水際には死ぬために来し蜂の居てあわれわずかにみだりがわしき
馴(な)寄りつつ揺らぐ生徒の小波あり上澄みをゆく午後の数学
頷けば感情の抜けるしずけさの彼がいる たぶん秋の内弟子
モンキチョウあるいは葩(はな)の影過ぎてローマ字協会ビル壁しろし
ままよとて腕投げ入るる闇のなか母音ありけり明治のひびき
(棚木恒寿 天の腕 ながらみ書房)
*************************
音所属の棚木恒寿さんの第一歌集を読む。
三十代前半で、高校生のときから短歌を作っておられたらしい。
滋賀県で数学の先生のなさっていて、独特の不思議な感覚が詠われている。
三首目の「秋の内弟子」なんて、彼独自の発想から出た言葉だろう。真似が出来ない。
ローマ字協会ビルというのは、あるのかどうかわからないが、この歌のカタカナ、漢字、ひらがなのバランスが絶妙だ。
いままでになかった手触りを感じる歌集。
短歌人1月号、届いているところもあるようだがうちはまだ届かない。
あしたこそ来るだろう。
馴(な)寄りつつ揺らぐ生徒の小波あり上澄みをゆく午後の数学
頷けば感情の抜けるしずけさの彼がいる たぶん秋の内弟子
モンキチョウあるいは葩(はな)の影過ぎてローマ字協会ビル壁しろし
ままよとて腕投げ入るる闇のなか母音ありけり明治のひびき
(棚木恒寿 天の腕 ながらみ書房)
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音所属の棚木恒寿さんの第一歌集を読む。
三十代前半で、高校生のときから短歌を作っておられたらしい。
滋賀県で数学の先生のなさっていて、独特の不思議な感覚が詠われている。
三首目の「秋の内弟子」なんて、彼独自の発想から出た言葉だろう。真似が出来ない。
ローマ字協会ビルというのは、あるのかどうかわからないが、この歌のカタカナ、漢字、ひらがなのバランスが絶妙だ。
いままでになかった手触りを感じる歌集。
短歌人1月号、届いているところもあるようだがうちはまだ届かない。
あしたこそ来るだろう。