気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

素数

2006-12-17 16:14:41 | つれづれ
死は常にまばゆき素数 漆黒にもつとも近き白もて覆ふ

挑むより拒否を選べば目を閉づる写真ぞ多き十七のわれ

来るたびに同じ絵葉書求めをり<受胎告知>にムンクを重ね

八房の腹にもたれてまどろめば夜音(よと)の遠音(とほと)にきしむ星々

すきとほるもののしづけさ葛を練る力に人を愛し続けむ

風の卵ひかりのたまご揺らぎゐる小部屋を匿す冬の蒼穹

(山吹明日香 夜音の遠音)

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『夜音の遠音』から、こころに残った歌。
挑むより・・・の歌は十代の頃の彼女の心情が読むひとに伝わる。
絵葉書の歌には、受胎告知とムンクの組み合わせの妙を感じる。
葛を練る・・・は歌人として言葉を練ることに通じて、静けさが心を打つ。
風の卵・・・。澄んだ冬の空が彼女にはそういう風に見えるのかと感心した。
あとの二首は、問題歌で、私には読みきれないが、魅力がある歌。

そろそろ、年賀状やあれこれ年末の準備をするべきときなのに、やはり、ぼーっとして今日も過ごしてしまいそうだ。
この時期、買い物に行くと、店内放送がますます忙しなくなってくるのが私にはつらい。あれでわけがわからなくなって、要らない食料品など買ってしまうのだ。