気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

滴る木 吉野亜矢歌集

2006-12-26 23:54:10 | つれづれ
あたらしき本にうす茶の一点がつきてわたしのものとなりゆく

朝に繰る独語テキストかぐわしきパン屋の名前の意味解き明かす

わたくしは何時でも楽器やわらかに産毛のそよぐ耳を抱けば

売ったのかなくしても生きてゆくことができる臓器のような何かを

  フェルメール展一首
光降る中にたたずむわたくしと海の響きを抱く画家の名

(吉野亜矢 滴る木 ながらみ書房)

**********************

吉野亜矢さんの歌はなかなかむつかしい。あとがきを読むと、24歳から28歳の間の詠んだ400首が載っているとのこと。わたしはつい共感できる歌や、発見の歌を好む傾向があるので、繊細な良さを読みきれていないと思う。今後、吉野さんとご一緒することがありそうなので、どんな方なのか少しずつお近づきになりたいものだ。