言霊、という信仰が日本にある。
若い頃には、それはただの知識だったが、還暦も近い今になると、実感を伴って畏怖を帯びる。
自分を含めて周囲さまざまな遍歴を俯瞰すると、とてもしばしば、口から出た言葉が、当人の未来を引き寄せている現象を見るからだ。パフォーマンスが未来を予告する。
言霊に畏怖を感じると、歌言葉でも以前のように大胆な超現実を作れない。現実を覆し、あるいは打撃、刺激を与えて、意表を突く短詩は、成功すれは磨かれた宝石のように美しいが、凝った奇抜さは、フォークロアの素朴な視点から眺めると、首をひねる。
とはいえ、私は口語短歌を好まない。わかり難くても、現実とは一線隔てる雅語が良い。
ラファエルロのデッサン。
感謝。