電車にて「まいど」と声を掛けきしは関取ほどに太れる息子
没年より生年を引きはろばろと思ほゆ画家の見たる青空
膝の上にひろげむとして泳ぎ出す金魚の刺繍のストールを買ふ
はつ夏の湖面のごとき灰皿に煙草の尖(さき)はしづかに触るる
採点をされつつ育ちし十代を春空高く捨てむ幾度も
たなうらにけむり水晶ころがせりわが五十代まだ初心にて
(栗木京子 けむり水晶)
***********************
栗木京子は小柄な美人で澄ましていそうに見えるが、息子の「まいど」の歌など、思わず笑える。母親が歌人だというのは、どんな気分だろう。栗木京子ほどになればいいのだが、中途半端な歌人もどきの母親は迷惑だろうな。
金魚のストールの歌は、動きがあっていいと思った。採点をされつつ・・の歌。俵万智にも「優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる」を思い出した。「幾度も」というところに共感した。
また、いのち還らずという長歌も、現実の幼い兄弟が殺された事件を題材として圧巻。
没年より生年を引きはろばろと思ほゆ画家の見たる青空
膝の上にひろげむとして泳ぎ出す金魚の刺繍のストールを買ふ
はつ夏の湖面のごとき灰皿に煙草の尖(さき)はしづかに触るる
採点をされつつ育ちし十代を春空高く捨てむ幾度も
たなうらにけむり水晶ころがせりわが五十代まだ初心にて
(栗木京子 けむり水晶)
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栗木京子は小柄な美人で澄ましていそうに見えるが、息子の「まいど」の歌など、思わず笑える。母親が歌人だというのは、どんな気分だろう。栗木京子ほどになればいいのだが、中途半端な歌人もどきの母親は迷惑だろうな。
金魚のストールの歌は、動きがあっていいと思った。採点をされつつ・・の歌。俵万智にも「優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる」を思い出した。「幾度も」というところに共感した。
また、いのち還らずという長歌も、現実の幼い兄弟が殺された事件を題材として圧巻。