ブーダンの海

 

 時間があるときには、「アートサイクロペディア(Artcyclopedia)」というサイトを利用して少しずつ絵を観ている。画家のバイオグラフィにもアクセスできるので、ついでにそれも読む。

 ウジェーヌ・ブーダン(Eugene Boudin)は、モネに戸外で制作するよう勧めた画家として有名。ブーダン自身、とても明るい絵を描く。
 印象派のなかで、途中、画風の冒険もせずに、一貫して印象派らしい絵を描いた画家は、シスレーだと言われる。が、私はブーダンの画風もそれに当てはまると思う。ただブーダンは、風景のテーマが著しく海に偏っているし、絵画史の上では印象派の先駆に位置づけられるし、で、そう言われるわけにはいかないのだ、と勝手に思っている。
 
 ブーダンは主に海景を描いた。浜辺で紳士、淑女がうじゃうじゃと群がっている賑やかな絵が有名だけれど、本当は、そんなに人を多く描かずに、海そのものを描いた穏やかな絵が多い。ついでに、海辺近くの、緑濃い陸地の村を描いたりもしている。
 海の色は一枚一枚、少しずつ違っている。青い海、紺の海、緑の海、水色の海、藤色の海、紫の海、ピンクの海、オレンジの海、クリーム色の海、白い海、灰色の海、黒い海……
 だからもちろん、海が映す空と雲の色も様々ある。

 海は海岸だったり浜辺だったり、港、埠頭、内湾、外洋だったりする。そこに船が一艘あったり、たくさんあったり。漁師がいたり、漁師の妻たちがいたり。
 そして海は凪だったり、波打っていたり、嵐だったり。

 トゥルーヴィルやドーヴィル、オンフルールなど、ノルマンディーの海が多い。あの象の鼻みたいなエトルタの奇岩も描いている。フランスらしい海の絵、そんな感じがする。
 ノルマンディー、是非行ってみなければ。
 
 ブーダンの絵を観ていると、海を描きたくなってくる。夏になると私は、人酔いさえしなければ海に行きたくなる。
 でも相棒は大の暑がりで、「夏にそんな、海抜ゼロの地点になんて行けっこないよ」と、私をなだめすかしてしまう。夏の相棒は、標高か緯度か、どちらかが高くなければ、そこに行こうとしないのだ。
 
 画像は、ブーダン「ドーヴィル内港」。
  ウジェーヌ・ブーダン(Eugene Boudin, 1824-1898, French)
 他、左から、
  「フェカンの港」
  「トゥルーヴィル、満潮」
  「日没のル・アーヴル港」
  「トゥークの川辺の洗濯女」
  「浜辺にて」

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