雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

潮より昇るきらめきゆほびかに女ひとなる汝を抱(いだ)かな

2009-01-02 11:42:57 | Weblog
 みなさま、あけましておめでとうございます。


 星月夜日記を訪問してくださってありがとうございます。

 今年もおりおりの季節の詩、照り翳りを、心と言葉に映してゆきたいと存じます。

 それが、みなさまの心の琴線に触れて、なにか、きれいな音色の響くことがありましたら幸いです。



 女人、という言葉、わたしは好きです。にょにん、と読み、おんなひと、とも。

 室生犀星さんの言葉だったでしょうか。




 ……。



 
 もう14年ほども前、機会あって「海の器」というみじかい小説を書きました。

 この作品は、マガジンハウスのある雑誌に掲載され、それからしばらくして、同社から上梓された『歓喜まんだら』というアンソロジー集に収録されました。

 つたない作品ですが、選考してくださった方々から、独特の文体と表現、というようなお褒めの言葉をいただいたこと、うれしく覚えています。


 わたしはそのあとで、自分が書いた短編の主人公ふたりに感情移入して、およそ300枚ほどの長編を書きあげましたが、ものがたりの内容と、その時代状況がそぐわず、またわたしの力量不足で、おおやけの出版はできませんでした。


 それからずいぶん長い年月がたち、世の中も変わったようですが、人のこころのありかた、というものはそれほど変わるはずもないので、わたしは自分の作品をネットに掲載する前、ずいぶん迷いました。

 
 この十数年の間に、わたしはカトリックに帰依し、洗礼をうけるめぐみをいただきましたので、かつての作品とはいえ、いろいろむつかしい、と思ったのです。


 この作品は同性愛と、近親相姦を主要なモチーフとしています。

 
 そうして、表現も、濃いエロティシズム、オブシーヌな描写が頻出します。


 わたしは、ある聖職者の方に御相談ねがい、御意見をうかがいました。

 カトリシズムに真っ向から対立する素材をあつかっています、とわたしがおそるおそる申し上げたところ、
師は、おだやかに肯かれ、

 ……人のこころのなかには、そうした闇や罪の世界が、現に存在する……それは否定できないことだし、先天的に「性同一障害」というような心のかたちがあることもわかっている。神のおめぐみ、カトリック、というものはそうした、人間性のさまざまを、ふかくひろく抱擁してはたらくもの……

 というような御主旨のことをおっしゃいました。

 わたしは、その方にネットアップの許可をいただいた、というわけではなく、あくまでも御意見をうかがっただけなので、いっさいの責任は、わたし個人のものです。

 ただ、わたしのカトリック信仰と、昔の作品を「いま」おおやけにすることについての、参考意見として、記させていただきました。


 登場人物は、わたしの心からうまれたひとたちなので、いくばくそれらしい、あるいはモデルめいた気配も漂いますが、実体験ではありません。

 フィクション、イマジネーション、ファンタジーを、小説というかたちのなかでつむいでみたのです。

 ただ、わたしは同性愛について偏見を持ちませんし、女人の美しさ、とても大事に思っています。


 もしも……わたしの心と共鳴し、通い合い、異性愛よりさらに強い絆でむすびつきたい、と願わずにはいられないような、美しく魅力的な同性があらわれ、現実的な支障を克服できる、という境遇だったら、わたしは彼女とともに歩む人生を選んだかもしれません。

 
 反実仮想の、きれいな夢ものがたり。


 わたしは花や樹木や、鳥、海のさやぎ、潮のきらめき、そうした周囲の自然風景を擬人化して、登場人物を造型しました。


 ヤオイ文学……ヤマなし、オチなし、イミなし、という少女小説のプロローグだけ、「雪のかおり」にアップしました。

 
 ふしぎな、寄せてはかへす青い海のファンタジーをおたのしみくださいましたら。





 追記)

 登場人物の名前、シチュエーションなどは、当時の初稿のままで、あとから変更しておりません。表現については,ところどころ推敲をしています。






 


 


 

 

 


 
コメント (2)
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