市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

繭の秋冬をつぐみぬ髪を切れば簪惜しと衣更へせり

2021-10-14 22:40:00 | Weblog

 この夏から、まるで実家の大掃除のような時間が続く。師走のそれは日常の清めだが、今私がしていることは、この10数年、あるいはもっと昔からの時間を洗い直しているかのよう。

 だが、病んだ母を鎌倉に迎えた時に一度家財を成立したので、その慌ただしさの中で、大きな家具や古い写真などは、あらかた失ってしまった。悔やんでも悔やみきれないが、助けのない非常時でどうにもならなかった。祖母や母の記録、私の赤ん坊からの記録など、まるで何も残っていない。

 古いアルバムがどこにあるのか、などと考えまわす余裕もなかった。家族が少ないということは、引っ越しから病院の手配まで、短期間に全ての仕事が1人にかかるという過酷なのだった。

 だから、今の私の仕事はそれほど複雑ではないと思う。
 残されている母の人生の歴史の文物の少なさに哀れが募る。
 

 


 面相画 小野小町の扇子。

 残したい品と断捨離とを重ねながら、晩秋へ移ってゆく。

 全てに感謝。

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猫の貌おほきく見ゆる千葉甲府ひとりはたはた旅寝続けば

2021-10-13 22:35:00 | Weblog

 今日館山からまた甲府へ。

 アクアも連れてきた。母を入所させたら少しは落ち着くと思ったが、なんと夢にも考えなかった二重生活。

 ともかく無理せずtake it easy.

 


 油彩 F8号、青い薔薇。

 ひとり暮らしはペットの存在感が大きい。

 感謝。





  
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人形を離さず五十路過ぎにしよあかねさす野に人妻となり

2021-10-12 22:03:00 | Weblog

 衣装の断捨離はなかなか難しい。
 やむを得ず甲府千葉の二重生活が始まり、どちらもなるべく風通しの良い、偏らない住まいにしたいので、季節柄、衣更を兼ねて仕分けを始めた。
 現代は、たぶん良いことなんだろうけれど、年齢を重ねてもなかなか老いの自覚が持てない。20代からの服がたくさん残っており、古びていないからまだ着られる。
 きっと昔より4キロくらいは太ったから、細すぎるボトムスなどは無理にせよ、大抵まだサイズも大丈夫。
 可愛い花模様とか、フリルとか、ローウエストとか、いまさら少女趣味過ぎと思う洋服も処分できない。着ればそれなりに似合うと思う。
 とはいえ世間は舞台ではないから、リアル社会では55歳にしてガーリッシュスタイルを普段に着られないと苦笑したり。年の離れた姉妹や娘がいたら、きっと着せ替え人形みたいに洋服を譲れるのに、などなど夢想する。
 20歳の頃に街で見かけて買った人形がまだ一緒にいる。この子も36歳になるわけだ。ところでイマドキの子供は、お人形で遊ばないみたいだ。小さい頃から人形大好きな私には、不思議な世相。部屋に人形があると安心するので。
 


 施設からまた母の写真が届いた。敬老の日のお祝いだそうだ。
 嬉しそうな顔で、ほっとする。
 母も人形好きな世代だ。ぬいぐるみには関心がなく、お人形ばかり。
 私はぬいぐるみにも愛着がある。今もまだある。
 洋服と同じように、昔からのおもちゃが捨てられない。懐かしい遊び相手だから。

 


 油彩  青い薔薇  F8号

  
 さまざま感謝。



 

 
 

 

 
 
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風景

2021-10-11 23:20:00 | Weblog

 


 草稿
 全てに感謝

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朱夏

2021-10-10 15:08:00 | Weblog
未来10月号






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なまめかしき秘密のごとく秋の陽を切り抜いてゆく怒り持ちたり

2021-10-09 22:23:00 | Weblog

 山梨から館山に戻る。渋滞がなく割合スムーズに移動できた。

 この夜明け、昨日彼女からの手紙で偲んだ亡き友が、なんと夢に現れた。
 あまりにも共時的なので、高速を飛ばしながら、小半日、その夢の友人を考えていたが、ふと思った。
 もしかしたら、彼女の魂がやってきたのかもしれないと。そう感じたのは、夢の彼女が私とまっすぐに視線を交わそうとしなかったからだ。
 夢の中で、彼女は俯いたり横を向いたりしていた。何か、私にすまなそうな表情で。
 私は今だから、思う。あなたは悪くない、と。この人の亡くなる直前、私は彼女と疎遠だった。いくつか心残りのある、青春時代の友人。

 たぶん、彼女はあの世からやってきたのだろう。では、生まれ変わってはいないんだろうか。死んだら、霊魂はどこへゆくのだろう。
 夢の彼女はおだやかだった。

 


 レオナルドのデッサン模写によるイエス。水彩、F3号。


 神に感謝。




 



 
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御手ありてここに至りぬ思ひ出はなほ亡き人のまなざし残り

2021-10-08 21:00:00 | Weblog

 昔の手紙、写真を整理して。

 私くらいの年齢になると、同世代の友人たちの数人はこの世を去っている。その一人からの手紙を読み返し、青春時代から中年まで親しかった彼女が、もうこの世にいないということが、嘘のような気持ちになった。直筆の手紙の力は大きい。
 枕草子や源氏物語にも、故人の筆跡を見て偲びなつかしむ、というくだりが何箇所もある。

 


 今秋の新米は、山梨の武川米をいただいている。当たり前だが、千葉県の米とは風味が違う。なるほど、その土地の味がする。武川米は館山では買えないので、ここだけの風味を、毎日楽しんだ。
 館山名物長狭米と、甲州武川米を食べ比べてみたいと思う。はっきりした違いは、米粒の粘りではないかと思う。炊き方にもよるけれど、長狭米より武川米は噛んだ時の感じが、さっぱりしている。
 どちらも美味しい。私はごはんが大好き。

 天の恵みに感謝。
 
 



 

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恩地元イエスのごとく働きてアフリカへゆきアフリカに死す

2021-10-07 21:31:00 | Weblog

 「沈まぬ太陽」の主人公、恩地は、ある面で、まるでイエスのようだ。「不毛地帯」の壹岐も。

 正義や廉潔、澄んだ眼差しで社会不正と闘いながら生き通す男たちは英雄だが、その人生は険しく、不遇だ。山﨑豊子は正義を問いながら、勧善懲悪ではなく、リアルを描いた。

 私は山梨に戻り「華麗なる一族」を再読しようとしたが、一徹で剛毅な主人公、万俵鉄平の悲劇がつらくて、途中で投げてしまった。

 山﨑豊子は冷徹に現実を描いた。私はそういう彼女を尊敬し、感動する。
 同時に、身の回りの大切な人には、幸せな人生を歩み、全うしてほしいと願う。

 スーパースタージーザスクライストの軌跡をなぞるのは、悲しみが、深い。


 


 海の星サンタマリア  油彩  F4号


  神に感謝。

 
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金木犀声を伏せたる秋なれど身に添ふ追想みなうつくしき

2021-10-06 22:28:00 | Weblog

 金木犀に。

 




 
 良い日だった。

 さまざま感謝。

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冬のために布をひろげつ髪を染めて若き鏡も半世紀超ゆ

2021-10-05 21:43:00 | Weblog

 10月に入ったが、昼間の甲府市の気温は30度。街中みんな、夏服姿のまま。が、湿度は低いので、8月の油照りとは違って過ごしやすい気候。
 
 20年ほど前なら、山梨の10月は冷涼で、朝ごとに寒さが忍び寄る気配を感じたものだ。つくづく地球温暖化を感じる。

 館山では真冬でもフカフカしたセーター姿の人はあまり見かけない。晴れていれば、セーターよりも、半袖姿の方が多いかもしれない。
 甲府市はどうだろう。今年は久しぶりに山国の秋冬を暮らすことになりそう。
 昔の習慣で、ぼちぼちと家内の防寒準備など始めた。気が早いと笑われそうだが、盆地の秋はある日一気に深くなる。

 


 昔の臨書。
 
 もみちせぬときはの
 やまにすん(む)しかは
 おのれなきてや
 あきをしるらん

  藤原行成筆、和漢朗詠集から。

 感謝。

 


 

 
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アルファポリス