備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

相棒はオカマちゃん

2007-04-23 13:24:45 | 陶芸

かれこれ付き合いは、10年を超えた。窯元に就職した時からの付き合い。
初出勤の前日に、岡山市街のプロ御用達の金物屋さんで購入した。店のお姉さんが、ご飯を炊くときの注意点を細かく教えてくれたが、蓋は不要の旨申し上げると、かなり怪訝な顔をしていた。説明しても、ややこしいので、思わず「ウチにあります」と言ってしまった。

窯元という所は、自分の道具を持ち込んで仕事をする。「粘土とロクロ以外は全て自前!」と、勇んで出勤した。ところが、そんな人間は始めてだったらしい。と、後で気がついた。
まっ、就職条件の『大人の事情』もあって、ちょっと気負ってたのかも。


オカマちゃん(羽釜)は、ロクロをする時に使う。手を濡らして、粘土との抵抗を減らして仕事をする。その為の、手桶。
この水引き作業で、手についた余分のドベ(泥)を拭う時に、羽釜は実に役に立つ。羽釜の口部分で、片手だけでしごくように落とす。内側にちょっと出っ張る形状が便利。でも、焼物屋の皆が使っている訳ではない。人によっては、木桶、たらい、燗風呂、洗面器……形、素材は、人それぞれ。茶道具の灰器を作って、それを転用している方も。

更に、羽釜が良いのは、冬場は下に電熱器を入れて暖められるという点。水が冷たいとロクロする気になれんし……。あとは、丈夫という事か。

という訳で、備前では『羽釜シェア』は高いのではないだろうか。……という印象。


さぁ~。これからブンブン、ガンガン、仕事しよ。
ヨロシク!オカマちゃん。