気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

あけぼの山

2006-12-08 00:58:36 | つれづれ
映る部屋を時をり覗く物としてテレビはありぬこの三カ月

仰向けのウルトラマンが十数体あけぼの山の骨董市に

秋の日を干したる布団に凭れゐつ萎(しぼ)むダチュラの花のごとくに

二年あまり映らずあり経しこのテレビしだいに深き沼になりゆく

性(さが)といふ言葉をキャラに置きかへて暗きひびきの払拭さるる

(花山多佳子 木香薔薇)

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花山家のテレビは、とうとう二年以上壊れているらしい。じゃあ、買い換えるとか処分するとかすればいいのにしない。なんとなくあるものは風景となって、捨てられないのだ。我が家にも、だれがいつ使っていたのかわからないものが、いろいろある。わけがわからないほどある。
仰向けのウルトラマンの歌、なんとも心が和む。あけぼの山というのは、実際にある地名かどうかわからないが、間抜けな感じがして好ましい。
歌に登場する娘、息子のキャラもなかなかのものだが、なんと言っても花山多佳子本人の脱力感がいい。
世の中には、もうちょっと脱力してくれたらええのにと思うような、妙に血の気の多い人がいる。ため息。。。