キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

カッシーナ・アデライデ

2009年06月30日 | Weblog
バローロのメーカーで、今年1月ベッペのところへ行って彼に紹介されたメーカーです。ここのバローロ・クワトロ・ヴィーニェ2004を、料理無しで一時間掛けて飲んでいれば、悦楽というものはこのようなものであって、ワインだけで完結してしまう世界が出現します。果実味の襞の多さ、それが微妙に違う味わいを示し、軽くていつまでも続く余韻。

20年前にワインの仕事を始めたとき10万円もの月謝を払い、ボルドーから勉強を始めましたが、二年目にはバローロに行き着き、当時日本に入っていた幾つかの世評の高いピエモンテのワインとともに購入して飲んだ記憶があります。あの頃は今と違ってとにかく良いワインは高かったですね。当時の試飲ノートを引っ張り出してくれば、それが何で、幾らで購入して、どの様な味わいであったのか詳しくわかるのかもしれませんが、長年持ち続けた印象を大切にすれば、ワインは長年熟成したもので、強い味わいと複雑さを持ち、価格は30,000位のものであったと記憶しております。カッシーナ・アデライデはバローロに抱いていた今までの印象を完全に覆しました。

今回来日するのは販売部長のシモーネ・オルターレですが、前回イタリアで逢った時は眼鏡をかけて、確か髪の毛があったと記憶しているのですが、今回送られてきた写真はスキンヘッドで裸眼、どうも本人である事が認識できません。まあ、シモーネの風情が如何様であってもワインが勝負ですから、真っ直ぐテーブルに来ていただいたら、心を静に舌を鋭敏にして、このクワトロヴィーニェをお試し下さい。かつてのバローロとはスタイルが異なりますが、低価格で、しかもヴィンテージ後5年で楽しめて、と驚くべき事ばかりです。


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オリヴエ・トリコン

2009年06月29日 | Weblog
オリヴィエのやつはここのところ数年間モニクとやけに仲が良いのですが、元々は私が二人を紹介してやったわけで、男と女であるにしろ無二の親友というやつです。下等な人間は肉体関係を疑うところですが、そういったことは無く、男女の出会いとしてはほんとに稀有で羨ましいケースです。

そのオリヴィエはモニクのエスコートのつもりで今回日本にやってきます。シャブリは輸出価格が上がったことと、為替が1ユーロ=165円を一昨年につけ、気軽にのめる高品質の白ワインの地位から、中々手を出せない高価なブルゴーニュの白に変わってしまい、売り難いワインになってしまいました。当然オリヴィエとの取引も少なくなる一方で、販促のためにににうちへ来る状況ではまったくありません。しかしあいつは気が良い男で、久し振りに会いたいね、モニクも来るよと誘うと、じゃあ俺も行くよとなりました。

この二年間オントレード向けに販売をしていて、そう多くは売れていませんが、評判が良く好調なのはドメーヌ・ド・ヴォロー・ヴィエーユ・ヴィーニュ2002というシャブリでして、厚みがあり蔵で瓶熟成させているので、深みのある味わいを楽しむ事が出来ます。今回はこれを目標にお越しになりながら、オリヴィエをからかってみる価値はあると思います。そのからかい方ですが、いつもお話させていただいているように“うーん、中々良いVDPシャブリだね”ですから、ぜひ覚えておいて下さい。


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横浜ワインコレクション2009夏の試飲会

2009年06月28日 | Weblog
いよいよ“横浜ワインコレクション2009夏の試飲会”が迫ってまいりました。ついては恒例になっております来日メーカの紹介をいたしたいと思います。先ず今日は、全員の名前を羅列してから、久し振りの来日になる、シャトー・スオウのモニクについてご紹介しようと思います。

今回は7社7名が来日いたします。イタリアからは3社、初来日のカッシーナ・アデライデの販売部長シモーネ・オルターレ、バローロのメーカーです。既にお馴染みになりましたペスカイヤのオーナー醸造家、ジョゼッペ・グイド、フリウリからブレッサンのオーナー醸造家フルヴィオ・ブレッサン、フランスからは3社、ボルドーのシャトー・スオウ、女性オーナーのモニク・ボネ、シャブリのメゾン・オリヴィエ・トリコンのオーナー醸造家オリヴィエ・トリコン、南西地区ドメーヌ・タリケの輸出部長、イチエ・ブチャール、加えていささか来日過多気味ではありますが、スペインはカタロニアからヴァルファルモサのアジア地区担当部長ジョナサン・スロスベルグ、以上です。

さてモニクですが、昨年秋にシャトーを訪れ、ここのところ低迷しているシャトー・スオウの売上をV字回復すべく、セカンドワインであるシャトー・ムベールを数を頼る市場へ、オントレード向けへはキュヴェ・プレステージを、そして最終商品であるキュヴェ・タカについても240本だけですが取り扱うことにいたしました。うちは営業力が無いから、試飲会に来て売ってくれとお誘いしたのですが、1月の試飲会の飛び地は沖縄で既に二年前に来ており、7月の札幌の時がいいなんて仰いまして、結局今回の参加になったわけです。親友のオリヴィエ・トリコンもついてくることになり、二年前の沖縄以来久し振りに二人揃っての来日になります。

数年前に元気だったお母さんを亡くし、つい最近お父さんもお亡くなりになりました。マザメの実家へ行った折、お父さんの山荘で一緒に釣りをした事があり、お二人とも良く存じ上げているだけに、その訃報を聞いたときは私も悲しみにくれました。モニクに最初に会ったのは、1989年のパリ・ヒルトンホテルで行われたワイン・コンヴェンションの時だったと記憶します。最近目立つようになって来た私の白髪をなでて、タカも年を取ったなあなんてしみじみ言っておりますが、初めて逢ったとき彼女もまだ20代、若くて美人でした。今はもう見る影もなく、これ以上口に出していえないくらいで、ええ。お互い老眼鏡の自慢なんかしているくらいですから。

2005年シャトーを訪問した折、樽醗酵をしていたスペシャル・キュヴェが今回の試飲会の目玉になるキュヴェ・タカです。あれ以来このクラスのワインを造っておりませんので、2005年はスオウのあるプルミエ・コート・ド・ボルドーでも特別な年であったわけです。先日開けて飲んでみましたら、梅酒のような濃厚なプラムの風味が爆発して、矢張りいい年に丹精を込めて作り上げたワインは凄いもんだなあと感心いたしました。これ一点を目指して試飲会にお越しになっても、満足できるだけの事があると思います。



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今日もまたイチゴについて

2009年06月27日 | Weblog
昨日に引き続き「農耕と園芸」の特集記事からの情報ですが、イチゴを販売するときに留意すべきとても有効な記事がありました。郡山でのアンケート調査ですが、イチゴを買う際に重視すること、①いたみのなさ、②色つや、③価格の順、品種や産地については余り重要視されておりませんでした。これは店頭でお客様の様子を見ているとプラスティックパックをひっくり返し、裏側の痛みを見ている方が多い事や、自分自身イチゴは鮮度のいいものが欲しいですから、実感できますね。売り手サイドには品種や産地に拘りがあるものなのですが、買い手側にはそこに大きな拘りはないようです。男と女がすれ違う意識の差みたいですね。

消費者が知りたい事、①味、②農薬散布回数、③収穫日時の順でした。味については試食をしていただいて対応できますが、農薬散布回数と収穫日は販売時に明示しておく事が親切なようです。これを積極的にやっている販売店をみた事がありませんが、何れICチップが導入されると、定植、開花、収穫日、栽培方法、農薬散布などの情報を商品に持たせる事が義務化されるはずです。

ワインいついてもこのような調査がたびたび行われており、売り手と買い手の意識に違いがあることが分かっています。しかしながら売り手は、販売の最大効率をストレートに求めるわけではなく、ある部分買い手も同じこだわりを持ってワインを選んでほしいというような願望があります。果物もワインも嗜好品ですから、売り手側の意識には共通する部分があり、ただ売れればいいという考えでやっている人は少ないようで、そこが中々面白いですね。

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初恋の香り

2009年06月26日 | Weblog
誠文堂新光社は園芸関係の書籍の版元として学生時代から馴染んでおりましたが、また先月から野菜果物の現状について知る必要があり30年振りに誠文堂新光社の代表的な月刊誌「農耕と園芸」を読むようになりました。7月号は野菜特集として“イチゴの新しい生産技術と取り組み”が組まれておりますが、30年前もイチゴは生産技術がめまぐるしく進化するアイテムで、不可能と思われた事が短期の内に可能になっておりました。一年生草本である事がその大きな理由ですが、当時の課題は7月収穫のイチゴの生産技術の確立でした。あの頃はその時期南半球のニュージーランドやオーストラリアからイチゴを輸入して対応をしておりました。現在では周年収穫の技術が確立されており、その事を随分前に農林省に行っている友人から聞かされました。

浦島太郎である私がアグリの果実小売店舗「フルーツ・プリュス」で冬から春に掛けて販売されているイチゴを見ておりましたら、どうも果皮が硬く輸送性に優れていて糖度が高いものが主流になっているように見受けられ、品種開発はその方向で進められていることは間違いないようです。

今回の特集を読んでいて新品種で一番驚かせられたのは、白イチゴがあるということで、その名も「初恋の香り」、何処となくカルピスのキャッチフレーズを思い起こさせますが、果して白いイチゴの効果的な使い道ってあるんでしょうか。牛乳とシェイクしても白い色はそのまま、それでいてイチゴミルクの味がする驚きのジュース「初恋の香り」、さて、これヒットしますかね。
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愛着

2009年06月25日 | Weblog
新刊を手にして読み進めてゆくと、その人毎の本の扱いによって個性的な癖や汚れがつき、その感じが大量生産の本を個人所有のものに変えているといえます。昨日悩んだ乱丁の「フランス料理の学び方」も一度読み始めれば、他人のものではなくなり分かれがたくなります。そんなことを思い、読み始めるのをためらいました。

一昨日から読んで、未だ読みかけであった「悪女の美食術」を読了する事にして後半部分に取り掛かりましたが、高級鮨に関する記載もあり、目配りが多岐に渡っていて驚きました。美食を考えるときに無くてはならないものに器がありますが、これについても目配りは怠り無く、骨董を日本橋の骨董店で研究し、実際にターゲットを決めて優れた器を使う料理屋で現物に当たり、その仕入先である京都の店を突き詰め、実際に家で使ってその良さを確かめておられます。

私にはそこまでの余裕がありませんが、最近手造りの陶器を長く使い込んでいると、駄器であっても風合いが良くなってきて愛着が湧き、中々良いものだと思うようになりました。自分の手垢がしみこんだものは中々捨てがたいものようです。
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フランス料理を学ぶつもりが

2009年06月24日 | Weblog
辻静雄さんの「フランス料理の学び方」が初めて中公文庫で文庫化され出版されました。こういうものが気軽に文庫で何時でも買えると、ワインをやっている者にとってありがたいですね。ここ20年位ずっとワインブームといえばワインブームで、そのため参考書の類もずいぶんと出版され、いいものは文庫や新書で何時でも買えるようになっております。こんな環境の国は日本だけではないのでしょうか、そういった処は素晴らしい国です。

そう思うと、イタリアから帰ってきてから本屋へ飛び込み、二週間不在をした間に出された文庫と新書を既にたっぷりと買い込み、いったい何時読むんだと、うず高く積まれた本を眺めては嘆息しているにもかかわらず、ぱっくりと食いついてしまったわけです。尊敬する辻さんの著書ですし、仕事がらみですから読む優先順位は最高位にあります。しかしながらざっとページを捲ってみたら、なんと乱丁本でありました。あまりにもあっさりと反射食いしてしまった結果がこの様です。しかし、この場合読んでから取り替えるか、取り替えてから読むか、今、実に難しい選択を迫られています。

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梅雨の晴れ間に

2009年06月23日 | Weblog
本日は名古屋へ来ております。こちらは強い日差しが差し込み猛暑名古屋そのまま、ローマ同様の暑苦しい陽気です。濃尾平野は米所ですが、西春駅から砂場までのバスの車窓からも、田植え後根が張り出した力強い若い株が綺麗に眺められます。イタリアの風景を見慣れた目には、日本独特の風景と映ります。ローマは世界を制覇いたしましたが、濃尾平野の米はかつて日本を制覇し、その拠点を東京に移しました。ローマは葡萄が世界を制し、その拠点をどこに移したのでしょうか。


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ムッソリーニの評判

2009年06月22日 | Weblog
鹿島茂さんの「乳房とサルトル」に拠れば、南部イタリアでは排水干拓事業のためムッソリー二の評判は高く、好意的にみられているとのことですが、南部の低湿地帯の排水事業により、マラリアを減滅させたことは公衆衛生上大きな成果だったようです。

先日、ラッツィオのメーカーを訪れましたが、かつてムッソリーニの排水事業が行なわれ、湿地帯であったところが葡萄畑に生まれ変わり、そこからワインが生産されておりました。ローマ市内のレストランで食事をするために、バスでホテルから移動した折、かつてムッソリーニが演説をしたバルコニーの前を通過しましたが、そのことを紹介してくれた生産者の口ぶりからも、どちらかといえば好意的な印象を受けました。

以前中央公論新書でムッソリーニを読んだ事がありますが、内容はほぼ全て失念し、覚えていることは、結構な色男であったという事だけです。書棚のどこかにあるはずなので、せっかくの機会、再読しなければいけませんね。

久し振りの横浜は、どんよりした雨もよいのお天気、梅雨真っ盛りです。

我がイナリヤト食文研のワインとビールはこちらからご覧になれます
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イタリアレストランのスペインワイン

2009年06月21日 | Weblog
6月になると徳間文庫から発売される「短編小説ベストコレクション」を毎年楽しみにしておりますが、イタリア出張で中断していた最後のほうを昨夜読んでおりました。大沢存昌さんは、数年前にも新宿鮫の番外編が選ばれておりましたが、今回の2009年版では「ジョーカーの徹夜仕事」が選ばれており、やくざと不良警官の間で仕事をする男の話で、短い中で展開が激しく、実に面白く楽しませていただきました。

六本木、麻布が舞台になっておりますが、イタリアンレストランで不良警察官に主人公がワインをおごられる場面があり、そこのママがこんな発言をしておりました。“いいでしょスペインなの、でもここのところ人気がでちゃって” 昨年のワイン業界のシーンを見事に小説に取り込んでいて、恐れ入りました。無沙汰しているスペインにも、近々行かないといけないかなと思ったりいたしました。

今朝の湘南は梅雨らしく朝から雨が降っております。昼には止みそうなので、二週間ぶりの散策をしてみたいと思います。ローマは、夾竹桃と泰山木が花盛りでした。


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