市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

透視するまなざしよ空へ風となれつばさびとA・ワイエス逝きぬ

2009-01-20 08:29:21 | Weblog


 アンドリュー・ワイエス逝去。91歳と。


 日曜日の日経の文化欄で「クリスティーナの世界」が取り上げられていて、そこに彼の訃報が記されていた。

 ああ、と思った。わたしはこのひとが好きだった。絵も、生き方も。

 死をいたむかなしみよりも、もっと深い感情。

 「クリスティーナの世界」をみたとき、少女(と思えた)の痩せた背中から天空へむかって、大草原の風が、さあっとふきあげる、その音が聞こえ、その大気の感触が頬に触れるような気がした。

 風と光と、大気の流れ。


 緻密なテンペラ描写は「単なるリアリズムではなかった」と。


 今朝の「文化往来」からの引用。

 
 ……「何を、どう見たか」を描く。(文化往来)


 ワイエスの視線、わたしは大好きだったし、たぶん一生好きだろう。

 

 遠ざかってしまった森や、水、さわやかな天空、海からの風。

 質朴に生きて、まなざしの輝きをうしなわないひとびと。


 Bunkamuraに行けなかったのはざんねんだけれど。


 自分のなかに、彼と共鳴するものがあることを、わたしはとてもだいじに思っている。

 
 自然と人、生き物にたいする、誠実な愛情、彼の作品のなかに見て。

 

 
コメント (2)
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