市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

繭の秋冬をつぐみぬ髪を切れば簪惜しと衣更へせり

2021-10-14 22:40:00 | Weblog

 この夏から、まるで実家の大掃除のような時間が続く。師走のそれは日常の清めだが、今私がしていることは、この10数年、あるいはもっと昔からの時間を洗い直しているかのよう。

 だが、病んだ母を鎌倉に迎えた時に一度家財を成立したので、その慌ただしさの中で、大きな家具や古い写真などは、あらかた失ってしまった。悔やんでも悔やみきれないが、助けのない非常時でどうにもならなかった。祖母や母の記録、私の赤ん坊からの記録など、まるで何も残っていない。

 古いアルバムがどこにあるのか、などと考えまわす余裕もなかった。家族が少ないということは、引っ越しから病院の手配まで、短期間に全ての仕事が1人にかかるという過酷なのだった。

 だから、今の私の仕事はそれほど複雑ではないと思う。
 残されている母の人生の歴史の文物の少なさに哀れが募る。
 

 


 面相画 小野小町の扇子。

 残したい品と断捨離とを重ねながら、晩秋へ移ってゆく。

 全てに感謝。

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