「著者が初めて同世代を描いた感動長編」とある。確かに同世代であるが、著者45歳の作品である。一流広告代理店を辞め、独立した先輩の会社へ。そこも辞めて、フリーランサー・プロデューサー業を始めたものの…、という吉松喜一が主人公。銀座のビルの一室、コピーライターとデザイナーとで借りた事務室で、40歳にして独立した主人公がもがいている。そこから、いくつかの出会いがあり、夫婦のこと、会社のこと、40歳という最近では「人生の折り返し点」を越したところでの葛藤が描かれる。40歳にしては若いじゃないかというのは、それを過ぎてしまっているものの見方だろうか。「感動的」で、いい話で、読みやすく一気に終わった。☆☆☆かなと。