気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

木香薔薇 花山多佳子歌集

2006-12-06 20:09:48 | つれづれ
見上ぐる枝はいまだ芽ぶかずやはらかに根かたにそよぐ雀の帷子(かたびら)

裂けて立つ木の名は知らずうらうらと木香薔薇の花のなだるる

わたしは何を送つたのだらう書いた手紙が机のうへに

アベリアのあかがねいろのかがやきの一葉(ひとは)一葉を霜が縁(ふち)どる

探す本はかならず在らず探してはをらぬと思ひて暫くを待つ

(花山多佳子 木香薔薇 砂子屋書房)

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前から読みたいと思っていた花山多佳子の新しい歌集を、図書館におねだりして買ってもらう。
作者は、植物や鳥が好きらしく、それらを詠った正統な歌があり、それに混じって本人のドジな様子を告白している歌がある。これを読むと心が安らぐ。歌ではとても及ばないが、ドジな点では負けない私は、つねに何となくコンプレックスがあるので。息子さん娘さんも個性的なキャラとして歌に登場する。
三首目。本人の不安が歌に破調となってあらわれていて巧いと思う。
五首目。この処世術、見習いたい。
(画像は季節の花300さんからお借りしました)