カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『海辺のカフカ』上・下 村上春樹 新潮文庫

2008-11-08 00:51:05 | 和物
 純文学を読むというのは随分久しぶりかもしれない。『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』を読んだのは四半世紀以上前のことになる。村上春樹で卒論を書けば、現代を語ることに、なんて言ってたこともある。その後、ベストセラーになってしまったりしたが、読んではいた。
 どうだったと言われると、実に不思議で、15歳の少年が主人公。ナカタさんという老人がいて、佐伯さん、大島さん、星野くん。15歳の少年はとても難しい話を大島さんとする。
メタファー、メタファー。ナカタさんは昔は頭が良かったが、昏睡状態になった後、読み書きもできなくなり、「知事さんにホジョをもらい」「ネコさんを探して」生活している。
 性同一症候群の大島さんは男装のゲイというし、佐伯さんは50歳を越していて、15歳の少女でもある。ナカタさんはネコさんと話ができる。でもジョニー・ウォーカーを殺さなくてはいけなくなり、アジとサバを降らし、ヒルを降らす。中野区を出た事が無かったのに、大きな橋を渡って、田村カフカの後を追うように、高松にたどり着く。富士川から高松までは、名古屋の星野くんが連れてきた。暴走族から自衛隊、長距離ドライバーの星野くんはベートーベンの『大公トリオ』を聞く人になる。
 何だか分からないし、カフカとカラスの少年がどうなったかも分からないけど、星野くんは最後までやり遂げた。猫のトロから教わったように。そう、星野くんもネコさんと話せるようになっていた。
 どんどん続きを読みたくなった。駅までの道、短い通勤電車、職場までの道、それだけで済まずに、家でも読んだ。でも寝床では読まない。眠れなくなるから。ということで、読了したのだけれど、何だったのかは聞かないで欲しい。分かってないと思う。僕はナカタさんはいい人だと思う。星野くんよ、幸せに。☆☆☆☆?☆。
 そうは言いながら、結局、分からないな。なんでナカタさんは死ななくちゃいけないんだろう。どうして佐伯さんは。田村のとおさんは一体何だ。何も分からない。それでいて、読ませる不思議。