散 歩 B L O G

歩くことが唯一の趣味ですから。

ケニアの男

2013-03-07 | Weblog
ケニアに行ったときの話。(モロッコの風といい、どうしてアフリカばかり……?)ぼくがナイロビを歩いていると、向こうから黒人男性が手を振りながら近づいてくる。フレンドリーに肩をポンッとたたいて、「オレのこと覚えてる?」って(英語で)言う。たいへん申し訳ないことながら、ケニアに着いたばかりだったので、現地の黒人男性の顔を見分けることができない。みんな同じ顔に見えるから正直に「ノー」と答えた。すると黒人男性が、とても悲しそうな顔をして言うのだ(英語でね)。


写真はミャンマー(なんでだよ)

「じつは私は、あなたが宿泊しているホテルのレセプションです。いまクルマをガソリンスタンドまで運転して給油したんですけど、お金を持ってくるの忘れてしまって困っています。どうかガソリン代を立て替えてください。ホテルに戻れば財布があるので、今夜お返しします」……しかし、ホテルのレセプションにしては服が薄汚れているし、どうしてレセプションなのにホテルを離れてドライバーみたいな仕事をしているのか不思議だったので、「こりゃ怪しいぞ?」とぼくは思った。「ホテルに戻って財布をガソリンスタンドまで持っていけばいいじゃないですか?」「じゃあガソリンスタンドまで一緒に行きましょうか?」「ぼくは会った覚えがないんですけど、あなたが働いているホテルの名前は、何ホテルですか?」……疑問に思ったことを、カタコトの英語で尋ねていると、黒人男性は「OK!」と言って、固い握手をして立ち去っていった。本当にレセプションだったらどうしようかと一瞬思ったけど、そのときは謝ればいいし、べつにお金を貸す義理はないのだ。夕方、ホテルに戻るとレセプションはパリッとした格好をした別人さんだった。あたりまえである。


古い写真が出てこないもんで…

夜になってお腹が空いたのでナイロビの料理店で食事をしていると、同じぐらいの年齢の日本人男性(当時のことで20代半ば)が近くの席にいたので、どちらからともなく話しかけた。同じ飛行機できた人だった。なんかしらないけど、ボトルで頼んだワインを飲みきれないからって注いでくれる。いい人だし金銭に余裕があるみたいだ。一人だとツアーを申し込むのが割高になる上に危険だからということで、お互いの利害が一致し、翌日から一緒にサファリに行く約束をした。すでに旅先の友人みたいなものだ。そのとき、「言いにくいことなんだけど……」と急に改まって友人が身を乗り出す。まさか、払いを立て替えてくれって言い出すんじゃないだろうな?


これはナイロビではありません

「ここだけの話なんだけど、道端で話しかけられて、『きみが泊まってるホテルのレセプションだけどガソリンスタンドまでクルマを運転して給油したら財布を忘れてきたことに気づいて困っているから金を貸してくれ』って言われたんだよ。貸してあげたんだけど、その男の人ホテルにいないんだよね。顔の見分けがつかなくて、うっかり騙されちゃった。こんな詐欺がいるから気をつけたほうがいいよ」……それ、昼間ぼくが会った人かもしれないって言おうかと思ったけど、ナイロビの常套手段で誰でもやる手口かもしれないし、騙されなかったことを自慢しても何の得にもならないので、その晩は黙ってワインをごちそうになりました。サファリにも仲良く行きましたとさ。

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