キュヴェ タカ/cuvee taka 「椿庵酔哲湘南隠居日誌」

湘南気儘な隠居暮し ー散歩に読書、映画、酒、そして時々釣り-

風の食いもの

2011年04月30日 | Weblog
北新地の淳久堂で旅の思い出に池部良さんの「風の食いもの」を買い求めました。色々な所へ行ってはその街の本屋に入って本を眺めるのが好きで、大概記念と称して何か買い求めますが、品揃えが充実しているので今一番気に入っている本屋がこのジュンク堂です。北新地は淳久堂となっておりましたが、神戸元町起源の本屋であり、大阪の地に何らかの思い入れがあって漢字名を使ってでもいるのでしょうか、店員に聞いてみりゃ良かったですね。

昨年亡くなられた映画俳優でエッセイに名手と謳われたのが、高嶺秀子さんと池部良さんですが、高峰さんの著書は文春文庫を中心に数多く出回っておりますが、池部さんのは知る限り文春文庫の二冊と新刊書が数冊のみで手に入りにくい部類になります。それでもネットで探せば古本を含めてすぐに入手可能なのですが、一昔前の人間としては本屋での出会いを楽しみにしていて、欲しけりゃすぐ手に入る安易軽薄な感じがしてどうもいけません。趣味ぐらい生産性や合理性から離れていたいじゃないですか。

池部さんは太平洋戦争中、南方の島を小隊長として部下70名を率いて守備したそうですが、こんな小さな島に合理性を重んじるアメリカ軍がやってきて攻撃するはずが無いとの判断で、ふんだんな食料を海岸線に保管してのんびりと熱帯の保養を楽しんでいたのですが、ある日突然銃爆撃を受け、食料が壊滅、以後一年半を蛇、蛙、ナマケモノ、トカゲなどで食いつなぎ仕舞にはそれらを撮り尽くしてミミズにも手を出し、何度茹でても泡が出て喰えたものではなく、その辺に生える雑草を海水で茹でて露命をしのいだそうです。

池部少尉の判断の甘さを反省しておられましたが、あの時点でアメリカの合理性に思いをはせたところが優れた読みで、それはもう大したものです。戦略上重要なところでなかったのは、その後上陸占領をされなかった事からも伺われ、行きがけの駄賃で爆弾を落としていった可能性が高いですね。幸いな事に70名の部下全員が帰還を果たしたとの事です。

酒類業者として気になるところですが、現地では「やし酒」を造って飲んでいたとの事です。不自由な環境の中でも工夫して何でも作っちゃう日本人の器用さ、感服に値します。
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久し振りの北新地

2011年04月29日 | Weblog
先週大阪駅へ降り立って驚きましたね、長い間工事中で仕切りの板が取り払われたら、随分縦に開発が進んでおりました。限られた土地ですから縦に行くしかないんでしょうが、色んなものをあんまり高いところに持っていかれると地上との関連性を失い、現実味が乏しくなります。綺麗になったといえばそうなんでしょうが、大阪駅が持っていた懐かしさが失われてしまいました。いま物心ついて大阪駅を認識する子供にとては、将来この高い構築物に対して懐かしさを覚えるのでしょうから、ジジイの繰言はよしときなといわれりゃあそれまでですが、人間にとっての手頃なサイズといったものがあるんじゃないでしょうか。

北新地にも久し振りに行ってみて驚いたのは、建物の変わりようではなく、昼間から客引きが道に沢山いたことで、夜の街が昼の顔を売らなければ成り立たないくらい不振に喘いでいました。チェーン店が店を開いていることにも大いに失望いたしますが、そこの従業員だけでなく、高級店の従業員が仕事着で調理場から出てきてビラを配ってランチのお客を勧誘しているのはいけません。長年培ってきた場が持っている格を台無しにしています。大衆店、チェーン店、高級店は夫々にその役割があるはずで、金さえ儲けりゃ勝ちといった何でもありの競争をやっちゃいけません。これもジジイの繰言といわれりゃそのとおりですが、夫々の格にあったやり方を守り通してもらいたいですね。
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韓国の成功の秘密を考える

2011年04月28日 | Weblog
「サムスンの決定はなぜ世界一速いのか」吉川 良三 著 角川oneテーマ21を読了いたしました。サムソンの成功に対して日本が何処で立ち遅れたかについて指摘されている箇所で、日本が基礎技術の開発に多くの人材と資金及び時間を費やしている事をあげていますが、まさにそこに日本人は伝統的に生きがいや価値を感じている部分がありますね。そして開発研究者にとっては、新技術をどのように金儲けに繋げるかなんてことに興味はありませんからね。日本の製造業に携わる技術者の精神構造の多くを支配している職人気質について云えば、良い仕事をするのが本分で金になるかどうかは二の次です。この生き方、個人的には大いに惹かれますが、話がややこしくなるのでここではこれ以上触れないで先に進めることにいたしましょう。

日本の基礎研究の成果を利用して売れる製品を作る事に重きを置いたのがサムソンで、その製造工場すらも自国にこだわりません。自前の技術、自前の工場といったところにはこだわらないのですね。では何にこだわるのか、先ずは製品のデザイン、次にどのような品質性能が何処まで消費者に求められているのかなんですね。これは各市場のニーズの徹底調査により決められます。日本の企業ですと世界最先端技術を持っているカテゴリーが多いので、市場の要求が無いのにそれを製品に搭載する。俺んとこの製品はこんなに凄いんだぜという自己満足になりがちなんですね。例えば携帯電話、おじさんにとって何が重要なのかといえば、電話が出来て、メールが出来れば後の機能はほとんど要らない。どうせ搭載された機能の1000分の一も使いこなせないわけですから、それによって価格が五分の一、重さも半分になれば大喜びです。消費者の気持ちを良く分かっていて、そこに命を懸けているわけです。

我々ワインの開発についても日本人が侮りがちな同じ過ちを犯しているのかもしれないと疑ってみる必要があります。泣かず飛ばずで長年やってきておりますが、日本の消費者のニーズを正確に知りえたら一体どれほど売れるでしょうか。半可通なワイン愛好家はどうしても多弁で、変なワイン情報に染まっていない純真無垢な消費者の声が聴きにくいものです。売れるワインを開発するなら、先ずその声をこちらの心を真っ白にして聴いてみなければいけません。





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30年同じ親爺から

2011年04月27日 | Weblog
久し振りに野毛の福家へ行き、福寿の純米吟醸を冷で飲みました。この頃は冷で精米歩合の高い酒を飲み、米の美味さを味わうのが好みとなっております。これが飲みすぎにつながり、中性脂肪が劇的に増え、肝臓肥大となって背中や腹部に鈍痛を感じるようになっておりました。二月の断酒、三月四月の減酒のお蔭で大分体調が好くなり、ぼつぼつと飲めるようになってきました。肝臓という臓器は随分しぶとく、かなり痛めつけられても休養をすると蘇生いたします。しかしこのように米の味がする美味い酒を飲んでおりますと、コップになみなみと注いで一気に喉に流し込んでみたくなります。喉越しの美味さがたいへんけっこうなんですが、そこをぐっと我慢してガラス猪口でちびりちびり飲りました。

肴は芹の胡麻和、うるいのぬた、桜海老、小肌、槍烏賊煮、蛍烏賊沖漬け、うまきをいただきました。お店で近所の焼き鳥屋“伸喜”の再開を聞き、余り食べ過ぎないようにして仕舞いにし、伸喜を覗いてみましたが具合が悪いと聞いていた奥さんの姿は無く、手伝いの若い男の子の姿を見かけ入るのをためらいました。奥さんの具合が好くなっての再開ではなかったことにがっかりしました。腹の具合が中途半端になっていたので鳥伊勢で空豆、やげん、つくね、大関樽酒の燗をいただきました。ここの親爺は昨年店こそ関内店から桜木町店に換ったものの、1981年に関内店に初めて行った時と変わらず、薬缶で茶碗に燗酒を注いでくれているわけで、横浜で唯一30年間サーヴィスをしてくれている人だなあと感慨深く思いながら茶碗酒をいただきました。年を取るとこういうことばかり思っていけません。

店が30年存続することも稀ですが、代が替わらないこともさらに稀有です。若い活気のある人の店も良いものですが、就職した時からずっと同じ店で同じ人からサーヴィスを受けることも中々良いものです。老舗というだけでは経営が成り立たないわけで、何かしらその時々にアピールするものを持ち続けてきたわけですから、これは世阿弥が云うまことの花を持っている事になるのでしょうか。

ちなみに伸喜へも1981年から通っておりますが、当時は先代のご夫婦がやられていて、今は息子夫婦で二代目です。ですから余計奥さんの具合が気になって仕方が無いのです。
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豆腐は豆腐屋で買いたいものです

2011年04月26日 | Weblog
ここのところ日曜日の22:00から山田洋次監督が選んだ邦画を見るのが楽しみになっておりますが、こんなに映画が好きなのに今まで余り観て来なかったのは、出不精でわざわざ映画館に出かけるのが億劫な事と、貧乏なために入場料が払えなかったためだなあと思ってます。音楽も好きなのですがわざわざコンサートに行くのが面倒で、レコードかテープあるいはテレヴィで観るだけでした。CDになってからはあまり聴いていませんね。

美人の誉れ高い原節子さんを小津安二郎監督の「東京物語」に続き成瀬巳喜男監督の「めし」でもじっくりと観ました。目鼻口の顔の造作が随分と大きくて表情が豊かです。体つきもたっぷりしていて割りと足が短くてガリ股傾向です。これは座る生活をしていた事が大きな要因でしょうが、上半身の充実に較べて意外な感じがいたしました。やせこけていなくて良いんですが、現代の足長美人を見慣れているせいで、もう少しすらっとしてたほうがなんて思いましたね。お前の女じゃないのにどうでも良いだろうと言われりゃその通りなんですが、八頭身美人が出てきたのは時代が随分下ってからになります。

小津安二郎さんは「僕はトウフ屋だからトウフしか作らない」の中で、原節子さんは大根役者だといわれていたが、使ってみると派手な演技をしないで深い演技ができる類希な女優だと書いておられます。「めし」「東京物語」に出ている杉村春子さんの達者な演技に較べると演技の質が違うのでお互いが引き立てあう感じがいたしまが、取り合わせの妙といったものもきっと計算の内なんですね。



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新緑の休日

2011年04月25日 | Weblog
昨日は気持ちよく晴れ、新緑の湘南を北へ東へと散策いたしました。午前中は北へ向かい、葛川の鯉の産卵の観察をしようと思っておりましたが、どうも先週で終わってしまったようで昨日は見ることが出来ませんでした。八重桜、花水木、牡丹が咲き、藤も咲き始めていて四月下旬の春を謳歌いたしました。買い物のほうは、胡瓜、蕪、海老芋、ほうれん草、絹さや、烏賊、鰹を求め、葛川べりのベンチでアイスクリームを食しながら、ご老体が土手の蕗を採取している危なっかしい姿を眺めておりました。

午後進路を東にとり、平塚まで散策いたしましたが、目星をつけておいた藤が何処も見事に咲き始めておりました。桜、白木蓮、藤なんぞは日ごろの散策の折に目星を付けておいて盛期に眺めに行くのが確実で、一年を待つのも楽しみであります。

例のごとく目的地の平塚では、馴染みのパン屋のお姐さんから餅を買い、駅ビル地下で習いになっている食品売り場の見学をし、魚、野菜、肉、果物、酒などをチェック後、上階のさくら書店で新刊をチェック、「顔がいい男はなぜ出世するのか」杉浦由美子、この方はあの「バブル女は死ねばいい」の著者です。「魚の行動習性を利用する 釣り入門」川村軍蔵、ルアーフィッシャーマンにとっては必携の書、見過ごすわけには行きません。米原万理「心臓に毛が生えているわけ」の三冊を買い求め積読書のリストを増やしました。
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青い目の太郎冠者

2011年04月24日 | Weblog
ここのところの数ヶ月、キーンさんの自伝を読んでから見かけた著書を集めておりますが、つい先日も中公文庫の「日本人の美意識」と「日本語の美」を買い求めました。二週間ほど前に、小さく出ていたドナルド・キーンさんの日本帰化永住の記事を読みましたが、昨日の読売新聞夕刊では一面で大きく取り上げられており、偶然とはいえこの二つの出来事に何か意味があるのではないかと感じております。

沖縄に通訳として従軍したときが最初の日本体験で、その後公費や奨学金を利用してたびたび日本へうあってくる機会に恵まれた事が、日本にとっても大きな幸せでした。並み居る日本人より日本について博識で、それが知識にとどまらず感性においても行動においても特出していて、非凡な日本人が及ぶところではありません。日本の中にいると気が付かないことを戦後から今に至るまで愛情深く指摘なさっていただきました。今回日本に帰化されてからは、執筆中の正岡子規についての著書を書き上げ、平賀源内について書く予定もおありとのこと、米寿にしてますます探究心お盛んです。言葉も大切だが、行動する事はもっと大切だとの信念で、日本人とともに震災後の世界を生きる決断をなさったそうです。

松尾芭蕉について執筆したときに、たびたび訪れたみちのくの地が今回の震災で大きな被害をこうむった事にとても心を痛めておられますが、昔、旅館の二階から見た松島の島々の美しさが忘れられないとの言葉が強く印象に残ります。文庫においてもかなりの著書が入手可能です。アメリカの青年をそこまで虜にした日本という国の魅力を、鏡でわが身を見るごとく、この機会に注意深く読んでいこうと思っております。





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国籍よりもコンセプト

2011年04月23日 | Weblog
昨夜アンドレ・パッションのところでメーカーズ・チャリティーディナーを行い、イチエは羽田から深夜便でパリに帰って行きました。長い一週間が終わりほっとしていますが、寄る年波のせいか、最近は加齢によりというようですが、何れにしろ疲れました。

今朝の湘南は生憎の雨ですっきりいたしません。こんな日はベッドの中で読書などしながらのんびりとし、一週間の疲れを癒したいものです。雨の合間には軽く散策をしてリフレッシュしたいですね。雨後の新緑が綺麗なはずです。

昨夜の料理は西南地方の料理でしたが、タリケの白に合わせてコースが進みましたが、あまり合いませんでした。オールドスタイルの料理とニュースタイルのワインがちぐはぐでした。これなら和食との合わなさ加減のほうが少ないと思われ、料理の国籍よりスタイルが重要なんだと再認識しました。フレンチならヘルシーなローカロリーなものに合いますね。野菜のフルコースなんかよさそうです。

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タリケ・クラシック

2011年04月22日 | Weblog
タリケを牽引してきたガスコーニュの典型的なワインであるクラシックは、ユニブランとコロンバールで出来ています。この二品種ともこの地でアルマニャックを造るのに欠かせない品種でしたし、今も相変わらず現役として活躍中です。多収性でワインにするとアルコール度数が低く酸が高い特性を持っていて、そこが蒸留向きなんですね。

ユニブランはイタリアではトレッビアーノと呼ばれて大いに作られていて、ワインとしても人気を博しています。うちのロゼットやサン・クリスピーノもトレッビアーノを使った軽快で爽やかなワインで、中々人気が高いです。この品種は重厚なワインにはなり難いようですが、軽快さや繊細さがあり、一口飲んで驚く事はありませんが、飲み続けていて飽きが来ない性格の良さがあります。

コロンバールには多少強さや複雑さがあるといわれていますが、いたって控えめな複雑さで、クラシックには25%程度ブレンドされ、ユニブランの性格のよさに、多少なりともあくどい性格を加えて重層性を感じさせるようになっています。香水のブレンドの要諦は複雑さを出すために微量の悪臭を加えることにあると、フランスの調香師の本を読んだような読まなかったような気がしますが、同じフランス人のすることですから原理は同じでしょう。

先日名古屋で久し振りに啜ってみて、このワインが安くて軽くて気軽なのに偉大なワインであると再認識いたしました。フォアグラや鴨を喰っている土地にこのようなワインが生まれたのが不思議な気がしますが、人間毎日フォアグラや鴨を喰っているわけには行かないので、日頃の食事では結構さっぱりしたものを食べていたのだろうと想像いたします。日常ワインの偉大さというのも侮れませんね。
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名古屋で考えたこと

2011年04月21日 | Weblog
イチエと共に名古屋の街を駆け巡りスパーマーケット、ディスカウントチェーン、デパート、問屋、レストランと各種業態のお客様とお話をさせていただきましたが、業態に関わらず良く状況を見据えて、それにどう対処すればよいのかを深く考えていらして皆さん好調でした。まあ、どのジャンルの仕事でも何も考えずに右に習えでやってこられた時代はとうに終わり、新たな局面に入っていることを自覚して、常に自分の頭で考えてゆく事が要求されています。そういう人達にとって今の時代ほど楽しい時代はないようで、お話をさせていただいたかたは老若男女を問わず皆さん生き生きとなさっていました。

ワイン輸入業としても今という時代を的確にみて新たな試みを継続的に行なってゆく事が必要だと感じますが、今年のキーワードとなる、ロゼワイン、有機ワイン、パックワインの商品開発は十全に出来ているのかどうか、もう一度振り返ってみると、はたしてこれで良いのかと常に不安に満たされます。1月にモンペリエまで出かけて開発したロゼワインが来月には日本にやってきますが、果たして皆さんに受け入れられるだろうか。有機ワインについてはロゼワインのメーカーが有機栽培のメーカーですから、ロゼでもあり有機ワインでもあります。ついでに言えば金メダルワインでもあります。同じメーカーから赤と白もやってきます。他に低価格のスペインの有機ワインもやってきます。パックワインについては既に昨年から500mlと1000mlを取り扱って品切れまで起こす好成績を収めておりますが、何れガラス瓶は無くなることでしょうから、他の容器のあらゆる可能性を探っていく必要があります。

震災後の日本は確かに変わりますが、その変化をどのようにリードしてゆくか、ワイン一つ取っても考えなければケ無い事が山積していますね。
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