キュヴェ タカ/cuvee taka 椿庵酔哲「湘南隠居日誌」

-湘南散歩に読書、映画はTVで、夜は酒、ワイン、ハードリカー、そして時々釣り-

11月の終わりに

2008-11-30 | Weblog
先週の金曜日に名古屋で株主総会を行いましたが、波乱もなく無事終了いたしました。アグリの株式は公開されておりませんので、今秋の株式の暴落には一切関係なく、その点ですんなりと事が進んだのでしょうか。この四年ほど無配当で来ておりますが、実質的には物価上昇分が株主の損失に当たるだけで、株価暴落と比較すれば微々たるものです。可能性としてあった大きな損失を逃れているわけで、かなり目出度い事と思っていただいていいのではないでしょうか。私自身も株式を持っておりますが、保有しているユーロの目減りで痛い目にあっておりますので、痛痒を感じません。無配当というのは会社にとっての踊り場、休息期間であれば問題ないのですが、アグリは随分広い踊り場にいるようです。

世間に目を向けてみますと、円高還元セールなどと銘打って小売業界が躍起になっておりますが、買い控えによる売り上げ減少に対する小売店の対応で、実際仕入れ価格は下がっていないのが実情です。しかしながら、円高や高騰した投機対象商品の値下がりにより、物価も来年になると肌身で感じられるほど下がってゆくことに、まず間違いなくなります。また、怖いデフレスパイラルの長い螺旋階段を下りてゆくことになるのかも知れません。右肩上がりでしか成り立たない資本主義のスタイルはこのようなときに脆弱性を見せますね。肝心なことは、日本はアメリカの進歩主義の末路に同調しないことです。

湘南地方のこの週末は好天に恵まれており、初冬の散策が楽しいですね。住宅街を歩いて人の家の紅葉を愛でるのも大きな楽しみで、12月初旬までが湘南辺りの見頃です。新しい年まで一ヶ月となってまいりましたので、庭の手入れをなさっている方も多く、庭木の枝振りを整えて新年を迎えようという気持ちは皆さん一緒のようです。斯くいう私にも多少その気はあり、梅、金木犀、モチなどの庭木の剪定を行っております。

今日は新幹線のゼロ系が最後の運行との事です。海軍の双発爆撃機「銀河」をモデルにしたといわれているデザインですが、戦後飛行機作りを禁じられた技術者が、海軍の航空機作りで培った全ての技術をつぎ込んだ新幹線に、「銀河」の面影を忍ばせ、不屈の精神を見せたところに敗戦国の男の意地を感じます。ゼロ系という名称は、開戦当時世界最優秀機であった海軍の三菱零式艦上戦闘機、通称「ゼロ戦」を念頭において名づけた名称にほかならず、新幹線に乗るたびにそれを思い胸が熱くなるのですが、平成の20年まで引っ張ってきた昭和の面影は、今日を持って見納めになります。

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ユニオン・デ・グランクリュ・ド・ボルドー

2008-11-29 | Weblog
この大掛かりでたいそう金の掛かっていそうな試飲会の、東京会場と名古屋会場を見る機会を得ました。木曜は名古屋本社勤務で、たまたまこの試飲会の会場ヒルトンホテル名古屋の近くで会食の予定が合ったものですから、その足で少しだけ顔をだしてみたということです。東京に比べて会場は狭く入場者数も少ないためか、ゆっくりと試飲が出来る雰囲気でした。試飲をしていると午後からの勤務に差し支えますので、会場を一周しただけに過ぎませんが、久し振りに会う知人も何人いらして、ちょっと寄った割には内容の濃い時間を過ごすことができました。

東京会場は900人の来場者だったようで、2005年のボルドーの吸引力はたいしたものです。アグリはご存知のようにシャトー・ラ・ルーヴィエールの日本総代理店をやっておりますので、そこのブースの日本語を喋る変なフランス人であるローランのところで立ち話をいたしました。彼に拠ればデカンタ誌12月号で“2005年のペサック・レオニアンは、ほかのボルドー地区のワインに比べて価格がリーズナブルでワインの質が高く、最も注目すべき地区である”というような記事が出ているとの事です。しかもルーヴィエール赤2005はクー・ド・カーですしね、少し威張っているようでした。

神の雫の著者、亜樹直さんですかね。生憎この手の事に疎くてすみませんが、その方が会場にいらして、ローランがどこからか袖を引っ張りブースにつれてきて、ルヴィエール赤2005を押し付けるように試飲させておりました。人気者は堪りませんね。市井に隠れてひっそりと街歩きなどして、気に入った暖簾を潜って天下国家を論じないで静かに飲んでいる幸せをつくづく感じますね。

ちなみに東京会場で幾つかのワインを試飲させていただきましたが、熟した感じが全てに感じられ、しかも酸とタンニンが酒体の構成を確固たるものにしていて、うわさどおりの年なんだなあと感じました。娘にせがまれ2006年春にシャトー・オーゾンヌでこのヴィンテージを樽から試飲させていただき、パーフェクトに近いワインだなあと思ったものですが、娘から“こういうワインを輸入しないから、あなたは何時までたっても駄目なんだ”といわれた事を思い出し、心なしか後味に苦いものを感じました。

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鰻とロゼ

2008-11-28 | Weblog
ジャン・フィリップ・マルシャンのボージョレ・ロゼ・ヌーボーの評判があまりにもいいので、先日野毛の福家に行って鰻の肝焼きと鰻丼にあわせて再度じっくりと飲んでみました。今年のボージョレは酸が強く辛口な傾向がありますが、ガメイをプレスして醗酵させたこのマルシャンのボージョレ・ロゼも、ヴィンテージの特徴を反映する辛口の痩せたワインになる可能性が高かったのですが、それではいかんとジャン・フィリップが澱の部分の旨味成分を果汁に溶け込ませるべく毎日バトナージュに励んだそうです。本人もまずは素晴らしい綺麗な薔薇色に仕上がったことを自慢し、味わいに深みがあることをさらに自慢しておりました。

鰻の肝焼きは苦味が特徴ですが、ワインの酸味が面白く絡み新たな味わいが楽しいものでした。福家の蒲焼はたれが甘くなく比較的さっぱりとしているので、ジャン・フィリップのロゼには抜群の相性でした。以前からここの鰻にはロゼがあうだろうなと思っておりましたが、今後シャトー・スオ、マルキ・ド・サド、タリケ、アナケナ、ヴァルフォル・モサなどのロゼを試してみないといけません。どのタイプのロゼが合うのか楽しみです。この中ではタリケのロゼだけがなぜか非常に良く売れて、売り切れまで起こしているのですが、その理由がまだよく掴めておりません。味わいの中の特定要素が消費者を刺激しているのでしょうが、突き止めてみる良い契機です。

日本にロゼの大きなブームが来るぞと一人で騒いでいる割には研究不熱心でした。ヴァルフォル・モサのしっかりした味わいのロゼが西日本で好評なのは、先回の西日本での試飲会で了解しておりますが、今回のロゼの研究は、箸で千切れる、たれのきりっとした関東の鰻でやりたいものです。

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トンネルおじさん

2008-11-27 | Weblog
堀江敏幸の連作短編集「未見坂」の最後の短編のタイトルに「トンネルのおじさん」というのがあります。小説の内容とは全然関係ないのですが、このタイトルからトンネルおじさんの事を連想いたしました。天竜川の上流のほうにJRが計画途中で廃線を決めた路線に掘りかけのトンネルが三つあり、夫々入り口から300m、500m、1,500mの深さだとの事。そいつを利用して村おこしをしようとの計画で、そのアイデアの中にワインセラーを作るというのがあって、伝を頼ってアグリを訪ねてきたという事でした。2ヶ月ほど前に突然やってきた方で、その方のことを通称トンネルおじさんと呼んでいるのですが、ご職業は蕎麦屋を山の中で営んでおられ、その地域の方が何人か集まってこの計画を推進しておられているそうです。

既に個人用セラーについては、各地のトンネルの有効利用を見学されて、温度湿度等のコントロールを含め可能だと判断され、実際に完成間近との事です。しかしながら1,500mのトンネルは余りにも長く、個人セラーではとても埋め尽くせないとの事で、アグリのワインを全てそこへ移し営業倉庫として使用する可能性があるやなしやとの申し出でした。面白い話だなあと思いました。こういう夢のような話にはすぐ乗る性質で、村おこしの全容についてお聞きし、幾つかのアイディアをお話させていただきました。

そのアイデアのひとつに、湖の側の立地を利用してを湖を眺めながら、湖で釣った魚を焼き、山で獲った猪などを肴にトンネルで熟成したワインを飲むようにしたらどうかとご提案させていただきました。この村おこしのメンバーには酒屋さんも含まれていて、過疎が進み商売は上がったりで回復の見込みが無いとのことでした。その方が立ち飲みのような形でやってみたらよさそうに思いました。

ここの所ブルゴーニュにしろボルドーにしろ現地で試飲させていただいて、美味い買いたいと思ったものをすかさず求めるようにしており、青海の定温倉庫で保管しておりますが、そんなワインが随分と溜まりました。5年から10年寝かせると相当良くなるワインで、どうでしょう1,000ケース=12,000本ほどになるでしょうか、そいつをトンネル熟成させたらいいなあと考えております。ワインにとっては環境が大切なことが、セラーでモーツアルトを聴かせて樽熟成させていることからも分かります。天竜川上流の水も空気も綺麗で、緑が美しい環境の中で寝かせたら、東京のベイサイドで寝かせているより清純でピュアーなワインに仕上がってゆくかもしれません。結果に有意差が生まれるかどうかは分かりませんが、ま、10年後を楽しみといたしましょう。

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訴求点を何処に求めるか

2008-11-26 | Weblog
この数日の間に本屋さんに数回出かけ、文庫本を中心に新刊を幾つか買い求めました。積読書ばかり溜まって困った事ですが、お店に行って欲しい買いたいと思うものがある事は大変幸せな事だなあと思います。最近、近所のスーパーマーケットへ行っても欲しいと思うものが何にも無いのです。具体的なお店の名称を揚げるのも大人気ないので、そっと静かにしておきますが、お客様の欲望を喚起する魅力的な物を並べるという小売店本来の機能を見失って、売上減を価格訴求一点張りでリカバァリーしようとしているところに問題があるような気がしてなりません。

先週マルシャン夫妻とボージョレ・ヌーボーの販促のために、名古屋のサポーレというスーパーマーケットに寄ったのですが、ここは野菜、果物、魚、肉、調味料と夫々買いたくなる物がいっぱいありました。例えば魚のコーナーでは、大間のマグロの切り身があり、一色産の鰻の白焼きがあり、生きた小海老が塩茹で用に並んでおりました。小海老を自宅で茹でて、もうこれ以上喰えないというところまでいただいたのは何時の事だったのでしょうか。もう二十年も前になるかもしれません。当時は冬になると魚屋に塩茹で用の小海老が廉価で大量に並び、バケツ一杯幾らで売っておりました。甘くて味に深みがあり実に美味かったです。店頭に並んでいた小海老を思わず買い占めてしまいたくなりましたが、午後には横浜へ帰り、ボージョレのパーティーを行い、その後会食予定が入っていたので、すんでのところで思いとどまりました。

このサポーレは良く売れているそうです。消費者の欲望を喚起するものが並んでいる事が小売店舗の基本で、その基本通りのことを大きな努力をはらって実現しているわけです。良いものは価格が当然高くなりますから、品質と価格を納得していただくまでには大変なご苦労があったと聞きます。この店ではアグリのワインも全て1,000円以上なのですが、3,000円くらいまでのものまでが随分とよく回転しております。我々も価格訴求は一つの訴求点として捉え、消費者の方に喜んでいただけ、また飲んでみたいと思われるような欲望の対象となるようなワインを提供しているのかどうか、心して検証してみる必要があります。

ちなみに欲望を喚起された書籍のリストは、角川文庫「淫獣・蟲」江戸川乱歩、「酒は涙か溜息か」佐高信、中公文庫「花嫁花鳥」寺山修司、河出文庫「神曲 地獄篇」ダンテ、講談社「チェーザレ 破壊の創造者」惣領冬実でした。惣領冬実さんのは新しいものですが、それ以外はいささか古い時代のもので、出版業界も私のような古い人間の欲望を喚起しなければいけないところに問題がありそうですね。



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早いもので11月も最終週

2008-11-25 | Weblog
三連休の最後の日は生憎の天気でしたが、今朝の横浜は綺麗に晴れて気分の良い初冬の天気です。お日様が出るといきなり暖かくなり、過しやすい気温になるのでありがたいですね。ついこの間までは日陰を選んで歩いていたのに、今は日向を選んで歩いているのはいかにもご都合主義な人間の性です。

今週はアグリの株主総会がが金曜日にありますが、その前の26日には都内のホテルで2005年のボルドーグランクリュの試飲会があり、シャトー・ラ・ルーヴィエールがブースを持ち、ギダシェットでクードカーをいただいたワインを皆様に飲んでいただくことになります。

2004年からはアグリがシャトー・ラ・ルーヴィエールの日本の総代理店になっているのですが、ボルドーのネゴシアン制度をかいくぐって販売をしてゆくには遠大な時間が掛かり、2003年以前の流通在庫が未だ市場にあふれているようで、中々総代理店制度が機能いたしません。それでもこの評判の高いルーヴィエールの2005年を日本で購入する場合には、アグリ取り扱いのものしかないわけで、今回飲んでいただいて気に入っていただけたらいよいよこの制度が機能し始めるかも知れません。

ちなみに10月にシャトーを訪れ、セラーに残っていた白1982と赤1989を試飲して購入いたしましたので、年明けには皆さんに賞味いただけることになっております。時の過ぎるのを待っているだけの消極的な対応から、少しは総代理店らしいご案内が出来るようになりますので、多少ご期待下さい。

ワイン部門はお陰さまでそこそこの実績を残しているのですが、青果部門は不調で、アグリは全社上げて絶好調とはまいりません。少なくとも株主総会は待ち遠しいものでないことだけは確かですね。

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ハーフボトル

2008-11-24 | Weblog
ボージョレ・ヌーボーがほとんど完売してしまい、社員は多少残ったドメーヌ・キャレのハーフボトルをいただいて週末を楽しむことにしたのですが、私も一本家に持ち帰り父の晩酌に提供いたしました。父は酒であれば、清酒、焼酎、ウイスキー、コニャック、アルマニャック、カルヴァドス、老酒、白酒、ワイン、グラッパ、マール、ビールと何でも美味しくいただけるたちで、キャレのボージョレ・ヌーボーも上手そうに一人で平らげてしまいました。若い頃は酒が強かったのですが、12月に八十歳を迎える齢に達しておりますので、ハーフボトルが適量であったようです。

夜ベッドにひっくり返って川上弘美さんの「何処からいっても遠い町」を読んでおりますと、最初の短編「小屋のある屋上」にハーフ・ボトルのワイン出てきました。予備校の女生徒が屋上で睡眠薬を飲んで自殺するのですが、彼女の傍らにワインのハーフボトルが転がっており、「フルボトルじゃなく、ハーフボトルだったのが、なんとなく不憫だった。」と発見者の予備校教師がぽつりと言うのです。女生徒の孤独感と不遇感がハーフボトルに込められていて、参ったなあと思ったわけです。今までハーフボトルに対してこのようなことを感じたこと無かったですね。






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小春日和の一日

2008-11-23 | Weblog
三連休の中日の今日は目の覚めるような青空が広がる好天気、散歩にはもってこいの日和です。早々に朝から藤沢まで出かけ買い物がてらの散策を楽しみました。冬用の衣類を買い求め、二軒ばかり本屋を覗きました。最初のところでは講談社文庫の新刊、松浦寿輝さんの「あやめ 鰈 ひかがみ」を買い求め、二件目の書店では岩波文庫の室生犀星「或る少女の死まで」を手に、新刊書のコーナーを眺めていると川上弘美さんの「どこから行っても遠い町」が目に入りましたのですかさず手に取りました。

松浦寿輝さんは、長い間気になっていて読んだことの無い作家でしたので、いい機会と思い買い求めてみました。室生犀星は、先日金沢へ行ったので手に取ったのかもしれません。川上弘美さんは、時代錯誤とも思われるのんびりしたところが妙に魅力的で、「先生の鞄」以来のファンですので、新刊書が出ると必ず買い求めて読むことにしている作家です。

川上弘美さんの本を手にして新刊コーナーを眺めておりましたら、ご老人が石原慎太郎の本はあるかねと店員に聞いており、ちょうどその本が私の目の前にありましたので、ここにありますよとおせっかいをいたしました。今朝の新聞でご覧になり買いに来られたそうで、1680円をお支払いになり嬉しそうに本を抱えて出てゆかれました。ちょうど私が川上弘美の新刊が出るのを楽しみにしているように、石原慎太郎の新刊が出るのを何よりの楽しみにしていらっしゃるようで、何とも微笑ましく、同病同好の先達をお見送りいたしました。

今日は小春日和のとってもいい一日です。

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ボージョレ・ヌーボーの喧騒終わる

2008-11-22 | Weblog
今朝の湘南は最高の天気です。昨夜のパーティーで長く続いたヌーボーの喧騒も終わりました。今日の昼のエールフランスでジャンフィリップも故郷のジュブレシャンベルタン村へ帰ってゆきます。この三連休は過ぎ行く秋とやってきた冬を楽しむために近所をゆっくり散策したいと思います。最後の話題として、イタリアンとブルゴーニュの幸せな出会いについてお話させていただき、今年のボージョレ・ヌーボーを終わりにしたいと思います。

会社の近所のイタリアン、テンダロッサでジャン・フィリップ夫妻と、お客様を招いてボージョレ・ヌーボー成功祝賀会をいたしました。お店もよくぞフランスのメーカーを招いての会食を受けてくれたものです。この鷹揚さが素晴らしいですね。フランスにしろイタリアにしろ国粋主義者のような方がいて、夫々の集りに行くとフランス命、イタリア命なんて刺青でもしていそうな、青筋を額に浮かべ肩にトクホンを張っていそうなオバサンが、排他的にバリアを形成していて、国際人たる私を追い払おうとしているのです。いやーな感じなのです。ま、フランス語とイタリア語が出来ない私の僻みが、語学の堪能なオバ様たちをしてそのように感じさせているのかも知れませんがね。

イタリアから見ればフランスは軽薄な新興国、フランスから見ればイタリアは時代遅れの過去の国と思っているフシがあります。それでもイタリアはフランスの親であるように思っているので、寛容さや鷹揚さがあるのかも知れません。ちょうど中国と日本の関係のようにね。日本におけるイタリアンレストランの方たちにも、そのような寛容な意識があるのでしょうか、何れにしろ美味しいイタリアンにブルゴーニュワインを合わせて試す事が出来たのは幸せでした。

ワインはすべてジャン・フィリップのもので、ボージョレ・ヌーボー2008、ブルゴーニュ・シャルドネ2006、ピノ・ノワール2002、サヴィニー・レ・ボーヌ1996、シャンボル・ミジュニ2004、モレ・サンドニ2000、アロース・コルトン2002、ジュブレ・シャンベルタン2001と飲み頃のワインが揃っているというのが何しろいいですね。ブルゴーニュはやはり少し寝かせてエレガントになってから飲むのが美味しいですからね。ちなみにこれらのワインは私が飲むためのものではなく、販売しておりますのでどうぞ宜しくお願いいたします。

そうはいっても好みを少し言わせていただければ、96のサヴィニー・レ・ボーヌが良かったですね。昨年の10月にジャン・フィリップのドメーヌで試飲して気に入り、破格の値段で無理に分けてもらいました。ブルゴーニュ・シャルドネも今年のギダシェットで☆が付いてます。ジャン・フィリップの白はいつもかなり高いレヴェルだと思います。赤については寝かせて予定通りに良くなるケースと中々開かないケースがあるのですが、シャンボル・ミジュにを除いて、今回飲んだ赤は総て今飲んで美味しい状態になっております。

ちなみに食べた料理は、岩手三陸産の生牡蠣、次が奄美大島産の尾長鯛、キハダマグロなど5種類ほどの魚のカルパッチョ・サラダ、これが新鮮で軽くて美味しかったですね。シャルドネ、ロゼと楽しくいただきました。蟹の手打ちパスタ、これは蟹の濃厚な味わいと太打ちパスタのもっちり感と歯応えが良くバランスされていて、蟹にかじりついて身を吸い出しながら食する野性味が良かったです。ワインは濃いものが合いました。その後がこの日着いたシェフの親父さんが鹿児島で仕留めた猪、その生肝を喰らいましたが、甘くて苦くてその味わいが他のあらゆる肝より滋味が深く、初めて食しましたが随分と素敵なもので感じ入りました。そのお皿には、猪の心臓と北海道産の蝦夷鹿も載っておりましたが、生肝の味わいが忘れがたく、こりこりとした歯応えで味わい深い心臓、北海道で食べるものよりジューシーで美味いなあと感じた蝦夷鹿が霞んでしまいました。モレサンドニ2000、ジュブレシャンベルタン2001は、まさにこういったジヴィエのためにあるワインでした。テンダロッサはピザの評判が高く、トマトとスライスしたガーリックのピザ、フォアグラと洋梨のピザが出ました。フォアグラと洋梨の相性というものは抜群で、この取り合わせがやはり初めてというジャンフィリップもやけに感動しておりました。サヴィニー・レ・ボーヌ1996がとても美味しくいただけましたが、多分甘口の白ワインを合わせても素敵だったと思います。

デザートはフルーツポンチにアイスクリームでしたが、こいつにフィーヌ・ド・ブルゴーニュをたっぷりとかけていただいた事は言うまでもなく、最初から最後まで、はっきりとしたシェフの意思を感じさせる良く計算された料理で、当然そんな夜が最高でないわけはありませんよね。






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世界のワイン事典

2008-11-21 | Weblog
講談社「世界の銘酒事典」は世界に冠たる酒の事典ですが、数年前より隔年の発行となりました。それが発行されない年に「世界のワイン事典」を出そうとの話が進み、今年初めて出版されました。ワイン業者にとっては大変嬉しい事です。

ミシェランガイド東京が本日発売されます。こちらは昨年に続き二回目になります。しかしこの本の発売に浮かれている日本人はあまりにも情けないじゃないですかね。評価する対象がフレンチに限られているならともかく、和食や鮨鰻まで評価され、それに一喜一憂しているなんて。日本の版元により、日本人の調査員によって厳正に評価された本が出て当たり前なのに。もちろんミシェランには日本人の調査員もいるんでしょうが、最終決定をする編集長は日本人じゃないでしょう。もうそろそろ公正な立場を維持できる高潔な人物で、優れた舌を持っている人が出てきても良いと思います。ワイン業界や料理業界で泳いでいる良い舌を持った人で、企業に飼われていない高潔な士がどれほど少ないかが問題なのかも知れません。

今手元にある講談社「世界のワイン事典」にはワイ業界や料理業界にたむろするたちの悪い人が関わっていないだけ、きりっとした事典に仕上がっております。まあ、ワインの評価をしている事典ではなく、アイテムと価格が表記されているだけですから、当たり前だと言われればその通りなのですが、これがひとたび評価を含んだ事典となったら血の雨金の雨が降り、血腥く金臭いものになるのかもしれません。

日本人による輸入ワインの評価としては、「ワイン王国」のブラインド・テイスティングによる評価がその公平さにより断然優れています。アグリのワインが沢山5☆を取っているから言うのじゃないですけど、今ここの評価がワインアドヴォケイトより、ワインスペクテイターより一番気になりますね。そしてその結果を何よりも尊重いたしております。アメリカ人とは舌が違い、体格が違い、ホルモンの分泌量が違い、日々食しているものが違うわけですから、ワインの評価も異なって当然です。

昨夜ジャン/フィリップと一緒に名古屋でボージョレ・ヌーボー・パーティーを行いましたが、彼が一番感激していたのは、ブルゴーニュ名物のパセリのハム、卵のオムレツを日本で初めて食べた事だったようです。当然ブルゴーニュで食するものとはタイプが異なったわけですが、繊細でエレガントなスタイルを大いに堪能している模様でした。ブルゴーニュのスタイルを日本人は日本人のためにどの様にアジャストするか、そこに最大の関心を持ち、ひいてはワインのスタイルをこの国に合わせることが可能かどうかまで考えが及んでいたことでしょう。

ちなみに昨夜店のソムリエの女性陣の一番人気は、ジュブレ・シャンベルタン2001をぶっちぎりにして、ボージョレ・ロゼ・ヌーボーでした。




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