キュヴェ タカ/cuvee taka 「椿庵酔哲湘南日記」

気儘な湘南暮し ー散歩に読書、映画、酒、そして時々釣り-

鮨とタリケ

2009年11月30日 | Weblog
今朝の湘南は昨夜来の雨が残り、寂しげな初冬の朝となっております。
今日はこれから名古屋へ行きますが、あちらが良い天気であることを期待します。
年をとるとやたらとお天気のことが気になってくるものです。いやですねえ。

さて、来年3月にタリケのオーナーがやって来ますが、その機会に鮨とタリケの相性がいいことを証明するんだといって、営業部長のイチエが張り切っております。
合わないのになあと思いながらも、オーナーに恥をかかしちゃいけませんから、札幌二日目の晩は、お客様と会食する空海へユニブラン・コロンバールを持ち込んで実験をさせていただきました。
ワイン業者に理解のあるお客様で本当にありがたいです。

結論から申し上げると、鮨にはやっぱり酒です。
どうにかいただけた種は、雲丹の軍艦巻き、粒貝、サーモン(ノルウェー)、鮪(大間)、鰹敲き(長崎)でした。
多分、鯖、穴子にもまあまあ合ったでしょうが、決してスイングするという状態ではないため、途中で実験を止めました。
まったく合わなかったものは、海老(道産の生)烏賊、蝦夷鮑、ホッキ貝、クエなどです。

カウンターの周りを見ると、うれしい事におねえちゃん二人組がルイ・ジャドーの白を空けて楽しげに飲んでおりましたが、鮨とのコンビネーションを楽しんでる感じではなく、ワインがかっこいいから飲んでいるという類で、出来れば本人もかっこよければよかったのにねパターンで、参考にはなりませんでした。

一番低価格のユニブラン・コロンバールでさえ、濃厚な部分を感じさせ、繊細な種の鮨をはねつけてしまうくらいの力を持っていて、綺麗なつくりだけが売りのワインではないことを改めて感じさせてくれました。
何の理由か知らないが、鮨を合わせようなんてたわけたことはやめて、この力強さをアピールしたら良いんじゃないかい、イチエ君。
私も“タリケ本願”なんてくだらない駄洒落を言ってないで、少し本気だすからさ。






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すき焼きと赤ワイン

2009年11月29日 | Weblog
今朝の湘南は小春日和の好天、いよいよ本格的になった紅葉見物には最適の日和です。
午後からお天気が下り坂のようですから、許される限りなるべく早く家を飛び出したいですね。

さて、先週の札幌出張は観光のためではなく仕事のためなのですが、どうも札幌、博多、沖縄の三箇所への出張は、仕事と思っていただくのが中々難しい場所で、遊びの感じが付きまとうようです。
沖縄は珊瑚礁と青い海でリゾートの感じが強いのですが、札幌はすすき野、博多は中州にそれぞれ日本でも屈指のソープランド街があり、その存在が強く影響して、仕事ではなく遊びのほうを連想させるようです。
しかしながら日本が世界に誇るソープランドも、最近は若い人に不人気で、かつての様な華やぎが失われているようで残念です。

札幌行の言い訳がましい前置きはこのくらいにいたしましょう。
その札幌での第一夜は、お取引先の部長と今年の夏に出来たすすき野のメルキューレ・ホテル二階の三光舎で、すき焼きをいただきながら、アグリのイタリア赤ワイン三種類を合わせてみるという試みをいたしました。
ワインは、オッタビアネーロ、ベッペのソリテル、フルヴィオのスキオペッティーノです。
すき焼きと赤ワインの前、舌慣らしのため、たち酢、たち天婦羅、烏賊刺し、銀杏をいただきながら、私は燗酒、相方はヴァルフォルモサのブリュット・ハーフをそれぞれいただき、来るべきお仕事に備えました。

旭川に本店を持つ三光舎のすき焼きは、割り下に秘伝の練り味噌のようなものを加え、そこへ肉、玉葱、蒟蒻、豆腐、しめじを入れて煮込んで、溶き卵で食するスタイルです。
甘みがあり、梅のような風味を持つオッタビアネーロは思ったほど合わず、多少酸味のあるフルーツの濃縮したバルベラも敢えて飲まなければいけないというほどのこともなく、これならわざわざ選んで飲むに値すると感じられたのは、黒故障の風味を持ったスキオペッティーノでした。
さすがですね、フルヴィオ君。
オッタビアネーロは酸とタンニンが少ないので、単独で楽しむのに向いているのかもしれません。
ソリテルは、経験した限りは中華との相性は抜群で、フレッシュチーズでその真価を発揮いたします。


今回はイタリアワインでのお試しでしたが、この経験から大いに期待できるフランスワインは、マディランのドメーヌ・セルジャンが可也の確率でスイングしそうで、ヴァントゥーのマルキ・ド・サドが案外絡むかもしれないなあと感じました。
次回の札幌では、これらのワインを試してみることになりそうです。

少しばかり営業をさせていただくと、ヴァルフォルモサ・ブリュットは、たちの天婦羅と銀杏には良く合いましたよ、メインのすき焼きの前に、前菜にあわせてたくさん売ってくださいね、若女将。
ちなみに若女将の真紀さんは、ワインについてめっちゃ詳しいです。







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翼の王国11月号37ページ

2009年11月28日 | Weblog
今朝の湘南は朝から良く晴れて、典型的な小春日和。
昨日までの札幌に比べて15℃位気温が高くなっているのかもしれません。

今回の札幌へは、久し振りにANAで行きました。
JALの経営危機で、判官びいきの私といたしましては、この一年なるべくJALを利用していたのですが、今回はANAの機内誌「翼の王国」にうちのワインが載っているとのことで、それならばとANAにした次第です。


現在機内にある「翼の王国」は11月号で、そんな事言われなくても今11月なんだから、10月号や12月号があるわけないじゃん、といわれてみればその通りなんですが、雑誌というものは先付けで発売されることが多く、いつもこれが原因でうちのワイン掲載誌がどれだか訳が分からなくなったりして大騒ぎするものですから、ええ。
ま、できれば皆さんにもこの赤い表紙の「翼の王国」11月号の37ページのグラティッチャイアの堂々の記事を、確実に見ていただけたらと、おせっかいな老婆のこころと考えてください。

思えばこのワイン、今年の一月プーリアでのコンヴェンションで出会った優れものではあるのですが、二日にわたるコンヴェンションの一日目は、イタリアンインフルエンザであえなくダウン、ホテルの部屋で病魔と戦っておりました。
この一日目に、同行の佐和さんがめぼしいメーカー10社を100社の中から選んでおいてくれたのでした。
病み上がりのコンヴェンション二日目、とてもワインの試飲どころの体ではなかったのですが、佐和セレクト10社をかろうじて巡ることが出来、このアぐリコーレ・ヴァローネ社のグラティッチャイアには、その誘惑的な甘味な妖艶さで完全にノックアウトさせられました。
サレントのネグロアマーロを干してから醸造するので、甘味な部分はこの糖分の濃縮から得られる性格であり、妖艶さもその他のエキス分の濃縮による結果で、まさに奥行きのある深みを持っています。

現在アグリで販売しておりますので、何時でもこの誘惑的なワインをお楽しみいただけるわけですが、この干してから醸造するやり方が、生産量を限定的にしており、気軽にお楽しみいただける価格とはなっておりません。
ちなみに参考上代を9,700円とさせていただいております。
一見高いように感じますが、一週間にわたり一日グラスに一杯ずつお楽しみいただければ、その味わいの変化を楽しむことが出来、しかも一日当たり1,400円で悦楽と引き換えになるわけですから、決して高いとは思いません。
まあ、このようなワインを楽しむときには、せこい考えで飲まないほうが造り手の趣旨にあってはいると思いますがね。



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クリスマスにはワインのソーダ割を

2009年11月27日 | Weblog
ここのところ坪内祐三さんに凝って、新刊で書店で入手できたものを四冊ばかり纏めて読みました。
山口昌男さんと親しいことや、わたしの同級生のコント赤信号にかつていた小宮君とも知り合いらしくて、昭和33年生まれというだけあって、生まれたところは湘南の片田舎二宮と帝都世田谷区と大きな開きはあるものの、同時代の波をかぶったところがあるようです。

その四冊の中に「倶楽部亀坪」という、東京を亀さんと坪さんの二人で歩き回り、越し方を綴った本があるのですが、一日の街の観察が終わり、さて飲みに行こうかというときに、“白ワインのソーダ割りでも・・・”というフレーズを発見しました。
ああこの年代の都内を徘徊する文芸評論家の間では、スプリッツァーをこのように言っていたんだなあと、ちょっとうれしくなりました。

プライベートで外で飲むときには、どうしてもワインを避ける傾向が強く、財布に重量があるときには割烹、軽めのときはスタンド割烹のような設えの店で酒を飲むことが多く、意識して中止しないと、ワインバーでの流行がわかりません。
ましてや都内で飲むことなど年に数えるほどで、たいがい関内か野毛の街を徘徊しているため、東京での酒の流行に疎いのです。

夏の終わりに、流行のウイスキソーダにあやかって、ワインもそのおすそ分けに預かろうと考えていたスプリッツァーは、その素地が既にマーケットに存在しているんです。
クリスマスにスパークリングも良いけど、ワインのソーダ割りを売り込む余地は案外大きく口を開けているのかもしれません。
しかし、何故クリスマスに泡物なのか。
ま、そういったことは考えないことにいたしましょう。





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海豚とマンボウ

2009年11月26日 | Weblog
三連休中に近所のスーパーマーケットの魚売り場を観ておりましたら、冬の海豚と夏のマンボウが同時にショウケースに並んでおり、正に気分は盆と正月が一辺に来たような季節感の無い取り止めの無い嬉しさ、大いに興奮して二つを買い求めて家に持ち帰りました。

海豚は岩手県産で、このスーパーマーケットでは仕入れがどこの市場か中卸かは分かりませんが、毎年冬になると岩手産海豚を販売しています。
問題の和歌山産の海豚も喰ってみたいなあと思いますが、事は穏便に運んで末永く食したいと思いますので、声高に和歌山産を仕入れろと叫ぶのは得策ではありません。
例の如く酒と生姜で煮込んで、最後に砂糖、醤油、味醂で味付けをしていただきました。脂身が溶けて実に美味かったですね。

マンボウの産はどこかと見れば、これが小田原産で相模湾の地魚、どうりで肝がまったく臭わず、ただ肝を出刃で叩いて醤油を注して、割いた淡白な白身を絡めて食べましたが、これが絶品。
生まれてから随分とマンボウを食しましたが、今までで一二を争う美味さでした。
季節外れのマンボウは、と言っても夏に良く見かけるだけで、食味の旬は冬かも知れません、実に美味いものでした。
近くで獲れ、締まった気温の中、売り場まで運ばれ、肝の鮮度が最良の環境に保たれるという僥倖に恵まれたのです。

考えてみると肝が売りの魚は、河豚、鮟鱇、カワハギなど冬が旬ですね。これは身の味わいは淡白で脂が乗っていようと無かろうと大差が無く、肝に絡めて食べないとその味わいが楽しめず、腐りやすい肝の移動に好都合な季節が、これらの魚の旬をこの季節に限定したのかも知れません。

ほとんどの場合、肝がある種の臭いを発するので、肝を敲いて裏漉しして味噌と合えたり、葱と合えたりの工夫が必要ですが、まるで臭わない新鮮な肝で合えたマンボウは、その臭いをマスクする必要が無いので、酒ではなくとも奥行きと複雑さを持ったワインであれば、美味しくいただける可能性があるなあと感じました。

白ワインは漁師町でこそもっと売れてもいいのかもしれません。

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デフレスパイラルの主役

2009年11月25日 | Weblog
今朝の湘南は雨です。昨夜椿亭で湯豆腐を肴に燗酒をいただいて、外へでると既に雨が降っていましたから、どうも一晩降り続いたようです。
しかし、やけに暖かく感じる雨で、この時期の氷雨とは異なりほのぼのした一日の始まりです。
今日はこれから札幌へ向かい少し営業活動をしてみようと思っております。
彼の地も暖かければいいのですが、まあ、そんなわけには行きませんね。

ここの所ジャン・フィリップ・マルシャンの話ばかりになってしまいますが、日本での売上が下がっているが、アメリカや英国の低迷に較べると未だ良いほうで、今の時期は多くを期待してもしょうがないので、地道に市場を回っているとのことです。

昨年くらいまでは、フランスからやってくるメーカーが、アグリはワインを買ってくれなくなった、どうにかして欲しいと、むきになっていわれて煩わしかったのですが、今年の夏ごろからは、会っても儀礼的な挨拶だけで、買ってくれとか、もっと売ってくれとか言う奴が少なくなってきました。
とてもいいことです。
オーナーであれば諦の心境になり、従業員であれば会社からのプレッシャーが弱くなってきているのかも知れません。

アグリの売上内容をみても、高価格ワインの売りはぴたっと止まり、低価格ワインの中でも特に安いものが好調です。
フランスに限っては、最安値のワインの品質が納得出来なかっために、二年前から取り扱いをやめてしまいました。
同じ価格であればスペインワインが優れた品質を保っているため、最低価格のレンジではスペインを最優先に、また二年前からはイタリアワインの研究を重ねてきて、ようやく低価格でまあまあ納得の出来るものを取り扱う事が出来るようになったので、スペインの次にはイタリアワインをお薦めするようにしています。

この時代が来る事を見込んで、対応をしていた事が功を奏し、それらのワインが脇役から主役を狙おうなんて所に来ています。
ワイン業界も大スターでなくても主役が回ってくる小物の時代のようです。
札幌へは、その小物ワインの案内に行くのです。


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真珠湾奇襲攻撃の日がやってきます

2009年11月24日 | Weblog
秋が深まった伊勢佐木町の風情はその黄昏た侘しさに季節の雰囲気がマッチして中々良いものでございます。
木枯らしを避け、蛸足売り場を本社ビルに撤退させ、売り場を縮小させた有隣堂本店二階の文庫新書コーナーを眺めておりました。
先ずは岩波で“他では読めない岩波文庫2009年秋30点30冊一括重版”の惹句のが渋い色でお揃いの帯が平台に並んでおりました。
こういったものは全部買い求めて読めば、バランスの取れた円満な人格者になっていいのでしょうが、何せ脳味噌の量がついて行きませんから、ぐぐっとこらえて鶯亭金升著「明治のおもかげ」の一冊を吟味チョイスし、後ろ髪を引かれる岩波の棚を離れ、次なる河出文庫の方へ向かいました。

しかしそこも、いけません。
最近良くあるバネ式のクリップにポップをつけて、“早い者勝ち、南方熊楠コレクション限定重版”なんてのが五冊入りの美装箱に入って鎮座しております。
90年代に中沢新一が編んだものです。
当時買おうかなどうしようかなと迷って止めたものが目の前にあるのですから、しかも“早い者勝ち”なんて書店にあるまじき惹句が、積読趣味の脳細胞を強く揺さぶります。
決して直ぐに読むわけじゃあありません。
南方熊楠のような天才の書いたものを仮に読んだところで、その意図するところは解るはずも無く、買い求めても無駄である事は明白ですが、それでも持っていたいというのが男の見得。
男の本能を刺激するコレクションです。

せめて真珠湾奇襲攻撃に成功した山本五十六に感激し、紀州蜜柑を送ったその柔らかな精神の一端にでも触れられるだけでも上出来です。

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色と食

2009年11月23日 | Weblog
ボージョレの喧騒が過ぎ、先週金曜日に関内駅前ビルの芳林堂で、久し振りに書籍をゆっくりと眺めました。
気になった書籍は、馬場啓一「池波正太郎が通った[店]」イソップ社、佐藤弘人「はだか随筆」ダイナミックセラーズ出版の二点で、当然ボージョレ成功記念に買い求め、財布の重さを軽減いたしました。

池波正太郎さんは、最高の味の店を探求したわけではなく、大人の見識で諾と出来る店を愛したと思われますが、今の世のグルメブームは何故か子供っぽくて、評価の基準が詰まらないところへ向いているように思えます。
山口瞳さんも同様に、ご自身の見識に従って馴染みの店をお持ちだったようで、このお二人の通った店は、繰り返し大人になれないおじさんたちに案内されています。
斯く言う老生もフィジカルには老境に入っているにも関わらず、見た目とは裏腹に見識とは縁の遠い脳内構造によって活動しているため、このようなものが出るとあやかりたい一心で飛びついてしまいます。
ご本人の随筆や同工異曲の案内所をいくら読んだかわかりませんが、一向に大人の風情というようなものが滲み出てきませんから、無駄といえば無駄な買い物ではあります。
お殿が好む店は、料理がまともに丁寧に作られている事はもちろんですが、たたずまいが大切で、5年10年ではなく20年30年を経て出てくる風情というようなものが良いんですね。

「はだか随筆」のほうは、昭和29年10月に初版が出されたとありますから、私が生まれる前の事です。
ミリオンセラーになったとのことで、内容は、心をはだかにして物事に当たる、生き方の心得を書いているものでは全くなく、Y号聖談いわゆる猥談であります。
まあ、そういったものでなければ私も食指が動かないわけでして、戦争の傷跡も薄れ、これからという時に一体どのような猥談がうけたのかとても興味があります。
著者の佐藤弘人さんが学者で、一橋大学教授であったところも面白いですね。
今ではこういったものを書いたりしたら、詰まらんやつらが世間の常識を振りかざして、さんざ騒ぐ事でしょう。
見識の無い奴が正論を盾に物を言い出すと、世の中小物ばかりが跋扈して、生きている価値の無い詰まらない時代になってしまいます。
未だ読みもしないで云々してもしょうがないですが、少なくともこのようなものを書く教授の授業であれば、寝てる奴が少なかっただろうと想像できます。


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鰻屋でボージョレ・ヌーボー

2009年11月22日 | Weblog
三連休の谷間、湘南の朝はどんよりとして冬間近を思わせるお天気です。先週の喧騒の一週間の疲れを取るには丁度いい具合なのかもしれません。好天につられて紅葉狩りなどしたら、落ち葉焚きで酒を温め、紅葉を愛でるなんて事に必ずなりますから。

さて、先週のある日、ジャン・フィリップと共にボージョレ・ヌーボーを持って、鰻と会わせてみようかと野毛の福家へ出かけました。
持ち込んだボージョレ・ヌーボーは、せっかくだからとジャン・フィリップがサインをして、お店の方にプレゼントすることにいたしました。

二年前のボージョレの頃、鎌倉でジャン・フィリップと共に鰻重を食べ、その時は燗酒を飲んで肝の佃煮などもいただきましたが、鰻はボージョレ・ヌーボーやブルゴーニュの軽い赤に合うねと話しました。
その経験からボージョレ・ヌーボーと鰻の食い合わせは、二人とも多分大丈夫だろうと思っており、実際に試してみるまでもないだろうとの考えからでした。
とか何とか言って、実は連日のボージョレ・ヌーボーに二人とも少し飽きが来ていたのです。


その夜は、ジャン・フィリップが興味を持ったワイン、シモーネのバローロ・プレダ2004をいただくことにいたしました。
鰻重と合わせてみたのですが、ニュースタイルのバローロとはいえ、やはりバローロは王のワイン、勝ちすぎていて、鰻とスウィングいたしませんでした。
シングル・ヴィンヤードのプレダではなく、もう一つのシモーネのバローロである、より繊細なクワトロ・ヴィーニュであれば、もう少し蒲焼に絡むところがあったのかも知れません。
直ぐに肝焼きをたのんであわせてみましたが、肝臓の苦味とタレも濃縮されるわけですから、味わいが強くなって蒲焼よりはどうにかなりましたが、しっくりとは行きませんでした。

ふと、ベッペのバルベーラ、ソリテルはいかになどと考えました。

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イタリアンでボージョレ・ヌーボー

2009年11月21日 | Weblog
横浜でのジャン・フィリップのディナーパーティーは、ここのところ信頼を寄せているご近所のイタリアン、テンダロッサで行ないました。
毎回シェフが趣向を凝らした料理でワインを盛り立ててくれます。
昨年もジャン・フィリップのディナーをここで行ないましたが、奄美大島から送られてきた猪の生肝が、甘くて苦くて絶妙の味わいでした。
このボージョレの時期は、各地でジャン・フィリップと共に、まさに食前食後にフルコースのディナーをいただくとともに彼のワインをいただくわけで、ワイン業者は胃腸が強く、成人病で死ぬ覚悟が出来ていないと勤まらないなあとつくづく思うわけです。
お取引先のレストランで出された料理を、美味しそうに、自社のワインと共に目一杯胃袋に入れる事が、なんと言っても営業として説得力があります。
連日連夜続くフレンチ、イタリアン、スパニッシュなどの料理の合間に、もり蕎麦を喰いたいとか、お茶漬けを喰いたいとかいっているような奴は碌なワインセールスではありえません。

さてこの日のワイン
マコン・ヴィラージュ・ヌーボー2009
ボージョレ・ロゼ・ヌーボー2009
ボジョレ・ヴィラーージュ・ヌーボー2009
シャンボル・ミジュニー・レ・ザテ2004
アロース・コルトン2004
ジュブレ・シャンベルタンVV2002
マール・ド・ブルゴーニュ

料理
生牡蠣 ヴァンサントヴィネガー
前菜の盛り合わせ (奄美大島産の鮪、白鯛エトセトラ、佐島の蛸、タスマニアン・スモーク・サーモン、ローマの苦味のある青菜、姉妹都市仙台で栽培されているらしいです。思い出せませんが、他に5種類ほどの魚介類がありました。)
上海蟹のフィットチーネ
オーストリア・ビーフ・フィレ フォアグラ
何か特殊なベーコンとチーズのピッツア
デザート

主催者である我々はまたもや同じワインで食傷でしたが、ジュブレ・シャンベルタンのヴィンテージが2002に替わったこと、アロース・コルトン2004が加わったこと、夜ですから食後酒にジャン・フィリップの7年樽熟成したマールをいただけたことが、昼とは異なり多少の救いとなりました。

腹がくちくなっているにもかかわらず、生魚というものは胃に入ってゆくもので、三陸産の牡蠣にトスカーナなのヴァンサント・ヴィネガーがかかったものは、マコンで流し込む事が容易でした。
生牡蠣単独ですと、これはもう酒以外に考えにくいのですが、ワインヴィネガーやエシャレット、フランス風にバターで食べる時にはワインに許容があります。

前菜の盛り合わせも、喰えないかも知れないなとの不安を余所に、魚の味わいが色々でしたので、案外簡単にロゼで流し込んでしまいました。

上海蟹は築地に入荷した一番良いのを確保したとのことで、蟹味噌のソースと殻から出る旨味成分が絡み合ってフィットチーネに吸収され、実に味わい深い一品に仕上がっていました。
またこれが、ジャン・フィリップ・新スタイルのボージョレ・ヌーボーに実に良くあいました。

オージービーフを馬鹿にしておりましたが、これがほとんど生で、刺身を食っているような感じでして、実によく胃の腑に納まってゆきました。
どちらかというと上に置かれたフォアグラのほうが火が通っているくらいで、これが味付けになって、全体が上手くバランスしているなあと感心しました。
普通は逆で、肉の余熱でフォアグラを温めますよね。

ピッツアというものは、またそれが美味いという事になれば、もうこれ以上喰えないという状況下でも何となく喰えちゃうもので、イタリアンがパスタとピッツアによって日本人に支持されている事が我が身によっても了解されます。

ジュブレ・シャンベルタン2002は、一般的には2001より酸が少なく、早く飲むべきワインですが、果実味も酸も強く感じられ、あるいは食事の直前にあけた事がその理由なのかもしれませんが、ちょっと意外な感じがしました。

食後のマール、これが良かったですね。
たっぷりと二杯飲んでしまいましたが、僅かな苦味と粕取り酒共通の乾燥芋のような香り、樽由来の琥珀色とその香り、そして何しろこの最後の酒が、一日に食べたものの消化をすべてしてくれるような錯覚をおこさせてくれます。
おかげさまで、翌日は懸念されたむかつくような気持ちの悪さも少なく、どちらかと言えば軽快な目覚めとなり、玉子焼き、牛肉野菜炒め、鯵の開き、豚肉と白菜スープをおかずに、たっぷりとご飯をいただく事が出来、目覚めた場所が日本以外でない喜びを味あわせてくれました。
マール、グラッパ、オルホとうような粕取り酒が、フランス、イタリア、スペインで食後酒として長い間廃れる事無く今に伝わっている、その理由がしみじみと実感出来ますねえ。

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