アンドリュー・ワイエス逝去。91歳と。
日曜日の日経の文化欄で「クリスティーナの世界」が取り上げられていて、そこに彼の訃報が記されていた。
ああ、と思った。わたしはこのひとが好きだった。絵も、生き方も。
死をいたむかなしみよりも、もっと深い感情。
「クリスティーナの世界」をみたとき、少女(と思えた)の痩せた背中から天空へむかって、大草原の風が、さあっとふきあげる、その音が聞こえ、その大気の感触が頬に触れるような気がした。
風と光と、大気の流れ。
緻密なテンペラ描写は「単なるリアリズムではなかった」と。
今朝の「文化往来」からの引用。
……「何を、どう見たか」を描く。(文化往来)
ワイエスの視線、わたしは大好きだったし、たぶん一生好きだろう。
遠ざかってしまった森や、水、さわやかな天空、海からの風。
質朴に生きて、まなざしの輝きをうしなわないひとびと。
Bunkamuraに行けなかったのはざんねんだけれど。
自分のなかに、彼と共鳴するものがあることを、わたしはとてもだいじに思っている。
自然と人、生き物にたいする、誠実な愛情、彼の作品のなかに見て。