いたしました。12.5時間のフライトは年々きつくなってまいりました。最近は国内の旅を好むようになり、プライベートでヨーロッパを訪れたのは、もう4  年前が最後で、それ以降は仕事の場合のみ訪れるようになってしまいました。旅というのは若者のためにあるに違いなく、年を重ねてくると近場の好みのところへ出向き、旅愁を感じながら若い頃に訪れた思い出の地を思い浮かべては懐かしむのが良いようです。

初めてタリケを訪れたのは3年前の秋のことで、毎年フランスに来るときには必ず寄ってくれと言われながら、そのフランスにその後行っておりませんので再訪の機会に恵まれておりません。今回ローマからご紹介するレ・キャトルは個人的には一番好きなワインで、少し当社の倉庫で寝かしたため、今飲むと蜂蜜のような風味を感じます。名前になっている4種類の品種は、ソーヴィニョン・ブラン15%、シャルドネ35%、セミヨン5%、グロ・マンサン45%の構成ですが、構成比の順ではなく、珍しくない順に品種を並べてみました。蜂蜜っぽい風味は、品種から推理するとセミヨンとグロ・マンサン由来の可能性がありますが、フレンチオークの樽で6ヶ月熟成されたことによりオークの風味が変化した可能性もあります。

ここのところ清酒の試飲で口が一杯と申しましょうか、タリケの試飲をする機会が無かったために、随分久し振りの試飲となり、蜂蜜風味を感じ吃驚いたしましたが、一年半前に試飲したときには樽由来の木質の風味が一寸感じられ、4つの品種が絡み合った奥行きを感じたのですが、今回は液体が四つに分かれる事無く、黄金色で粘度の高い一体感ある液体に変わっていました。飲み頃に入っているというやつですね。フルーティーな風味が残っていてまだ若さの残りを感じ、しかもまったりと成熟した気品が官能を刺激する一番いいときです。

ローマ・フィウミッチーノ空港にて
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タリケ本願 ソーヴィニョン・ブラン

2010年02月20日 | Weblog
久しぶりの好天気の週末を迎えますが、残念ながらこれから成田へ向かいイタリアへと飛びます。向こうは雨が予想されているようで、なんだか悪いところへ向かって出かけることになりそうです。ボローニャ、ローマと周り3月1日に帰国しますが、この週はフーデックスです。我がメーカーもヴァルフォルモサ、オリビエ・トリコンがブースを持ちますので、千葉に宿を取って対応します。そうこうしている内に週末の土曜にはタリケの若きオーナー、ハンサム・アーミンが初来日しますので、せっかくですから日本を理解してもらうために、色々見てもらいたいと思い鎌倉などへお連れする予定です。スケジュールが詰まっていてゆっくりタリケをご紹介する時間がないので、イタリア出張中に幾つか印象的なワインに絞ってイタリア報告と共にお伝えしようと思います。初めに世間の評判の高いソーヴィニョんブランについてです。

タリケのイチエがソーヴィニョン・ブラン2009は今までと違ってすごい出来だ、早く2008を売却して2009年を仕入れてくれと申し入れて来たので、直ぐにサンプルを取り寄せて試飲したところ、果実が濃縮されたようなスタイルで、2008のハーブのような感じとは異なるワインでした。まあ、どちらが良いかは好みですが、個人的にはハーブっぽいのが好きですね。ちょうどアナケナのカサブランカ・ヴァレーとレイダの違いでしょうか。

さてこのソーヴィニョン・ブランは、日本に入ってきた時から栄光を独り占めにしており、ワイン王国で5☆を獲り、他の全てのワインを引っ張る役割を果しました。やはりガスコーニュは荒涼とした感じのする土地柄で、ソーヴィニョンの青い感じが良く似合います。これはもう25年も前に初めてこの地を訪れた時に、確か11月1日だったと思いますが、フランスは祝日で、当時取引のあったアルマニャックのメーカーの人達が皆で会社に集って、手料理でもてなしてくれました。外はすこぶる寒く、ランチで飲む赤ワインを暖炉の上に乗せて暖めてくれていたのを強く覚えているからかもしれません。しかし良く考えてみるとボルドーより南に位置しているのですから、年間平均気温は高いのかも知れず、見た目と実態は違うのかも知れません。かなり確かなのは、内陸地なので夏熱くて冬寒く、日較差も大きく夜温はかなり下がることですが、アーミンが来たらこの事はきちんと聞いてみることにいたしましょう。

タリケには一種類だけロゼがありますが、他は白ワインばかりなので夏場に売上が落ちないともいえますが、冬に売上が伸びません。加えて最近の不況による消費者の低価格志向のため、牽引役であったこのソーヴィニョン・ブランでさえここのところ大変苦戦しております。アーミンが来るのに困ったなと思っていますが、彼は販促に来るのですから、全てを任して置けばいいのかも知れませんね。






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小田原文学散歩 Ⅲ

2010年02月19日 | Weblog
昨日は春の椿事を見ようと早めに名古屋から帰ってきたものの、すでに薄雪はなく、春の夕暮れに箱根の山々がシルエットに浮かび上がっているのを小田原から眺めるのみでした。今日で小田原文学散歩も最終回、別に終わりを惜しむほどのものではありませんが、明日はイタリアへ向かいますので、日本の春景色との別れに心が残ります。帰国時はフーデックスが開催されておりますので、成田から幕張へ直行して三日ほど千葉の春を楽しむことになります。

さて、小田原文学館南門から海岸沿いの道を東へ十分ほど行き、浜町の川崎長太郎小屋跡の記念碑を見学。当時とは随分変わってしまったであろう整然とした一角に40年の歳月をつくづく感じ、しんみりした気分で国際通りを北上、かつて栄えたこの通りの凋落振りをさらにしんみりと味わいながら、高野古書店を覗きましたが生憎欲しいものが無く、新刊書で何かないかと伊勢治書店本店へと向かいました。

この日、本来ならば川本三郎さんが立ち寄った居酒屋にでも寄って、散策のあれこれを振り返りながらビール、燗酒と飲み進み、アルコールで感じやすくなった心に青春時代の小田原の街を思い浮かべ、感涙に咽んでいたのでしょうが、何しろ連日過度のアルコール摂取で体重が増え、もとの身体に戻りません。老い先短くどうなってもいいのですが、太りすぎで膝痛が悪化したら大好きな街歩きの楽しみが味わえなくなってしまいます。酒は外で飲むから楽しいのです。馴染みの店で一寸やるのも堪えられませんし、初めての街で見知らぬ店の暖簾を潜る緊張感と期待感といったらありません。一杯やりたい気持ちを振り切って、伊勢治でこの日の散歩の記念に、せめて鈴木創士新訳の「ランボー全詩集」河出文庫を買い求め、駅へと向かった次第です。


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