日本のエトルタ(続)

 
 ニッポンのエトルタ奇岩と私たちが勝手に名づけた「沖の石門」は、その名のとおり沖にある。それが見えるよう、崖上が園地になっている。藤村にちなんで、椰子の木が生えていたりする。
 そこに、先客のお仲間が約1名。年配の男性で、クロッキー帳とスケッチブックをかかえて、慣れた筆運びで水彩スケッチしている。相棒、坊、続いて私も、さり気なく後ろにまわって覗いてみると、わー、上手い。
 妻君らしい年配の女性が、離れたところで、手持ち無沙汰に坐っている。邪魔するな、って言われてるのかな。奥さん、自分も描いてみたらいいのになー。
 
 夫婦の去ったところで、私たち3人、めいめいスケッチブックを取り出して、ごそごそと準備。私は地べたにベタリと坐って、眼下の石門をしゃかしゃかとスケッチ。
 相棒も坊も、それぞれ勝手にスケッチ。凄い風だったので、私は一枚描いただけで断念。
 
 再び砂浜へと降りて、そぞろ歩き。岩がちの海辺に、も一つ、今度は「岸の石門」。これもまた真ん中に穴が貫通している。で、相棒と坊は登ったり触ったりしている。

 そこから先は、浜名湖まで続く砂また砂の直線の海岸線。その名も片浜十三里。さすがに歩きとおすのは無理なので、ここらをぶらぶらしてからターンして出発点まで帰ってきた。

 ターミナルで、お土産にメロンケーキ買って、せっかくだからと、大あさりの直火焼きを食べた。でも今日、お昼ご飯食べてないから、これだけじゃ、お腹がぐーきゅるぴー。

 日の入りの時間を見計らって、も一度、遊歩道を歩いて灯台へ。もう暗いなか、石彫り職人はまだ万葉歌を彫っていた。
 さっきはクールベ色だった海が、オレンジとピンクの空の下、群青色に落ちていた。あー、この海と空、ヨンキントの色彩。

 満足な旅、満足な一日。グルメもショッピングもないけれど、あー、満足、満足。

 画像は、伊良湖、日出の石門。

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