日本のエトルタ

 
 伊良湖へ行ってきた。

 時間と、坊の学校と、世界情勢との関係で、しばらく世界旅行には行けそうもないので、せめて海に行こう、海に行こうと相棒に駄々をこねていたら、突然、相棒が言った。
「伊良湖に行こうか」
「伊良湖? それって湖じゃない」
 でも伊良湖は海だった。渥美半島の先端、正真正銘の海!
「これって海じゃない!」
「そう言ったでしょ」
 
 自動車を持ってないので、私たちの交通手段はもっぱら鉄道と自転車と徒歩、場合によってバス。慣れたら、特に不便には感じない。
 ターミナルに着いてからは、湾曲する海岸線をただひたすら、とことこと歩いた。もちろん、ロケハンを兼ねて。さすがにもう風が冷たかったけど、寄せては返す単調な波のサウンドを音声多重で聞きながら、あー、いい感じ。
 
 石に万葉歌(かな?)をコン、コンと彫っている職人がいる遊歩道。そこから覗くと、流木だらけの石浜。灯台をぐるりとまわって恋路ヶ浜。ここは島崎藤村が「椰子の実」の詩で謡っているところ。
 海の色も岩の色も、今日はクールベ色。海には、坊が学校の地理の授業で習って知っているのに、私は知らない、なんとかという名前の島。

 そしてひときわ波の荒く、岩のゴツゴツした海に現われたのは、真ん中が洞穴となっている「沖の石門」! これはニッポンのエトルタ奇岩だっ!
 
 To be continued...

 画像は、伊良湖岬灯台。

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