キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

ポスト消費社会

2008年05月31日 | Weblog
ポスト消費社会の行方について、ずいぶん前から取り沙汰されておりますが、まさに「ポスト消費社会のゆくえ」の題名で辻井喬さんと上野千鶴子さんの対談が文春新書から出されております。辻井さんと上野さんという組み合わせが面白いですし、辻井さんは現在読売新聞に回顧録を連載されていて、それと同時に読み進める楽しみもあります。辻井さんのお宅は私の家の近所で、ずいぶん幼いころからああここが堤清二の屋敷かと眺めており、ご当人を存じ上げている訳ではないのですが、親しみがあります。

90年代は百貨店の衰退の季節でした。私はその理由を委託販売やテナントの増加で、社員に専門的な知識や経験や感が失われたことが主な原因と考えておりましたが、本書の中で、百貨店はスペースコミュニケーションの場であり、非日常のハレ空間であるテーマパークであるデズニーランドが敵であり、匿名性の高い集団に晴れ着を着た私を見てもらう舞台は、ホテル、劇場、レストランに取って代わってしまった。と述べられています。上野さんはさらに、宮台真司さんの島宇宙化の説を援用して、もはや人は匿名性の高い集団ではなくて、あらかじめ知っている人たちの中での同調性の高いコミュニケーションしか望まなくなっている。今日、百貨店が成り立たなくなっている状況は、コミュニケーション媒体自体のセグメンテーションがおきてきて、偶然性の高いノイズはシャットアウトする。とさらに解説されておられます。

以前阿久悠さんがが歌謡曲が成り立たなくなったのは、世間というものが想定できなくなったからだと書いておられるのを読みましたが、百貨店が成り立たなくなった時期と歌謡曲が成り立たなくなった時期は機を一にしているように思います。スペースコミュニケーションが閉じてしまうのは大変危険なことですが、スペースコミュニケーションの場が巨大化してゆく危険な時代より良い時代ではないかと思います。仲良しクラブから多様な価値が生まれて、他のコミュニケーション集団向けに批判が届くシステムをいかに組み込むか、そのためにはノイズをシャットアウトしない時間を持つことが大切で、まさにジョンケージの「4分33秒」をたまに聴くと良いのかもしれませんね。



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ヴィネスポ香港Ⅲ

2008年05月30日 | Weblog
本日午後久し振りに日本へ帰ってきました。時差が無く楽かなあと思っていましたが、思いのほか疲れていて、三日間に集約して15社以上と試飲ミーティングできるのはとても有りがたい事なのですが、やはり厳しいものです。

昨夜は展示会が終わって、夜七時半から香港タイムススクエア10F聘珍楼で、ヴィネスポに出展された当社のサプライヤーを打ち上げ慰労会にご招待いたしました。2年前にもダウンタウンの歌と演奏つきの中華でやって好評でしたが、今回は前回より増えて総勢20名の会になりました。古いところでは、シャトー・ダレム、シャトー・スオウ、オリヴィエ・トリコン、スペイン語圏からは、アナケナ、カスターニョ、シエラ・サリナス、ヴァルファルモサ、フランスからはソーヴェックス・ウォルトナー、セラー・ド・マレノン、ケランヌ、ボルドー・コレクション、トゥティヤック、ドメーヌ・カブザックが参加してくれました。皆さんにそれぞれご自慢のワインを持ってきてもらい、40本くらいありましたかね、ターンテーブルに乗せて中華をいただきながら思い思い試飲をしていただきました。私の聞いた範囲では、白はグラン・マレノン、赤はサリナスのミラが一番人気でした。カブザックの頑固親父も良いワインばかりだ、これでは全ラインをやってくれといっても首をたてに振らない理由が分かったといっておりましたので、しめしめでしたね。それぞれのメーカーの人たちは自分のところのワインが一番と思っているので、国や地域が違うとまったくワインを知らないものなのです。自分のところのワインが、アグリの中でどの程度のところに位置しているのかを了解してもらうのにはとてもよい機会です。

アナケナはホルへ、ヴァルファルモサはオリオールの親父、スオウはモニク、ダレムはブリジット、オリヴィエ・トリコン、カブザックの親父とミディアムからハイの年齢のオーナー社長が揃いましたので、片方のテーブルになぜか彼らが集まり、なかなか面白い展開に会は進み、私は最初はそちらのテーブルに居て茶々を入れていたのですが、途中からヤングミドルの人たちの集まっているもう一つのテーブルのほうへ場所を移し、これまた楽しく時間を過ごしました。老若男女入り乱れての会はかなり楽しく進み、デザートの後タリケからの差し入れの1972のアルマニャックをとても美味しくいただき、大騒ぎの中11時前に閉会とし解散いたしました。

皆さんとても喜んでくれておりましたが、日頃日本で思惑通りワインが売れないことをサプライヤーの皆さんが一瞬でも忘れてくれたらこの会は成功ですし、もし当分忘れてくれたら大成功であったと言えるでしょう。


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ヴィネスポ香港Ⅱ

2008年05月29日 | Weblog
香港での2日目の朝を迎えておりますが、外はどんよりと曇った感じでホテルの窓から眺めると海も山にも霞が掛かっています。気温も高いし湿度も多く日本の梅雨時の感じに近いですね。

昨夜は、オーストラリア、カヴァ、ナヴァーラ、ボルドー、アルザスのメーカーの方たちと大勢でスペイン料理店へ行き、持ち込んだワインを飲みながらハモン・イベリコ、パエリャなどをいただきましたが、香港のスペイン料理というのもまあまあでした。でも飽きが来なければ、返還前までは世界一といわれた中華料理を朝昼晩と楽しんで奥の深さを研究するのが正しい選択で、街場の汚い中華料理屋ではハエが飛びゴキブリが跋扈しており、40年前の横浜中華街の雰囲気が髣髴され、懐かしさとともにこの猥雑さが中華を喰らう楽しみであったことを思い起こさせてくれます。横浜中華街が何故面白くなくなったのかはこのあたりに答えがあるような気がいたします。清潔で明るすぎて陰影を失ってしまっては街の魅力は喪失し、そんなところでは薄っぺらい人間の複写を繰り返すだけで、先行きを暗くするだけです。

昨日の会場では、タリケのイチエと秋口からの販促計画について話し合い、その締めとして来年1月にはタリケウイークをやることで大筋の相互理解をいたしました。フランスでのタリケの名声に比べて、日本では余りにも知られておらず、当然販売量も彼らが満足するようなものではありません。まあ、一言で言えばインポーターの能力不足が原因なんですがね。
この会場の受付総合案内には日本のワイン雑誌が閲覧できるように置かれておりますが、イチエをつれて行き「ワイン大国」5月号のソービニョン・ブラン・ブラインド・テイスティングで堂々タリケがNO1になり☆☆☆☆☆に耀き、そのトップに載っているところを見せました。これはインポーターの販売努力の結果というよりは、タリケが高品質のワインを造っているということの証明にしかならないんですが、それでもイチエのやつやけに喜んでましたね、本社へ帰って日本の販売数量の報告だけではレポートにもならないところ、このようなトピックで量の問題を質の問題に上手く転換させ、報告書の形式を整える欺瞞は洋の東西を問わないのかもしれません。

カブザックのブースでは父娘が待ち構えており、現在取扱いの2アイテムに加えて、オントレード用の4アイテム全てををやるように奨められました。ここの親父は元々のワイン生産者ではなく、ガムに使う安定剤を商う仕事を長くやっていたので、農民ではなく根っからの商人、人にものを奨めるのが板についております。ミネルヴォアのワインは10年ほど前から5年ほど前までかなり力を入れて販売していたのですが、使われる品種と気候によって造られるワインのスタイルが日本に合わないとの結論に達し、一度販売を取りやめ、昨年このカブザックを飲む機会があり、高品質に造ったものであると、濃さ強さは有るもののある種のエレガントな部分も同時に持っているので一部の人達には受け入れられるかなあとの淡い期待でトップキュヴェ二つの取扱いを始めました。昨日奨められた中に白ワインがあるのですが、これは昨年試飲をした際にも優れたものだとの認識を持っておりましたが、あらためて飲んでみるとやはり秀逸なワインでした。秀逸なワインは世界に数多くありますが、売れるワインはとても限られております。親爺の甘言に乗って新たな取扱いを始めないことがワインビジネスの成功への道であります。

来週カブザックは娘ステファニーが日本にきて東京大阪で試飲会に参加します。この白ワインに対しての好奇心を満たしたい方は是非その会場でお試しいただき、できれば美味いとか売れそうだとかのコメントはお控え下さい。今のところ控えめなステファニーにも親爺のDNAが埋め込まれているはずで、美味いとか売れそうだとか聴いて、静かにしていた商人のDNAがいきなり騒ぎ出し、取扱いを考えてなどと哀願されたら厄介なことになります。ぜひ好意的なコメントは胸の奥に仕舞ってブースを離れるようにお願いいたします。
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ヴィネスポ香港

2008年05月28日 | Weblog
昨日ヴィネスポ香港が始まりました。ざっと見た印象では、出展企業が増えたこと、フランスブースが多いこと、中国人のヴィジターが多いことの三点です。出展企業が増えたことはここのところ好調な中国マーケットに対する期待の大きさの反映と思われます。フランスブースが多いことは、フランスワインとコニャック、アルマニャックなどの認知度が高く、日本も且つそうであったし、いまだにその傾向が強くこの部分では似た歴史をたどっているのかもしれません。中国人のヴィジターが多いのは当然かもしれませんが、二年前に比べても確かに増えているし、風情を見ても生活そのものが豊かになっていることを実感いたします。そのうち日本はいろんな部分で追い越されるんだろうなあと感じますし、実際多くの部分で既に遅れていることでしょう。

朝一でトゥティヤックのブースを訪問して、2007年のヴァン・ド・ぺイ・アトランティックを試飲いたしました、現在シャルドネとメルロを取り扱っておりますが、新たにソーヴィニョン・ブランとカベルネ・ソーヴィニヨンが加わりました。ソーヴィニョンブランは青いトマトの香とかキャベツの香とかいわれる独特の風味をもったフレッシュでフルーティーなスタイルで、カベルネはシャープで軽快なワインでした。樽をくぐらせた白とそうでない白のボルドーも試飲しましたが、白ワインに秀逸なメーカーだとあらためて感じました。ここのワインは、ボルドーのコーポラティヴが、今後どのようにして生き延びてゆくかの回答を持っているような気がいたします。

次にセラー・ド・マレノンとケランヌのブースを訪れ随分たくさんのワインを試飲いたしましたが、グランマレノンの白は相変わらず価格から見て素晴らしい南仏の白だと思います。樽香が嫌味にならずアクセントになっていて、あくまでもエレガントにワイン仕上がっているところが素晴らしいですね。同様の白をケランヌが造ると、色合いが濃く全体が濃厚な造りで、樽香が表に現われず果実に包まれて複雑さが内向します。酸化熟成を感じるたっぷりしたワインになり、待つことの楽しみを教えてくれます。赤はケランヌのコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュが軽快でここのワイン造りの考え方のよさを感じさせてくれる、チャーミングなワインでした。マレノンはオルカのニュー・ヴィンテージが強烈で、今飲めるワインではないにしろ印象的でした。

お昼からは、ダニエル・カスターニョの新しいボデガ、先回のワイン・アドヴォケイトで驚異的な高得点を取ったシエラ・サリナスに腰を落ち着け初対面の担当者カルメン、この名前の担当者が取引先に現われることを期待していたのですが、スペインワインを10年やってようやく巡り会えました。だからといってどういうこともないのですが、カルメンという名前は我々の世代の日本の男にはある種の期待を抱かせます。佐和さんは二月のモンペリエのヴィニ・シュッドで既知とのことで、紙を短く切ってイメージが変わったとかいっておりましたが、カルメンが髪を短く切っちゃいけません。パーカーが95点を付けた2004年の1237の新ヴィンテージ2005を試飲いたしましたが、濃いですね。酸が強くバランスに優れた2005は2004を上回るワインになりそうだとのことです。来年これに98点が付いたら、それこそこのボデガ一気に爆発ですね。近いうちにシエラ・サリナスは日本で入手しにくいワインになると思いますので、今のうちに飲んでおくと、昔は安いワインだったのにと、10年くらいたってから若いやつらに威張れるかもしれません。今飲むなら下のランクのプエルト・サリナスをお勧めいたします。

久しぶりにシャトー・スオウのモニクにも会いました。オリビエ・トリコンなどもそうなのですが、ブースを持たずに会場に来て商談をしているメーカーも多く見受けられます。デスパーニュなどは、私が泊まっているホテル、ルネッサンス・ハーバー・ヴューが会場から一番近く通路で繋がっているのですが、このホテルの一室を使って新会場としているようです。上には上がいるようです。

夕食はシャトー・ダレムのブリジッドと待ち合わせて、街のアメリカ屋という北京料理に行きましたが、彼女がダレムの経営を引き継いでから最初の困難を切り抜けたようで、やけに元気でした。パリのホテルにかなり入れたようで、インター・コンチネンタルでは、ボルドー一級と一緒に150ユーロから200ユーロくらいでグラス販売されているようです。彼女が手がけた2002からワインのスタイルは激変し、今風の受けるスタイルになりましたので、ソムリエもお客様に紹介しやすいようです。ボルドーに帰ったら、ロバート・パーカーと会食することになっているんだと話しておりました。中々颯爽としており、同世代の古い友人が元気に仕事をしているのを見ると、こちらも勇気付けられますね。

今朝の香港はまあまあのお天気です。皆さんお待ちのことと思いますので、ボツボツ出かけることにいたします。




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香港ヴィネスポヘ出発

2008年05月27日 | Weblog
成田発香港行ノースウェスト1便が厄介なことに遅れ、成田空港で延々4時間待つことになり、まあこうしてPCを取り出してよしなし事をつらつらと綴っているわけです。横浜を発つ前に馬車道有隣堂で荒俣宏の「日本橋異聞」のシスターブックともいえる「江戸の醍醐味」-日本橋・人形町から縁起めぐり-光文社刊を捜し求め、運よく平台で最後の一冊となっていたのを入手して今回の旅の友とすることが出来ました。早速空港内のファミレス風情のアヴィヨンの一角に陣取りページを開いたわけですが、同行の佐和さんよりクレームが入り、「旅のお供は書籍だけではなく、生身のお供が居る」とのもっともな指摘を受け、ページを閉じました。

お取引先が同じ便に乗ることが分かっていたので、連絡をしてアヴィヨンにおいでいただき飛行機見酒をすることにいたしました。実はこのお取引先からは昨年の花の時期、靖国神社で花見酒のご招待にあずかり大変優雅な時間を過させていただき、今年もお招きをいただいていたのですが、何せ名古屋勤務が増えたり、イタリアへ二度も出かけたりで都合がつかず、せっかくのお申し出を受けることが出来ず大変申し訳なく思っていたのです。今回は思いもかけぬ時間が出来、滑走路を離着陸する飛行機を見ながらの酒宴となりました。ボーイング747、767、トリプルセブンなどが行き交う様を見ながら飲む酒は、桜の華やかさとは異なり、旅情を誘いまた格別であります。

酒を飲んでおりますと時間がたつのは矢のようで、3時間があっという間に過ぎ去り、搭乗口へたどり着いたときには既に皆さん搭乗し始めており、ほろ酔い気分で時速700キロメートルで移動するコリアンバーベキュー弁当のような機内食をいただき、「江戸の醍醐味」を読むまもなく瞼が閉じ、気が付いたら深夜の香港空港に着陸しておりました。

一夜明けた今朝は、香港島のルネッサンス・ハーバー・ヴュー・ホテルの美しい港が眺められる部屋で、こうしてPCに向かっているというわけです。いよいよ一時間もすれば、ヴィネスポ香港が眼下に見えるコンヴェンションホールで始まります。





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よさこいソーランと宇治金時

2008年05月26日 | Weblog
昨日の湘南は午前中雨が残り嫌なムードでしたが、昼を境に雨が上がり午後遅くには日が差し込むまでに天気が回復いたしました。平塚では今週は湘南よさこいソーラン祭りが催されており、連というのでしょうか踊りのグループが大音量のトラックの後を衣装踊りともに趣向を凝らして汗だくになって踊っておりました。先週は札幌にいたのですが、このよさこいソーランは北海道大学の学生が企画したイヴェントで、起源は札幌、今では雪祭りより盛り上がるイヴェントと聴いた事があります。しかしその人気にあやかって、日本国中何処ででもやりだすと、踊っている人たちの熱狂とは裏腹に興ざめする部分があります。

平塚へは何時ものように大磯まで歩き、東海道線で一駅なのですが、さすがに歩いていると蒸し暑い季節になりました。少し買い物をして、喫茶店でコーヒーを飲みながら休み、駅ビルのさくら書店で新刊本を見て帰るのがお決まりのコースですが、この平塚のシャポーという喫茶店では先週からかき氷が始まっておりました。初物に飛びつくのは江戸っ子の専売特許ではなく、湘南オールドボーイも同様、実は先週宇治金時を既にいただき、土曜には茅ヶ崎のムラサキという喫茶店で同じく宇治金時をいただきながら、例のオノマトペを眺めておりました。

この好物の宇治金時ですが、その起源は浅学なため知りませんが、やはり京都あたりなのかなあと思ったりしています。しかしながらこれを考案した方は大したもので、今では夏になると日本国中いたるところの甘味処、喫茶店、食堂にオンメニューされています。夏の暑い盛り日本の何処かの駅で降りて「氷」と看板を掲げた店に飛び込んで、宇治金時で一時の涼を感じる喜びには、あやかり商法に対する批判をいささかも許さない感激があります。かくのごとく人間というものは実に勝手なものであります。




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オノマトペ

2008年05月25日 | Weblog
昨日雨が降りそうな湘南に買い物に出かけ茅ヶ崎駅脇の長谷川書店で「日本語オノマトペ辞典」小学館、小野正弘編を購入いたしましたが、その巻頭で “オノマトペのたのしみ”としてかなり長い文章が添えられており、最初のところで字義について小野さんが説明していらっしゃいます。耳慣れない言葉ですが、擬音語・擬態語の事をさす言葉でフランス語であり、そのおおもとは古代ギリシャ語で“造語すること”の意と書かれております

この辞書が出ることは、読売新聞の書評だったと思うのですが読んでおり、面白そうなので書店で見かけたら買ってみようと心がけていたのですが、最近になるまで見かけませんでした。この一週間で茅ヶ崎の長谷川書店、馬車道の有隣堂で平台に並べてあるのを見かけたのですが、なにせ4,500語を収め700ページもある大冊、気軽に買って持って帰るわけにはいきません、購入にはそれなりのに気合が必要です。昨日は最初からそのつもりでリュックサックを背負い家を出て、ようやく購入お持ち帰りの運びと相成りました。

さて眺めてみますと、奥付が2007年10月31日初版第一刷発行となっておりますので、半年を経てようやく小学館の営業の人たちの努力が稔り、各書店に平積みされ販売が本格的にスタートしたようです。アグリの新商品もこのくらいの期間で平台販売が出来たら良いのですが...、書籍にしては遅咲きの感じがいたします。まあ辞典なので一ヶ月で店頭から無くなるという事はなく、次の改訂までこの版がしぶとく棚を占有するとは思いますが。

さて、私に一番縁がある美味いものを喰うときのオノマトペを見てみましょう。

ばくばく・物を遠慮なく盛んに食べるさま。
ぱくぱく・大きく口をあけて美味しそうに物を食べるようす。
むしゃむしゃ・しきりに口を動かして食べているようす。
がつがつ・ひどい空腹のため夢中になって食べているようす。
もりもり・たくさんの料理をいきおいよく食べるようす。
ばりばり・かたいものを勢いよくかむくだくおと。
ぺろり、ぺろぺろ、つるつる、むにゃむにゃ、もぐもぐ、もごもご、わしわし
などなど60種類くらいのオノマトペが載っており、見ていて飽きないですね。

活字は大きくて他の辞典もみんなこれに倣えといいたいくらい読みやすく、買い手は少ないだろうなと思うのですが、その割に6,300円で手に入るコストパフォーマンスの良さ、そして見飽きたら枕にもなる優れもの、私、決して小学館の回し者ではなく、一介のワイン業者に過ぎませんが、こういうものを作る小学館という会社に感動してしまいます。ステレオタイプのワイン・テイスティング・コメントを無反省に続けているアホソムリエは、日本語の表現力の多様さと瑞々しさを知るためにも、この辞典を買って少しは言葉の修業をしたら良いと思いますね。





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アナケナその特異性

2008年05月24日 | Weblog
さすがに一週間の疲れが出て昨夜は10時には夢の中へ、今朝は4時から起きて読書などしてぼんやりしておりました。今週末の湘南は天気が悪いらしく、今朝8時までは陽が差していたのですが、これから下り坂昼頃からは雨になるようです。折角の良い季節散策が出来ないのは惜しいですね。

来週月曜日からは香港ヴィネスポに出かけることになっており、きっと気持ちはそちらの方へ動いてしまうので、アナケナとの折衝で大きな課題になったことを書いておくことにいたします。飲んで喰っただけのような印象が強いと思いますが、決してそれだけではないんですよねえ。

まずはスクリューキャップの導入ですが、これは一昨年からの課題でアナケナにとっては大きな投資となるため、市場調査と導入プラントの検討を慎重に行ったようで、決断までに時間が掛かりました。それでも先週からイタリア製のチリでは最新鋭のボトリングラインが稼動し始め、日本向けにもこの秋からヴァラエタルを手始めとしてスクリューキャップのワインが発売される事になります。

次に今年発売したシングル・ヴィンヤードのコンセプトが弱く、皆さんに分りづらかったので、概念の明確化をいたしました。シングルヴィンヤードの名前で発売したワインは、アナケナの自社畑で単一畑から収穫された単一アイテムのブドウ品種で造られたワインです。ちょうどブルゴーニュのドメーヌワインに似ています。チリではブドウやバルクワインを農家から購入してブレンドして自社のブランドで売っているメーカーが多く、皆さんご存知のチリのブランドのほとんどはこのタイプです。ドメーヌワインに対してネゴシアン物ですね。アグリでは8種類のシングルヴィンヤードを取り扱っておりますが、これだけのアイテムをリリースできるメーカーは、アナケナが唯一であり、ここを強調したい狙いがあります。チリのワイン産地南北東西に渡り、品種にあった気候と土壌を選んで慎重にブドウ畑の保有を決定してきましたので、当然品質も優れており、カルムネールはこの品種でチリNO1=世界NO1、ヴィオニエはチリで生産される白ワインのNO1、ソーヴィニョンブランはこの品種でチリNO1に選ばれております。

ちなみにリゼルヴァは厳格な法的に規制が無く、各社で優れたワインにリゼルヴァと表示しておりますが、今後アナケナでは各畑の秀逸なキュヴェをブレンドして造るブレンデッドワインとし、赤2タイプ、白1タイプをシングルヴィンヤードとははっきり峻別してリリースする事になります。ラベルも識別しにくいので変える予定です。

まあたまにはこうやって商品コンセプトの決定や、新商品の提案などについても話をしているわけでして、ワイン業者というのは美味いものを求めて旅をしているだけでない事をご了解いただけると良いのですが。






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アナケナ・ウイーク終わる

2008年05月23日 | Weblog
随分準備を重ねて楽しみにしていたアナケナウイークですが、先ほど羽田で成田に向かうバスにホルへとアンドレスを乗せ、全日程が終了いたしました。最後の二日昨日と今日は大分まで足を伸ばし、二日かけて一軒のお客様を訪問したのでどちらかというとクローズドな動きでした。

チリからの二人25時間以上飛行機に乗って日本へやってまいりましたが、二日かけて大分まで行き、東京横浜のような大都市とは異なる日本の伝統的な文化を垣間見て感動しておりました。今朝はホルへが早くから起きて騒いでいたのですが、臼杵の古い町並みを散策するのを昨日から楽しみにしており、早朝のわずかな時間を利用してぐるっと一周廻る事が出来、とても喜んでおりました。無垢の木と漆喰で出来た日本建築は誰が見ても美しいものだと思います。そして静かで清々しい翠の朝は何物にも変えがたい安らぎを与えてくれるものです。石畳の路地、板塀、瓦屋根、生け花となかなかなところを堪能しておりました。

昨夜はお取引先がアナケナ・シングルヴィンヤード、オナを試飲しながらの野外バーベキューを企画してくれまして、私個人としては、アスパラガス、レタス、玉葱、トマト、生ハムのサラダ、これが決定的に美味で、大皿にてんこ盛り三杯いただきました。アスパラ、玉葱、トマトは大好物ですが、関東に出回っているものと比べると味わいが濃く、いくらでも喰えるんじゃないかと眩暈がするほどでした。そしてチャコールグリルの牛肉、焼肉のタレのようなものも出されておりましたが、塩コショウの焼きたてのままパクつきました。肉そのものの旨みがあり、サラダとの相性は抜群、胃の腑にダイレクトに来る美味さでした。アナケナも合間にいただきましたが、ヴィオニエ、ソーヴィニオン・ブランのシングルヴィンヤードがいけましたね。

バーベキュー・パーティーの前に、えらそうにホルへが演説をしたのですが、まあ事実偉いので文句は無いのですが、ソーヴィニョオンでもヴィオニエでも白ワインと料理の相性を説明するときに、サラダ、チキンを連発いたしまして、一昨日まで多用していた鮨、刺身などの和食に合うと一言も言わなかったところは、学習に拠る効果を認めてやっても良いかなあと思いました。

途中各テーブルのワインの空き具合を見て廻りましたが、白ワインは全てボトルが空になり、赤だけが残っておりました。ワインの減り方で何が好まれているのか分るものです。さては鮨刺身に白ワインと詰まらない事を言わなかったのが良かったのか、あるいはアナケナは赤より白の出来が良いのか、はたまた5月の大分の気候には白が合うのか、その本当の理由は分りませんが、赤ワインを残して大分の夜は更けていったのであります。



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ホルヘ野毛で燗酒を楽しむ

2008年05月22日 | Weblog
昨夜、横浜ロイヤルパークホテル芙蓉の間で“スパーチリワイン・アナケナを飲むー生産者のホルヘ、アンドレスを囲んでー”という試飲ディナーのようなものを開き、主に一般のお客様がいらっしゃいまして、かなり盛況でした。芙蓉の間はそれほど大きな器ではなかったので250人程度がいっぺんにグラスを傾けると、押し合いへ試合の一歩手前の感じでした。随分遠くからお見えになった方もおられて驚きましたが、アナケナの愛好家にはかなり熱烈な方がいらっしゃることが分かり、少し嬉しく思いました。私なんかどうしてもワインに対して批判的な角度から観てしまうのですが、ファンというのは嬉しいものでその欠点すら楽しみのひとつになっているようです。

試飲会終了後ホルヘとアンドレスを野毛の福家へつれて行き、白ワインは刺身寿司に合うというステレオタイプの考え方が間違っているかの実証をいたしました。鰹、ほっき、蝦蛄、鰯にアナケナのソーヴィニョンと灘の純米酒を合わせ、どちらが刺身に合うかを実際に食べてのみ比べていただきました。ホルヘは純米燗酒がベストマッチであることを苦悩の末了解し、最後の砦であった生牡蠣とソーヴィニョンの組み合わせでさえ清酒には適わないことも驚きをもって得心したようです。余りいじめるとかわいそうなので、白魚のてんぷらはアナケナに軍配が上がることを試し、多少自信を回復したようです。

まあ、刺身寿司に白ワインは合いませんが、アナケナのソーヴィニヨンのオナもシングル・ヴィンヤードも驚くべき品質、しかも価格が納得できるもので、その秀逸さについてはいささかも揺らぐものでないことは強く明記しておきます。
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