雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

片耳にけものの声聴くMelusinaすみれいろしてまひるは女人

2009-01-08 11:20:24 | Weblog


 渚さんのブログに、水原紫苑さんの歌を読ませていただいた。


 きれい、と思う。メルヘン? 幻想?


 わたしはこの方の歌集を味読したことはなかった。


 作品と作者とはべつもの、と思うけれど、やはりどんな女性なのか知りたくなるのも人情か。

 かろやかな幻想。

 女性的なモチーフの品のよさに共感する。


   われらかつて魚なりし頃かたらひし藻の蔭に似るゆふぐれ来たる

 こんなお歌をながめて。



 Melusina,メリュジーヌは妖精の姫君。


 先日図書館から借りてきた本の一冊。

 フランスの古い神話、ラプソディ(幻想叙事詩)


 彼女は良い妖精。

 母親の妖精Pressineを虐待する父に逆らったため、土曜日ごとに下半身は蛇になるという罰を受ける。

 彼女を恋したのは、人間の男、レモンダン・ド・リュジニャン。

 メリュジーヌを妻にして、彼女の力でゆたかになり、不思議な力を持つこどもたちが生まれた。

 土曜日ごとに、メリュジーヌは水浴する。その姿を「見るな」と言われていたのに、夫は好奇心に負けて、メリュジーヌの半分蛇の姿を目撃してしまう。

 「雪女」や「鶴の恩返し」とおんなじで、男が禁忌を破ったために、妖精の姫君は、森に帰ってしまう。


 で、彼女のこどもたちは、フランスの旧家リュジニャン家の創始者となったと。

 
 こういう異類婚姻譚、ちいさいころから好きだった。

 なんで、タブーを守れないんだろうなあ、と子供心にも、情けなく、可哀想に思ったことも、憶えている。


 

 知らなくていいことは、そのままにしておけばいいのに、と。

 でも、これも世界に普遍的なモチーフだから、きっと仕方ないんだろう。


 知る、ということは「支配」なので……上代語「領(し)る」という言葉のとおり。

 
 

 きれいな妖精メリュジーヌは、じつは両性具有だったとか。

 神話や伝説は、無意識の水底から、さまざまなシュールレアルな幻影となってうかびあがる。











 


 


 






コメント (4)
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