MIAのつぶやき
あねさんは
おいらを
高速で
疾走させ
夜の路地で
がたごと
のろのろと
重い
脚で
歩かせ
あねさんが
おいらに
つぶやく
「おかげでさ
しまじりまでいけた」
あねさんは
よく
めをしょぼつかせ
「かあさん、ありがとう」って
大きな建物の前の道で
つぶやいている
おいらもなけてくるよ
あの建物の駐車場で
陽射しに焼かれ
夜露にびちょびちょ
あねさんをまって
一日中
白線の中
あねさんは
このごろよくどなっている
「こらー、ばかやろうー」
あねさん
実は
「暴走はおすきかもな」
おいら
きずだらけの
どら「くるま」
みあ
6月は土砂降りの雨
あめは
向こうから
ニライカナイ
のはずが
鉄の船は
幾重にも
小さな島を
囲み
どしゃぶりの
あめあらし
腰まで泥水に
つかった
もんぺの
ひとは
はたち
紅を
さすこともなく
おさげのまま
にげまどって
髪を切り落とし
カーキ色の
おとこものの
上着とズボンに身を包み
6月のどしゃぶりの鉛の雨に
うたれて
泥水の中に
ころげた
いってしまった
年月は
いまもつづいて
フェンスに囲まれ
逃げられず
鎖をひきちぎれ
考えることを
やめさせられた
たみ
いたんだたみ
6月の土砂降りの雨に
うたれて
イジュの花を
カンナの花に
真っ赤なデイゴの花に
染め