法治国家か放置国家か 林眞須美さん訴訟だよ
死刑囚・林眞須美さんの手紙切り刻み本人国賠訴訟。陳述書を提出した。
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わたくしは公立学校教員や行政書士などを経て、現在は東京都中央区の法律事務所の職員をしております。数年前に『救援』のコラムに、わたしの母の病院での死去のようすを書いたところ、眞須美さん自身が母を失ったときの悲しみも踏まえた手紙を貰いました。死刑が確定する直前に埼玉から大阪まで面会に行ったりなど、交流をしていました。
死刑確定後は、きれいな切手や絵葉書を送ったり、訴訟書類の複数コピーなどの制限内のことしかできない日々です。
措置取消等請求裁判の乙第五号証を見て、たいへんに驚きました。拘置所が墨塗りをするのは知っていましたが、自分の手紙が黒く塗られたのは初めてです。わたしが邪悪なものにされたような感じがしました。なにより、受け取った眞須美さんが酷く傷ついたのではないかと心配で堪らない思いです。
手紙の遣り取りができないために事情が不明だったのですが、その後に届いた地裁の判決書に添付の訴状の「ハサミにて、バラバラに切りとられ原型のいじなく」(ママ)と知り、さらに驚愕した次第です。
わたしは仙台刑務所や栃木刑務所、八王子医療刑務所など在監の友人たちと交流を何十年もしておりますが、こんな扱いを受けたのは始めてです。日本は、国連の拷問禁止委員会でも何度か「懸念」が表明され、十三年に採択された最終見解でも条約に定めた法的保障をするよう要求されているのです。政府は勧告を無視したままです。恥ずかしいことです。
大堀晃生弁護士は「本件に限らず、林さんは外部交通をことごとく制限されており、手紙を切り刻むことも林さんへの心理的圧迫になる」と言っている(「週刊金曜日」8月5日号)。これは心理的拷問に他ならないでしょう。弱いもの虐めは、やめるよう強く訴えます。
事件は高等裁判所に進んだようですが、どうか裁判官は正しい判断をしてください。
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立会・パソコン訴訟も大阪高裁で進行中。提訴時の記者会見で、安田好弘弁護士は「二千点もある証拠を接見に持参するのは無理で、画像ファイル化した証拠を閲覧するパソコンが不可欠。その使用を認めないのは、弁護妨害。接見に職員が立ち会うため、真犯人に関する話もできず、充分な議論をするには接見時間も短すぎる」と主張。こちらも注目。
カレー事件の林眞須美さん――前例なき国賠を提訴
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=4046和歌山カレー事件弁護団 国賠訴訟提起の報告会見 2013年12月14日
https://www.youtube.com/watch?v=hFexsQ2V8K4