気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

けむり水晶 栗木京子歌集

2006-12-12 22:43:50 | つれづれ
二千円札早く使つてしまはうと駅前に買ふ新書『バカの壁』

公園で一番齢(とし)をとりやすきブランコよ秋の夜に漕ぎてみむ

死にし鶏ふくろ詰めされ捨てられき袋に詰めれば無になるかすべて

 歌誌「塔」の創刊は昭和二十九年
聳ゆるもの踏みつぶしつつ哀しきやゴジラも「塔」もわれも五十歳

大空を、木の葉を、シャツを、足首をぎゆッと絞りたし夕立ののち

(栗木京子 けむり水晶 角川書店)

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栗木京子の第六歌集を読む。これは自腹で買った。
題詠ブログの歌で、買いに行くと詠んじゃったから。いやそれは歌だから、うそでもいいんですけどね。

前の歌集『夏のうしろ』の歌で「普段着で人を殺すなバスジャックせし少年のひらひらのシャツ」が有名になったが、栗木京子の歌はいつも時代を見ていて新鮮なことが魅力だ。