カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『このやさしき大地』ウィリアム・ケント・クルーガー 早川書房 LB

2023-10-29 15:14:14 | 洋物
 作者のクルーガーは『ありふれた祈り』でエドガー賞受賞、日本でもこのミス大賞をとった作家。されどこれはミステリーではないですね。作家曰く「『ハックルベリー・フィンの冒険』の「アップデート版」とのこと。そうですね、大ロードムービー。時代は1930年代、舞台はアメリカ。ミネソタ州のリンカーン・インディアン教護院に暮らすアルバートとオディという白人の兄弟。弟のオディの語りで物語は始まる。戦前のアメリカ、インディアンの子供を教護院に収容し、民族の言葉、文化を奪うことが行われていた。そこでは虐待も。そこに暮らす二人の白人の子供も例外ではなく。二人は赤ん坊の頃に舌を切られたスー族のモーズ、未亡人で教護院の教師が夫の残した農場を守る家に生まれたエミーとともに旅に出る。旅というにはあまりに重く、四人の少年少女はカヌーで兄弟の叔母が住むセントルイスを目指す。出会い、別れ、事件、いろいろな中で彼らは成長し、あるいは考えることになる。壮大で圧倒的な物語がここにあるのです。☆☆☆☆☆。