備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

今回の……

2010-04-16 09:11:38 | 陶芸
窖窯(あながま)は、酸化焼成を狙って焚きますが、実際の窯の中では酸化・還元の雰囲気にバラツキが出ます。
その範囲を想定して、酸化に適した土、還元に適した土と粘土を使い分けます。
従って焼きあがったモノは、バラエティーに富んだ発色をします。

今回は、窯の最後列を還元気味にして焚いたので、連房式登窯の焼成のような発色になっています。
連房式登窯なら当然の発色でも、窖窯では、ひと工夫必要になります。
このあたりが、窖窯の難しくも楽しいところ。


時々、都合で予定外の窯詰めをした結果、「おぉ~?」という事になることがあります。
それが、残念な方向だったりウキウキする方向だったりイロイロ。

問題は想定外でも「いいなぁ」と直感するものを、ベストで止められるかどうか?という事。

手の中の女神の微笑みが、一瞬のうちに霧散する事はよくある。
その直感で感じた状態を、もれなく掬い取るのがセンスなんだけど、これが一番難しい。
センスも才能の一部。

ロクロなら「いつ手を離すか?」だったり。
窯焚きなら「いつ止めるか?」だったり。


『上手く作る』『上手く焚く』事は大事。
と同時に、『上手くやめる』事も大事です。

特に、窖窯は……。ね。